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ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

ロロ いつ高シリーズVol.3『すれちがう、渡り廊下の距離って』

 

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11月11日に横浜STスポットにてロロのいつ高シリーズVol.3『すれちがう、渡り廊下の距離って』を鑑賞。限定公開されていたVol.1『いつだって窓際であたしたち』、Vol.2『校舎、ナイトクルージング』を観て復習し、気持ちを高めて万全の体制で観たのですが、それはもう素晴らしくてまたしても胸がいっぱいになりました。

lolowebsite.sub.jp

 

今回は、Vol.1で校庭を見つめていた白子(大場みなみ)、彼女と別れたショックで校庭を時計回りに走っていた内蔵逆位の太郎(篠崎大悟)、Vol.2で夜の校舎で肝試しをした楽(大石将弘)、そして新キャラクターの点滅(大村わたる)が登場。点滅と喧嘩中の彼女・田野辺の伝言のために渡り廊下を行き来する太郎と、それを見つめる白子、映画を撮るために将門と待ち合わせをする楽がすれちがいながら出会う物語だ。「渡り廊下の距離」がそのまま点滅と田野辺の気持ちの距離であると同時に、その渡り廊下は楽と太郎が出会い、白子が太郎と対面する場でもある。校舎をつなぎ、ばらばらだった彼らをつなぐ渡り廊下。そこにいる彼らだけではなくて、置き忘れた楽の携帯電話に出た太郎は、Vol.1で追いかけてきた将門と再び出会う。

三作目になると前作からのつながりがどんどん立体的になってくるので、それを頭の中で繋げていくのがとても楽しい。楽が将門と撮っているのは「学校中の音を集めて音楽を作る男」の映画で、タイトルは「校舎、ナイトクルージング」!これは昼間に録音した教室の音で夜の学校を満たす(逆)おとめとの出会いがきっかけになっているのだろう。それに出演したがる白子(彼女が歩き踊りながら歌ったザ・ハイロウズの「青春」の素晴らしさよ)、楽に出演を打診される太郎、と少しずつ彼らの関係が広がっていくことに否が応でも感激してしまうではないですか。(逆)おとめ、渡り廊下には盗聴器をしかけているのかなあ。

白子が太郎に渡した写真は、Vol.1で太郎の走った分だけ白子がストリートビューで見てきた場所だろう。そして太郎が言った「(元カノの海荷との旅行の)帰り道の方が好きだった」という台詞に、朝と茉莉、瑠璃色の間で交わされた「内蔵が逆だから、登校中に下校する」太郎と、別れたショックで富士山を下山する海荷を思い出す。ホームページでは海荷がVol.4に登場予定となっていて、どんな子なのかとても楽しみだ。

それから、舞台上にはいなくても登場人物が確かに存在するのだという感触もとても大きかった。楽の見上げる教室には将門が、点滅と太郎が見上げた音楽室には田野辺が、まなざしの向こうに確かにそこにいる。楽の電話の向こうには朝がいる。ゴミ箱の中の崎陽軒のシューマイ弁当のパッケージを見ればシューマイのことを思い出す。中でもやっぱり将門の存在感はめちゃめちゃ大きくて、手紙の落とし主を探す将門、学校中のピンクのチョークが無くなる大事件に巻き込まれた友達を助ける将門、太郎が出た電話に慌てる将門...目に浮かぶようだ。すっかり将門のことが大好きだ。でも、シューマイの紹介のところにある「将門ともっと仲良くなりたいとおもってるけどおもってるだけ」というの分かりすぎて泣けちゃう。深夜ラジオ(JUNK)が大好きな(逆)おとめのこともまるで自分のことのように思っているし、どうしてこんなにいつ高が大好きなのだろうと考えると、魅力的なキャラクターたち(出てくる役者すべてがハマり役で好演!)の中に「自分がいる」と思わせてくれるような親しみと優しさ、それをファンタジーとして引き受けきる器量がこの作品にあるからではないかと思う。すべてが愛おしいここはまさしく、いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校なのだな。

渡り廊下の美術も素晴らしくて、暮れていく陽や、暗くなると灯る蛍光灯、最後に楽の電話の話し声とともに明滅して消えていく蛍光灯の照明演出にもノスタルジーやセンチメンタルを刺激される。今回も固有名詞の数々に胸を鷲掴みにされ(ひもQの挿話たまらん)、宮藤官九郎好きとしては前回の『GO』に続き『木更津キャッツアイ』が出てきて嬉しい。いつ高のみんなの未来も100パー楽しいよね。

 

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