ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

ちかごろは、

www.tbsradio.jp

9月末からTBSラジオで始まった『アルコ&ピースD.C.GARAGE』を聞いてみたら面白くてすっかりアルコ&ピースに夢中だ。平子さんのキャラクターが強い印象だったのですが、ラノベのコーナーの導入を聞いていると酒井さんも相当イカれてることが分かった。過去のオールナイトニッポンもこつこつと聞いているのですが、ちょっと今までに味わったことのない面白さで、こんなに面白いものを知らずにいたのか…とショックを受けている。「いかちい」「バカかっけえ」といった最高の酒井ボキャブラリーを使いたくてたまらない。ラジオ内で驚異のアマチュア新人として名前が出た漫才コンビ「まんじゅう大帝国」、そのネーミングセンスに心を掴まれGyaoM-1予選の漫才を見てみたら期待を軽々と飛び越える面白さ。他のネタも見たいな〜

 

11月11日

f:id:Vanity73:20161119172545j:image

横浜美術館にて『BODY/PLAY/POLITICS』を鑑賞。石川竜一の写真群に見入る。壁に被写体に関する文章がチョークで書かれた《小さいおじさん》や《グッピー》の見応えはもちろん、街の人々をスナップした写真の生々しさが尋常でない。渋谷駅前のギャルの太もものガーゼや、下北沢ヴィレヴァン前の女の子の白いレースのタイツから透けて見える絆創膏。そういったものが意図して写されているかは定かではないが、はっきりとピントを合わせて撮られた人物から立ち上る生々しい「生」と「身体」が焼きついて離れない。

f:id:Vanity73:20161119172558j:image

みなとみらい。

f:id:Vanity73:20161119172519j:image

STスポットでロロ『すれちがう、渡り廊下の距離って』を観劇。今回もとても良かった。 10分間のセッティングのときから不思議な存在感を放っていた大村わたるさんが演じた点滅、最高だったなー点滅、太郎、楽がラップでだんだん盛り上がるところ永遠に見ていたかったです。

vanity73.hatenablog.com

 

11月12日

f:id:Vanity73:20161119172526j:image

本多劇場阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』を観劇。それぞれが正しいと思って選択したことが全て間違っている。これ以上無いほどの最悪へと向かっていくさまにゾクゾクする。あらすじはそれはもう悲惨なんだけども、コメディとしての精度がとても高い。ブラックコメディともまた違う、やるせなさが漂う戯曲とそれを体現する役者陣の素晴らしさよ。

 


映画『友だちのパパが好き』予告編

 下北沢トリウッドで山内ケンジ監督『友だちのパパが好き』を鑑賞。喋る人物全員を画面内に収めてワンカットで会話を撮っているのが印象的だった。言葉尻をつかまえて相手を追求する会話のいやらしさや息苦しさが画面にも充満している。しみじみとおかしくて面白かったなー自分でお腹を刺すシーンで笑ってしまうとは。それから、年相応にくたびれているけど長い付き合いの愛人がいて、娘と同い年の女の子に言い寄られて結構簡単に手を出しちゃう軽薄な男を演じる吹越満の説得力が凄い。

上映後に舞台挨拶があったのですが、劇中では少しツンとして疲れがにじむ妻を演じていた石橋けいさんが素ではとても綺麗で華のある方で、月並みに「女優ってすごいな」と思いました。あと吹越さんバカかっけえ。

 

11月16日

www.nhk.or.jp

2019年の大河ドラマ宮藤官九郎が書く、という大ニュースが飛び込んできた。ラジオや週刊文春の連載でリオオリンピックへ行った話をしていたので何かしらの形で関わるのだろうと思ってはいたけれど、まさかオリンピックをテーマにした大河ドラマとは!クドカン脚本の約40分のドラマを一年間、毎週観ることができると考えただけでクラクラする。ドラマ放送時は視聴率のことなどで意気消沈する様子をラジオで聞いているので「だ…大丈夫だろうか」とか、大河を書くということは舞台はしばらくお休みかしらという気持ちにもなるのだけど、演出に井上剛というのは非常に心強い。脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛、制作統括・訓覇圭とは言うまでもなく『あまちゃん』の布陣な訳で、そりゃあもう色んな期待が膨らんでしまうな。次から次へとこの人が出たら良いな〜という役者さんが浮かぶのだけど、特に『ごめんね青春!』で宮藤さん脚本、『トットてれび』で井上さん演出を経験した満島ひかりに出て欲しい。あとのんちゃん。のんちゃん。スポーツ選手なら森山未來も良いなあ。宮藤作品お馴染みの人だけじゃなくて、新しい人にも沢山出て欲しい。ああ~2年先にも楽しみが待っているなんて、幸せだ。2020年の東京オリンピックは本当にできるのか?という感じだけども。

 


『溺れるナイフ』本予告

 山戸結希監督『溺れるナイフ』を鑑賞。前触れなく走り出す夏芽(小松菜奈)とコウ(菅田将暉)の痛々しいまでの衝突。二人が交わす視線は火花が散っているかのごとく激しい。互いのもつ「特別なもの」に憧れと嫉妬をかき乱される様が、赤と青の鮮烈なコントラスト、追いかける・すれ違うといった運動性を通してこれでもかと画面に叩きつけられているかのようだ。「画」そのものに気を当てられるエネルギーがあって、凄いもん観ちゃったなーという感じだ。あと、『ごめんね青春!』の海老沢役を好演していた重岡大毅演じる大友が最高で「青春ってのはお前のことだよ!」と背中を叩きたい気分になった。カラオケのシーン良かったな。あとTシャツが絶妙。これに関して、スタイリスト伊賀大介のインタビューも面白かった。

realsound.jp

 

f:id:Vanity73:20161119172456j:image

シアタートラムにてKERA・MAP『キネマと恋人』を観劇。KERA作品でお馴染みの小野寺修二による振付と上田大樹による映像で構成されたオープニングや場面転換の美しさに冒頭からため息がもれる。あのオープニングだけでも見に来て良かったと思うくらいの満足度。ウディ・アレンカイロの紫のバラ』をベースに展開される、映画を愛する女性・ハルコ(緒川たまき)と映画から出てきた男・虎蔵とその俳優・高木高介(妻夫木聡)のロマンチック・コメディー。ちょっと抜けてるキャラクターの緒川たまきがもう、可愛くて可愛くて。架空の方言を話すのですが、それもまた良い。「ごめんちゃい」ってのが最高にキュート!演劇にしては場面転換が多く、スクリーンの中や、虎蔵と高木が対面する場面でのケレン味あるアイデアなど見応え充分でありました。最後の高木の表情も、映画を観て笑うハルコの表情も、知っているのは私たち観客だけなのだと思うと切なさもひとしお。

 

11月17日

ユーロスペースにて片渕須直監督『この世界の片隅に』を鑑賞。もう、素晴らしかったです。私としては「のん」こと能年玲奈ちゃんの復帰作という意識が強くて、もっと純粋な心持ちで観るべき映画かも知れないなあと思いながら見始めたのですが、映画が始まると色んな思いが洗い流されてただただ『この世界の片隅に』導かれる。優しく力強い。

vanity73.hatenablog.com

 

11月18日

f:id:Vanity73:20161119172502j:image

世田谷パブリックシアターにて『遠野物語 奇ッ怪・其ノ参』を観劇。遠野物語を軽く予習しておいた方が良いかと思い図書館で色々と見ていたのだけども、水木しげる遠野物語を描いた漫画が読みやすくて面白かった。 水木しげるの描く座敷わらしがまた可愛いんだな〜

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

 

遠野物語岩手県遠野に伝わる神様や理屈では説明のつかない出来事を集めたもので、これといったオチがなくつかみどころがない話が多いということを前提に観ることが出来たので予習しておいて正解だったな。この芝居では、方言の使用や迷信といった科学的根拠のないものの記述・出版が禁止された世界を舞台に、語りと芝居の場面をシームレスに行き来する。遠野物語の伝承と、それが人為的なもの、色々な事情からそうすることしかできなかったものでもあるという側面を描き、境界を曖昧にしていく。「物語る」ということの必要性を浮き彫りにしているのは伝わってくるのだけど、最後のイノウエの失踪した妻の話やときおり挟まれる感情的な演技がどうも取って付けたもののように感じられてしまった。そこを除けば、シームレスな場面転換や全体の構成はとても面白かった。そして「語り」がテーマなだけあって声(と発声)が抜群に良い役者さんが揃っていて見応え&聞き応えあり。