ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

焦がれる人よ窓のむこうに

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近頃は覚えておきたいことが多すぎて、毎日書いている日記がどんどん長くなる。今日話したこと、楽しかったこと、嬉しかったこと、笑ったこと、後悔したこと、反省したことぜんぶ忘れたくなくて帰りの電車で反芻して寝る前に書いてみるけど、細かいニュアンスはどうしても残せない。それでも、たとえば一年後に読み返してこのときの気持ちを少しでも思い出せれば上出来だ。以前は毎日何かしら書き込んでいたTwitterを使わなくなって久しい。とはいってもタイムラインは毎日読んでいるので使ってはいるのですが。先日の『ゴッドタン』ケンカ&ダンス、最初は意味不明で面白いなと見ていたけれど、ふと「もしかしてこれはLA LA LANDなのか?」と思い至ったときなんかは、すぐさまTwitterに書きたくなる。けれどもそれはやめて日記なりブログに書くようになった。深い意味はないし、スピードが売りのインターネットでは致命的な時差を生んでいるけど、このくらいのテンポと距離感も悪くないかなと思っている。それから、帰り道に前髪みたいな模様のある可愛い猫をみつけて写真を撮ったとき、髪型が似ている人の顔が浮かんだから似てる猫がいたよといますぐ送りたくなったけど、暗くて写りも良くないし流石にリアクションに困るだろうなと思ってやめた。こうして言いたいことを頭の中で考えているうちにだんだんと自分と会話をしている感覚になっていく。これはまさしく、tofubeatsが『BABY』で言い当てた感覚と似ている気がする。結局、私の感情や考えは私だけのものだし、誰かに伝えたいだなんて押しつけがましいにも程がある。でも誰かに聞いてほしい。伝えることは諦めて、誰かに読んでもらえることを期待してそっと置いている。さっきから、誰かって誰だろう。

ずっとさ 自分としゃべってる
気分でいつも暮らしてるから
人はさ 難しいこと言う
どこまで 応えられてるのかな
どこか遠くに行きたいけれど
なぜか行けないのさ


tofubeats / トーフビーツ -「BABY」

 

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6月22日、Bunkamuraザ・ミュージアムにて『ソール・ライター展』を観賞。ファッション誌Harper's BAZAARのための写真の頃からの特徴だった鏡やガラス、障害物越しの構図がどんどんエスカレートしていくの面白かったな。画角からほとんどはみ出している赤い傘は、気付いた時には過ぎ去っていく時間を感じさせる。あっという間に目の前を通り過ぎていく瞬間を捉える、というよりもカメラを向ければ自ずとそこに瞬間が写り込むのだということか。印象に残る風景というのは鮮烈なものばかりではなく、案外ぼんやりとしているかもしれないな、と彼の写真を眺めながら思った。ぼんやりと思い出されるいつかのどこかの瞬間。本来ならば写るはずのないであろうものがいくつも写真に収められていて感動してしまった。

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渋谷から横浜へ移動して中華街の状元郷でルーロー飯を食べた。台湾は憧れの地ではあるのですが、八角の匂いがどうも苦手で食が合わないかもしれないなあと思っていたけれどお店で食べたものは大丈夫だった。あと、エビとたけのこをライスペーパーで包んで揚げた春巻きみたいなのが大変美味しかった。エビはぷりぷり、たけのこはとろとろ、ほんのりと甘い。また食べたいなー

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KAAT大スタジオにてサンプル『ブリッジ』を観劇。劇団としての活動を休止する前の最後の公演とのことで。私は初サンプルでした。とても面白かった。モツ宇宙(コスモ)とか言ってるのでとんちんかんな芝居かと思って臨むと、意外とまともというか、人間の脆い部分をえぐられるお話だった。講演のように客席に語りかける形で進むので、見ているうちにまんまと自分まで参加させられて傍観から内部に入っていきそうになる危うさすらある。スピリチュアルなものに対してこれは本当なの?嘘なの?と判断しそうになる時点でもうダメなんだよな。宗教に限らず、何かから弾かれた人同士が集まっても、またその中で軋轢は生まれるし、誰かが弾かれてしまう無常観。我々はどこへいくのか…とラストでは呆然としてしまった。側からみたらバカみたいだけど、当事者たちは真剣なんだよなというざわざわする気持ちを巻き起こす、過剰や過激には感じないけど超ヤバい演出の数々もとても良かったな。古舘寛治さんは完全にスターだったし、『ひよっこ』の松下さんこと奥田洋平さんも素晴らしくて良い役者さんの揃っている劇団だったのだなー今後の変態活動も楽しみにしております。

 

#losapsontshirtsfair #LosApsonTfair

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6月23日、恵比寿KATAのロスアプソンTシャツフェアにてVIDEOTAPEMUSICの熱海温泉Tシャツを購入。グレーも風合いと文字がぴったりで迷ったのですが、汗が目立ちそうなので白にしました。スコーンと空が抜けるような晴天の日に着て出かけたい。今年の夏は白いTシャツを着こなす女になってみせる…

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ユーロスペースにてエドワード・ヤン監督『台北トーリー』を鑑賞。これを観にきたといっても過言ではない、フジカラーのネオンをバックにしたシーンがやはり出色。静かに進んでいくストーリーや叙情的な映像の中に、死の匂いがいつもどこかに漂っているのが不思議だ。これと『牯嶺街少年殺人事件』しか見たことないけど、私の求めるネオンの灯りと陰影は、すべてエドワード・ヤンの映画の中にあるのではないかとすら思ってしまうな。ホウ・シャオシェン時任三郎萩原聖人鈴木一真のグラデーションなので見ていて飽きない。

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夜は伝承ホールにてザ・プーチンズのワンマンライブ『ぷ道館』へ。正直「ナニコレ」推しにはもう飽きているので迷ったけれど、予想もつかないようなものが見れるんじゃないかという期待があって結局足を運んでしまう。昨年と構成やネタもあまり変わっていなかったけれど、マチコさんがメインボーカルをとった新曲「いきなりテルミン」がとても好きでした。客同士で合コンさせたり客を連れ去って寿司にしたり、よくわからん暗い箱に入れられるよりもずっとエキサイティングでクレイジーで最高に楽しい所業の数々はやはりすごかった。

往復書簡 初恋と不倫

往復書簡 初恋と不倫

 

6月28日、坂元裕二の朗読劇「不帰の初恋、海老名SA」「カラシニコフ不倫海峡」を書籍化した『往復書簡 初恋と不倫』を読んだ。めちゃくちゃ面白かったです。お得意の手紙とメールのやりとりのみで、ドラマティックな展開をみせる筆致に打ちひしがれる。言葉のみで想像させる朗読を生かして突拍子もないドラマを描いていて、エキセントリックな物語にも普遍的な恋物語にも読めるところが素敵だ。映像や演劇ではできない面白さが詰まっている。どちらも女性のキャラクターがどことなく村田沙耶香的なのが新鮮だったな。好きな箇所をあげればキリがないけれど、「カラシニコフ不倫海峡」の別々に同じ場所へ行くデートとか読んでいて手に力が入りました。それから、「不帰の初恋、海老名SA」での『カルテット』8話のすずめちゃんの台詞を思い出させる一節にも胸が熱くなった。

君がいてもいなくても、日常の中でいつも君が好きでした。

電車で読んでいたのですが、変なスイッチが入ってしまったのか人目も憚らずにぼろぼろ泣いてしまった。ぜひとも再演してほしいな〜高橋一生×酒井若菜、三浦誠己×中村優子が見たいっす。

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6月29日、アトリエヘリコプターにて玉田企画『今が、オールタイムベスト』を観劇。冒頭から、玉田真也演じる中学生の屈折していて卑屈な喋り方にぐっと心を掴まれ夢中になって見た。いるいる、あるあるという人物とシーンの連続なんだけれども、それだけで終わらない切なさも描かれていて面白い。こういう思春期の自意識や、人間関係の気まずさを扱ったものは何かと内省的だったり内向きのエネルギーが強い印象だけれども玉田企画は的確に笑いを生んでいて開かれた雰囲気があるなあと思った。でもきちんと胸が痛む。身に覚えがありすぎて古傷をつつかれるけれど、それもなんだかクセになる。役者さんもみな素晴らしくてポップ。宮崎吐夢演じる父親、イケイケっぽいけど口調や仕草の端々に息子との類似を感じさせる部分があってたまらない気持ちになったな。あと、神谷圭介演じるウェディングプランナー川島の悪気のなさ空気の読めなさとか気遣いが下手で裏目に出てしまうのとかがいたたまれなくて、愛おしすぎた。乾杯の前に先にビール飲んじゃう感じとか、わかるわかるわかるわかると首を縦に振って同意したい気持ちになる。

7月1日、映画の日なので近所のシネコンで西谷弘監督『昼顔』を鑑賞。思い返してみると半分くらい手に汗を握って観ていた。サスペンスホラーラブロマンス。北野先生(斎藤工)の講演に行くためにお洒落をしたけれど、鏡を一瞥して普段着に着替える紗和(上戸彩)だけでもうグッときてしまったな。しかも、黒いヒールから履き替えた白いスニーカーで疾走するのだから。彼女を死へ導く黒いヒールを脱がすのはきっと神様ってやつだ。2人が疾走しながらすれ違うシーンのカメラとか凄くて、橋の下からぐるんと視界が回ったときには度肝を抜かれてしまった。乃里子(伊藤歩)情念のカーチェイスも大変にヤバい。私はこういうお話も好きな方ですが、それを抜きにしても映像と音だけで魅せていく力に溢れていたな。蛍の幼虫を探すだけのデートとか、バスの窓に待ち合わせの日時を書くシーンとかちょっと堪らないものがありました。繊細な反復を繰り返しながら辿り着く上戸彩のラストシーンも凄まじい。予告で電車の窓越しに見つめ合うシーンを観たときになんとなくドラマ『高校教師』(1993)を連想したのですが、シチュエーションやシークエンスは違えど2人の心が通う空気の描かれ方が似ていてそりゃあ大好きだわと思いました。立場だけ見ればインモラルだけど、その実はとても幼くて純粋な愛、というのに弱すぎる。というか、インモラルなんてのは理屈抜きの純粋な愛を描くための要素に過ぎないなと改めて思う。とても面白かったし、とても好きな映画です。

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気付いたら7月のお出ましだ。7月というと、1年の半分であり夏のはじめの月で特別なような気がするけれど、梅雨がぐずぐずと居座ったままいつもはっきりしない印象のはじまりだ。ことしも半分が経過して、私はいまのアルバイトをはじめて3ヶ月になる。右と左どころか前も後ろも分らなかった4月が遠い遠い昔のように感じる。まだまだ出来ないことだらけだけれど、前日の夜も当日の朝も仕事へ行くのがまったく苦痛じゃない嬉しさを噛み締め続けています。これが永遠ならいいのに。ずっとこのままがいいよ。さて、7月といえばあの季節です。今年もテレビ東京午後のロードショー、サメ特集の季節がやって参りました。最新作の放送へ向けて『シャークネード』シリーズに絞った潔いラインナップ。こうなるとなぜ1から4週じゃなくて、2、3、最新作、ジョーズ4なんだと思ってしまうわけですが、それもご愛嬌ですね。でもやっぱり1作目の衝撃は忘れられないな。夏休みになんとなく見ていた午後ローで味わう衝撃として、これ以上のものはない。シャークネードあるし、今年の夏も絶対たのしいに違いないって思います。