ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

夜更けと早朝

f:id:Vanity73:20220704084337j:image上半期の大きな山といえる週を乗り切って、金曜日に仕事を終えたその足でたまプラーザにあるマリーアレルへすき焼きを食べに行った。以前テレビで紹介されているのを見てからずっと行きたかった、カウンターにひとり用の鍋が備え付けられたお店で、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキなどの肉料理が食べられる。喫茶店と洋食屋さんとスナックがまざりあったような肩肘の張らない店内の設えや気持ちのいい接客がとても心地よく、高級過ぎない価格設定も自分へのご褒美にはこの上ない選択だった。カウンター席でステーキとワインを嗜んでいた男性客も帰り際にレジで「上半期を終えたので」と話していて、心の中で同意を込めてうなずく。

f:id:Vanity73:20220704084400j:imageお腹は満たしたけれど高揚する気分のまま帰る気にはならず、たまプラーザの駅前を少し流してから今度は港北のカフェプラザオークラへ。横浜の山下公園近くにあるカフェ・ド・ラぺの系列店で、バブルの名残を感じる赤張りの机やJ-POPのカラオケアレンジが流れる店内、程よい客入りが気に入っている。店員さんがみなナイスミドルといった年頃の男性で、接客がはきはきと丁寧なところも好き。デザートには美しい飴がけが施されるのもスペシャルな感じがして、繊細というよりはくどさのある甘さの飴やアイスクリームもすべてがちょうどいいのだ。

f:id:Vanity73:20220704084415j:image土曜日は早朝に車を走らせて都内へ出掛ける。銀座のWORLD BREAKFAST ALL DAYへブラジルの朝ごはんを食べに行った。7:30のオープン時刻を少し過ぎてから到着すると、早朝だからという予想に反してほぼ満席で驚いたが。運よく広いテーブル席にひとり、落ち着いて食べることができた。キャッサバ粉をクレープ状にしたもの(これも「タピオカ」と呼ぶらしい)が、いままでに食べたことのない食感で面白い。そこからトリコロール本店へ移動し、ここもほぼ満席で驚きながらも、コーヒーで一服。朝は空いているお店が限られるのでそこに人が集中するのかもしれないが、休日の東京都内はこんなにも人が動いていることを目の当たりにする。次の目的の時間まで本を読んで過ごそうと思っていたが、すぐ後ろのカウンター席に甲高い声で話す人がいて、不快という訳ではないが気が散って集中できず、コーヒーを飲んでお店をあとにする。東京駅の地下街を流して時間をつぶす。

f:id:Vanity73:20220704084431j:imageアーティゾン美術館へ、『写真と絵画ーセザンヌより 柴田敏雄鈴木理策』を見に行く。印象派の筆致と、カメラが捉える光の粒を眺めているだけで、あらゆる意味や物語から解放されてただそこにある風景を見ることに集中できて、とても良かった。柴田敏雄のダムや水流などを切り取った写真は撮影地がタイトルになっていて、匿名性の高い風景である一方で、明確な地名が情報として与えられることで確固たる固有性も感じられるのが面白かった。鈴木理策の写真は、フォーカスやガラス越しに緑や光が、見たままでなく色の粒に分解されるようで、まさに「印象」として出力されていて、今回の展覧会の意図が感じられた。展望デッキからは、隣のビルの工事現場を眺めることができて、目の前にクレーンが迫る様子を延々と見ていられそうだった。

f:id:Vanity73:20220704084443j:image15号線を横浜方面に走り、大森の珈琲亭ルアンに立ち寄る。奥まった席は一人客のみで、静かに過ごすことができてとても居心地がよかった。コロナ禍になってからというもの、人の多い空間、特に飲食店は警戒して諦めることが多かったけれど、いざ来てみるとさほど不安を感じる距離感や混雑はなかったり、逆に大丈夫だろうと来てみると不安になる場合もあり、自分の中の線引きもできてきたのを感じる。

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日曜日、コーヒーと冷房でうまく眠れない日が続き、3時半に起きだして24時間営業のジムへ向かう。5月の頭に入会して、週に2回はスタジオのホットヨガ、日曜日の早朝にクロストレーナーを30分漕ぎに行くのが習慣となった。早朝は外もまだ涼しく、ジムには誰もいないので快適で、夜更けと夜明けの間を眺めながら静かに過ごす時間を気に入っている。夏至をすぎて、いまは4時から4時半にかけてが空が明るむいちばん美しい時間で、休日はその美しさが味わえればいい。まだ暗いうちに起きると、夜更かしと早起きを同時にしているようで得した気分になる。

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運動量が増えたにも関わらず体重は思うように減らず、それどころかジムに通い始める前よりも若干増えている。これは今年の頭から休日は夜を欠食するのが習慣化して代謝が落ちているのが原因とうっすらわかりつつ、欠食の翌日は若干減っているので止められない、飢餓感から平日の朝や昼にお菓子を食べる、という悪循環に陥っている。昨年の10~12月に今から‐2㎏をキープできていたことが忘れられず苦しんでいるのだが、将来的に考えればいまの体重を受け入れる方が現実的かつ健康的なこともわかってはいる。今週末は、仕事を乗り切ったご褒美に思う存分食べたのでさぞ増えたろうと思いきや、きちんと食事を摂ったせいかここ数か月でいちばん体重が落ちていて、少しモチベーションが回復する。

f:id:Vanity73:20220704084529j:imageお昼から出かけて、恋人と待ち合わせてお気に入りのお店で食事をして、それからロイヤルホストでパフェを食べた。昨年の夏ごろから、なんとなくお互いに連絡をとらずにいたのだけれど、今年の春に、向こうから連絡をくれて、それからまた会うようになった。ひとりでいることの気楽さに慣れたつもりでいたけれど、目の前のご飯をただ美味しいと言い合うことや、他愛のない話ができる相手がいることは正直とても嬉しい。一方で、ふたりでいる状態から、ひとりに戻るときの寂しさから身を守るために距離をはかりかねる部分もあり、それで相手に寂しい思いをさせる瞬間に気が付いてもいて、どうしようなんて思ったりもするけれど、返信をくれる限りは会話を続けていこうと思う。

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自分の生活が、自分の意志と選択で進んでいく(と思っているだけで、その実は様々な要因にコントロールされているのだけど)ことは快適である一方、贅沢なこととわかりながら退屈を感じることも事実で、折り合いをつけながらやっていくしかない。仕事の方は、組織の中での立ち居振る舞いに気楽さと難しさを感じながら、なんとか続けている。今月はまだ小さな山がいくつかあって、それが終わればやってくる夏休みに思いを馳せながら、今日もお弁当をつくる。