ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

八方塞がり

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f:id:Vanity73:20220306153901j:image週末にパンケーキ、クレープを食べた数日後、左の奥歯がずきずきと痛み出した。生えかけの親知らず付近の歯茎が腫れている。5年ほど前に腫れて診てもらってから何ともなく、ずっと放置していたのだけれど、体調不良のサインとして腫れることもあるらしく、不摂生が祟ったのだなと妙に納得した。欲望のままに甘いものばかり食べた報いが、身体ではなく口の不調というのはさもありなん。普段は意識していなかったけれどいつもほとんど左側で咀嚼していたようで、ものを食べるにもぎこちない。余談だけれど、視力を測ったときにも利き目が左と言われ、眼精疲労も頭痛も肩こりもすべて左側で起こるので、身体の使い方も偏っているようだ。それにしても、食欲はあるのに食べると痛むのでテンションが下がるし、痛み止めが切れるとずきずきして、特に眠りが途切れるのがつらかった。

市販の痛み止めで治りかけてはいたものの、しばらく診てもらっていないのも気にかかって歯医者を受診する。炎症どめの薬と簡単なクリーニングで終わり、これはわざわざ受診しなくても市販の薬だけで事足りたのでは…と思いつつ、他の歯に異常がないことが確認してできたのでよしとする。腫れが治まり、懲りずにドーナツを食べた。

f:id:Vanity73:20220306154832j:image今の家に引っ越してからもうすぐ1年が経つタイミングで、そういえば話には聞くけど来ないなあと思っていた国営放送からの集金が来た。以前、友人が引っ越してすぐに来たという話を聞いて、このまま来ないのではと思っていたけれど、遂に、という感じだ。しかし、なにも夕飯のぶりかまを焼いているときに来なくてもいいではないか。大好物の焼き加減を気にしながらなので、必要以上にツンツンと対応してしまい、若干の自己嫌悪に陥る。

f:id:Vanity73:20220306155720j:image春の気配が迫っているせいかやけにそわそわして、週末の度にドライブへ繰り出していたのだけど、遂にと言うべきか、高速道路を走行中に速度超過で停められてしまった。たしかに自分でも空いているのをいいことに調子にのって飛ばしすぎた、と反省している。子どもの頃に父の運転する車で停められた記憶がぼんやりとあり、勝手はわかっていたのでパニックにはならなかったけれど、パトカーに停められる緊張感はもう経験したくない。最近慣れてきたのをいいことに運転が荒れているのを自分でも薄々感じていたので、戒めとなった。さらに、その後自宅付近で車とバイクの事故現場を目撃してしまい、本当に本当に安全運転を徹底しよう…と気を引き締める。

f:id:Vanity73:20220306160500j:image親知らずと速度違反は自業自得としても、ひと月の間に冴えない出来事が続くと、厄年か?と自分ではコントロールできない因果を疑いたくなる。調べてみると厄年ではないものの、その下の「八方塞がり」の欄に自分の生まれ年があった。慣用句と同じように、陰陽道で「すべての方向に障りがあり、何も行えない状態」を指すらしい。今年に入ってから暴飲暴食の波を繰り返したり、仕事にも身が入らなかったりとどこか調子が出ず、「八方塞がり」という言葉が腑に落ちる。

f:id:Vanity73:20220306161405j:image健康、生活、運転と来たら次に考えられるのは仕事だろう。1年目でまだ責任の重たい仕事は請け負っていないけれど、自分では気が付かないようなミスをしているのでは、と妙な不安になってきた。最近暇だな、と少し投げやりな気持ちもあったのでギクリとしているが、幸いまだ何も起こっていないはずなので、初心に戻って誠実にやっていくしかない。

f:id:Vanity73:20220306162021j:image体調管理、運転、生活、節約、仕事はある程度気をつけて振る舞っていけるとして、自分の力ではどうしようもない出来事もきっとこの先たくさんあるだろう。真っ先に浮かぶのは家族の息災。特定の信仰を持たないまでも、因果や不可抗力的な出来事の流れみたいなものはたしかにあると感じる。というか、何もかもが自分の行動と思考に起因して、すべてに責任を持たなければいけないと思うと潰れてしまいそうになるので、占いや神頼みがあるのだろう。

f:id:Vanity73:20220306162957j:image比較的すぐに叶えられる願望が食欲やドライブ、買い物に偏っているのもあり、心身のバランスが乱れている。戒めのように意識させられる出来事が続いて、気をつけられることは気をつけて、調子が出るのを待つしかないと思い直した。

チョコレートを鼻血が出るまで、生クリームを吐き気がするまで食べたい。でも体脂肪率を減らしてお腹周りは絞りたい。時間もお金も気にせずここではないところへ移動し続けたい。ずっと満ち足りないけれど、楽しく暮らそう。


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飽食

f:id:Vanity73:20220211152204j:imageお正月の暴飲暴食で増えた2kgがなかなか戻らないまま、1月末には誕生日を口実に思う存分甘いものを食べていて、そこからタガが外れてしまったようで、我慢してストレスを溜めるくらいなら食べたいときに食べたいものを、というモードで過ごしている。相変わらず毎朝体組成計に乗って、前日からの100g単位での増減に一喜一憂しているけれど、ホルモンバランスのサイクルに逆らえないこともわかっているので、減るときには減ると思うと少しは気がまぎれる。自分の周期は明確ではなくとも把握していて、大体は月末~月初にバランスが乱れて、中頃からの10日間くらいがいちばん調子がいい。身体がむくみやすい時期に限って無性に甘いものが食べたいし眠たくて動きが鈍くなるし、代謝の活発な時期は食べても大丈夫なのに食欲は落ち着いているし、難儀なものだ。以前はホットヨガに1時間行けば食べただけのカロリーを消費できるのでそこまで気にしていなかったけれど、今はそれもできず、身ひとつで十分運動ができるほどの根性もないので食事制限をすべきなのだけど、なかなかうまくいかない。しかし、30日間のうち心身ともに絶好調で過ごせるのが10日間というのはどう考えても設計ミスだ。

f:id:Vanity73:20220211151947j:image誕生日の前日に午後休を取って、ずっと食べたかったRocca&Friendsのクレープを食べに横浜ベイサイドのアウトレットへ行った。なみなみのチョコレートクリームとこってりしたテリーヌにオレンジ。最高。平日昼過ぎのアウトレットモールは人もまばらで居心地がいい。特に何かを買う訳でもないのにアウトレットに行きたくなるときがあって、人混みを避けたい今は不用意に行けないけれど、平日はねらい目だ。以前、水曜日の閉店間際に寄った南町田のグランベリーパークもよかった。

f:id:Vanity73:20220211152021j:imageその後、ホテルニューグランドへチェックイン。ずっと憧れていたホテル、素泊まりなら比較的安く泊まれるので誕生日に合わせて予約をした。フロントで誕生日おめでとうございます、と言ってくれてお部屋にチョコレートのマドレーヌを持ってきてくれた。素直にうれしい。

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f:id:Vanity73:20220211152048j:image夜は洋梨とアイスクリームの混ざり合ったクープニューグランド、朝はフレンチトーストをルームサービスで取った。優雅だし、周りを気にせずのんびりと美味しいものを食べられるのは素晴らしいな。早朝は本館のロビーを独り占めできて、のんびりと本を読んで過ごした。

滝口悠生の『長い一日』を滞在のお供にしていたのだけど、日記と散文、創作の境目が溶け合ったような時間が流れていて、噛みしめるように楽しんだ。自宅とは違う場所で、自分ではない人の日常を読む、という体験がよくて、こういう感覚を味わいたくて小説を読んでいたのだよな、と最近忘れていた感覚を思い出した。しかし、ありふれているようでほかのどこにもない風景や会話を描けるのは滝口悠生だけなんだよな。

f:id:Vanity73:20220211152105j:imageささやかな非日常の締めくくりに、ロイヤルホストでいちごのパフェを食べた。どのいちごもはずれなく香りが高いし、酸味の効いたソルベやナッツのバランスも文句なしで、ロイホのパフェは食べるたびに感動する。今日は自分の望みをすべて叶える日なので、業務スーパーでティラミスアイスを買って帰る。

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f:id:Vanity73:20220211152118j:image1月は少しイレギュラーな勤務が続いて、体力的に少し消耗する日が多かったので取りつかれたように甘いものが食べたくなる。どう考えても寝る前にInstagramでひたすら甘いものの写真を見ているのがよくないのだけど、最近はクレープが気になって仕方なく、休前日の夜にショッピングモールでサーティーワンのクレープを食べた。アイスが選べて楽しい。それだけでは飽き足らず、直後にMomi&Toy'sでティラミスのクレープも食べた。新人さんがはじめて作ったティラミス。

f:id:Vanity73:20220211152133j:image年末年始と誕生日というビッグイベントを経て、毎年この時期は気分がぼんやりと停滞してしまう。加えて、仕事も閑散期で張り合いがないのもあって1週間がとても長い。祝日、Instagramで切り口からチョコレートが流れ出る動画を見てしまってから食べたくて仕方のなかったコナズ珈琲のパンケーキを食べにいく。先週のお昼に別の店舗に寄ったときは混雑していて食べられなかったのが余計に尾を引いて、絶対食べたいという気持ちになっていた。オープン直後は人も少なく、陽の当たる窓際の席でコーヒーを飲みながら武田百合子『日日雑記』を読んでパンケーキを待っている間、妙に満ち足りた気持ちになった。待望のピスタチオのパンケーキは、山盛りに添えられたココナツのホイップクリームもおいしくて満足した。いつも甘いものを食べると血糖値があがって余計に食べたくなってしまうのだけど、ここまでボリュームがあるとさすがの私もうっすらと気持ち悪くなって、おかしな現象だけれど、そのことに満足した。気持ち悪くなるほど生クリームが食べたい、という願望があって、パフェやクレープではそれは満たされず、パンケーキなら叶えられることがわかった。ピスタチオは期間限定でもうすぐ終わってしまうけれど、レギュラーメニューも美味しそうなのでまた食べに来よう。

f:id:Vanity73:20220211152410j:image雪交じりの雨だった昨日とは打って変わって気持ちのいい天気、ホカロンのインナーウェアを買いにドンキへ行く。最寄りのドンキは国道沿いにあって、慣れない道を3周くらいしてようやく駐車場に入れた。お目当てのホカロングッズは残り少なくなっていた代わりに値引きされていて、インナーと腹巻、ルームシューズを購入した。商品ロゴがプリントされたコラボ商品にどうも弱い。ドンキとは縁遠いので、行くだけでちょっとわくわくしてしまい、近くのドラックストアより安いかもと思って余計にチョコレートなども買ってしまった。

お昼に帰宅して、数日前から作ろうと思って材料を買っていた筑前煮を作る。れんこんやごぼうなど根菜は下ごしらえが億劫で、時間があるときにしか着手しようという気にならないので、特段に予定のない三連休にはもってこいだ。他にレバーの甘辛煮、かぼちゃの白和え、鍋いっぱいの筑前煮ができて満足だ。1000kcal以上ありそうなパンケーキを食べたので今日はもう何も食べないと思いつつ、味見ついでのつまみ食いで結構食べてしまった。

自分で「痩せている」と思える体重と体型を保ちたいけれど、思う存分に好きな甘いものも食べたい。将来何があっても初期対応はできるくらいの貯金は続けたいけれど、ちょっとした嗜好品は躊躇わずに買いたい。節制できる自分も好きだけれど、そればかりでは続かない。我慢しなくちゃ、と思っている割に、振り返ってみるとめちゃくちゃ食べてるし、それなりに楽しくやっている。

ハッピーサッド

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自分の体重・体脂肪率と、毎月の支出額と貯金額のことばかり考えているのは、他に夢中になれるものがないからで、いままで傾倒していた物語たちへの関心が薄れているのは感受性が折れてしまっているからなのか、ぼんやりとしている時間が増えたような気がする。

人生は退屈で虚しいものって色んな人が言っている気がするけど、具体的に誰かの言葉が思いだせるわけではない。毎日定時であがれる仕事に就いて、たっぷり8時間眠って、果物も野菜も食べたいものを食べられて、摂取カロリーと無駄遣いを気にしながらも結局甘いものも食べて、なにひとつストレスのない生活の何が不満なのか自分でもわからない。強いて言えば、深刻ではないけれど体重の増減に対するやや過剰な意識はどこかで克服したい。

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あと何十年か真面目に働いてお金を貯めたら、海の近くの古民家か、山の中の洋館を買って、喫茶と古本と骨董のお店を開きたい。野菜とハーブを栽培して、卵や小麦粉、乳製品を極力使わないお菓子を焼く。そんな雑誌に載っているような生活を妄想したりしている。そのために、製菓を勉強しにいきたい。

時間があるので、いままで苦手だと思ってやってこなかった裁縫や編み物をやってみるのもいいかもしれない。製菓もそうだけど、道具を揃える一歩が踏み出せない。

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とりとめのないことばかりずっと考えてぼんやりするのは、日常的に人と雑談をすることがないからのような気がしている。頭の中で喋っているがうまく文章にできず、同じようなことがぐるぐる渦巻いてしまう。

職場の人と仕事以外のことを話すこともあるけど、楽しくてもそれはやっぱり職場の人との会話なので、気兼ねなく相手の顔色をあまり気にしない発話ができるのは家族くらいで、月にいちど実家に帰ると堰を切ったように喋るのを自覚している。

そのように喋れる家族がいるだけでもありがたいけれど、両親もいつかいなくなるし、弟も社会人になれば話す機会はもっと減るだろう。唯一の友人たちとも集まる機会が減って、会うことは特別なことになりつつある。お店や公共施設のスタッフ相手に延々とどうでもいいことを話しかけるお年寄りの気持ちもわかる、その気持ちはいまは同情というほうが正しいけれど、いつか自分もそうなるのではないかと思うと怖い。

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はじめておでんを作ってみたら美味しかった、母が送ってくれた布団乾燥機で温めた布団に入る瞬間が幸せ、少しずつ日が伸びていて嬉しい、髪を伸ばして今度はマッシュルームカットにしよう、ロイヤルホストデニーズ・ココスのいちごパフェを必ず食べる、とんでんのいちごと雪見だいふくのパフェも気になる、いちごがもう少し安く買えるようになったら水切りヨーグルトでサンドイッチを作ろう、クラシックな型の黒いジャンパースカートが欲しい、最近やたらとティラミスが好き、iTunesをシャッフル再生すると自分で入れたことを忘れている音楽が流れてきて楽しい。

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いままでも必死に気を逸らしていただけで、私は私でいることがやめられないまま、生活が続く。生活の彩り方を忘れそうになりもするけれど、ダンスを続ける。

2021年の雑感

f:id:Vanity73:20211229180241j:plain2021年は、正規採用で定職に就き、実家を出て神奈川でひとり暮らしを始めた。振り返ってみると、2017年に大学を卒業してフリーターになり、アルバイト先で恋をして周回遅れの青春みたいな1年を過ごしてみたり、2018年には色々あって移った新しい職場が肌に合わず苦しんだり、2019年には恋人に振られて15㎏ダイエットしたり、2020年にはコロナ禍で就職活動をしたり、ここ5年間は何かと変化の多い年月だった。4月から勤めはじめた職場は肌に合っていて、この先も頑張っていけそうだと思っている。ひとり暮らしも自分のルールと計画を淡々と遂行できるリズムが快適で、車で2時間もかからず帰れる実家との距離感も含めて気に入っている。フリーターを脱しなければという焦燥感から解放されて、それなりに自立した暮らしを手に入れたいま、安堵と同時に「もうすることがない」という感覚がある。もちろん仕事を続けるというのはいちばんだけれども、学生生活、就職、のような人生の主要なイベントで残されているのは両親を看取ることくらいだろうか。不慮の事故でもない限り年齢的にはまだ先だろうけれど、避けて通れないものはそのくらいだろうと思っている。

f:id:Vanity73:20211229175602j:image2020年までは休日には毎週のように演劇、ライブ、映画、美術館に通っていたけれどそれが断たれて、いちど習慣がなくなると自分でも驚くほどそういうものを見に行くことが減った。都心が近ければ抵抗も少ないのかもしれないけれど、車移動で電車にも乗らなくなると、人混みに対する耐性が本当になくなって、この2年間で醸成されてしまった出かける娯楽に対する罪悪感のようなものも拭えない。特に今年は、自分では余裕ぶっているつもりでも新しい生活に慣れるのに精一杯だったのかもしれない。

実際に劇場に足を運んで観た演劇は、ロロのいつ高シリーズ『ほつれる水面で縫われたぐるみ』『とぶ』とNODA・MAP『フェイクスピア』の2本。配信で空気階段『anna』『大踊り場』、宮藤官九郎『愛が地球を救います(ただし屁が出ます)』、松尾スズキ藤本有紀『パ・ラパパンパン』、ロロ『Every Body feat.フランケンシュタイン』を観た。今年はキングオブコントの優勝もあっていっそう空気階段に夢中な1年だった。後にも先にも、今年以上に熱中してKOCを見ることはもうないだろう。

f:id:Vanity73:20211229175651j:image映画館にはいちども行かなかった。『花束みたいな恋をした』も『サマーフィルムにのって』も『子供はわかってあげない』も『ドライブ・マイ・カー』も観ていない。そのかわりに、自宅で映画を見る習慣が付いた。今年の9月頃は、U-NEXTから再度トライアルの案内が来ていたので登録して、ヴィム・ヴェンダースジム・ジャームッシュの映画を集中的に見た。後日AmazonPrimeでも配信が始まったけれど、エリック・ロメールが見たくて「ザ・シネマ」に1ヶ月登録した。ウォン・カーウァイもあるしミニシアター系と謳っているだけあって魅力的だった。
U-NEXTに登録したときのことは妙に記憶に残っている。数年前、就活の帰りに寄った多摩センターのイオンシネマで声をかけられて、映画が1本無料になるというのでトライアルに登録したのだ。当時話題になっていた新海誠『君の名は』を観た。館内には朝井リョウ原作の映画『何者』の大きなポスターがあって、私はリクルートスーツ姿だったのでキャンペーンのお兄さんと「あれ(何者)見るんですか?」「さすがにタイムリーすぎて見られないですね」という会話をした。映画を観たあと、たしか下北沢に泊のライブに行くので時間をつぶすために、多摩センターのショッピングモールで海鮮丼とクレープを食べた。平日の夕方、小雨ということもあって人もまばらだった駅前のショッピングモールで、セール中のクレープ屋さんにだけ列ができていた。今でもぼんやりと思い出すたびに多摩センターに行きたくなるのだけど、私が行きたいのは「あのときの多摩センター」であって、いま同じ場所に行ってもきっと違うのだ。そういえば、U-NEXTではじめてサブスクを体験した。久しぶりに見るとお笑いの単独も充実しているし映画も好きなラインナップだけど、どうしても値段がネックになって登録に進めない。

f:id:Vanity73:20211229175724j:image美術展は、感染者数が落ち着いた下半期にお出かけを兼ねていくつか足を運んだ。水戸美術館の『佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在』が素晴らしかった。昨年、原美術館で見て胸を打たれた「東京尾行」をはじめ、ただ通り過ぎる人や揺れるブランコ、飾られた花瓶など、佐藤雅晴が写し取らなければ忘れられていったであろう風景がそこにあり、永遠に見ていたかった。cero「入曽」の、

誰も渡らない信号機が 赤になって 青になって また赤になる

という歌詞とそこから立ち上がる情景が好きなのだけど、映像を見ているあいだずっとこの曲が頭に流れていた。

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f:id:Vanity73:20211229175826j:image営業終了した熱海のホテル、ニューアカオを会場にした『ATAMI ART GRANT』も見に行った。完全に建物が目当てでお昼と夕方の2回赴いたのだけど、薄暗い大きな宴会場は夢に出てきそうなくらいゾッとした。とてもいい体験として、この先何度も思い出すだろう。

f:id:Vanity73:20211229175927j:image以前は通勤電車で本を読んでいたのが、自転車と車の通勤になってから本を読む機会がぐっと減ってしまった。読みたいと思いながらも、いざ開いてみると集中力が続かない。本に限らず、全体的に集中力や感受性、理解力が低下しているのを感じる。昔みたいに、夢中になることがなくなってしまった。自分ではストレスを感じているつもりはなかったけれど、この2年間での世界や個人的な変化に少なからず影響を受けているのかもしれない。いままでの趣味に費やす時間が減り、休日に何をしているかというとドライブに出かけることが圧倒的に増えた。実家の車を買い替えたタイミングで譲ってもらった軽自動車を乗り回して、横浜、湘南、箱根、熱海など比較的近場をうろうろしている。免許を取ってから3年ほどは全くハンドルにも触れていなかったのに、今では土砂降りの首都高だって走れる。夏の間は昼の高速料金が上乗せされていたので、実家に帰る際には深夜の首都高を何度か走ったのも楽しかった。以前は遊びにいく場所だった東京が、今年は通り過ぎる街になった。

f:id:Vanity73:20211229180123j:imageいまのところ仕事でも大きなストレスはなく、生活の中での関心は体重と支出の数字ばかりだ。野菜中心で、揚げ物など油ものを摂取しない食生活を送っていたら4月から約5㎏体重が減った。3度の飯より甘いものが大好きで、はじめのうちは摂生していたけれど最近それも崩れてきた。それなりにまじめに働いているのだから、食べたいものを食べて、欲しいものを買って、行きたいところに行けばいいではないか、という気分と、体型や家計を自律して整えることができる自分が好き、という自己肯定感が周期的に拮抗する。痩せる前は時間も気にせず食べたいものを好きなだけ食べていて、そりゃ太るわという生活だったのだけれど、たまに何も気にせずものを食べていた頃に戻りたいと思うことがある。ダイエットをはじめて気付いたのは、一度始めると一生終わりがないということだ。長期休暇で1週間ほど実家に戻ると自宅では出てこない料理やお菓子が山のようにあり、堰を切ったように食べて2~3kgは増える。過去の体重の増減を見て1週間で戻せると確認したり、身長に対する標準体重を検索してまだそこに達していないことに安心して食べたり、不健康だと思う。昔と比べて「痩せた」という事実があっても、現状の自分を完璧に「痩せている」とは思えないのだ。

しかし、体重が減ると身体から丸みが削がれて、髪も耳より上の短さにしていると、外見から「女性的」な記号がなくなり、自分から性別がなくなったようだと思うようになった。マスクをしているとさっとアイメイクをするだけでお化粧をほとんどしなくなったのもある。ありがたいことに職場もジェンダーを感じさせるようなストレスはなく、知らず知らずのうちに「しなければいけない」と刷り込まれていた結婚や出産もマストではないと思えるようになって、生きていくうえで肩の荷が降りた。

f:id:Vanity73:20211229085102j:plain年末年始の区切りに新鮮ですこしおごそかな気持ちになって、ひと月もしないうちに崩れていくことはわかっていても目標を立てたくなる。来年は、コンビニで無駄遣いをせずに、甘いものは仕事を頑張れたタイミングで少し良いお店にパフェやケーキを食べに行くこと、家で本を読む時間を作ること、感じたことを言葉にすること、自律神経が乱れる前に意識的にたんぱく質を摂ること、腹筋を割ること、仕事中に身体が凝らないように姿勢に気を付けること、だらだらとSNSを見ないこと、毎月の収支を少しでもプラスにすることに努めたい。それから、夏の休みには車で神戸と尾道へ旅をしたい。定職に就いて大きな不安がひとまず解消されたので、来年からはとにかく健やかに仕事と生活を続けることができればいい。何があっても私には私がいると思えるくらいの自信もついてきた。柴田聡子の「雑感」がいまの気分や考えていること重なって、何度も聞いた。聞けば聞くほど、歌詞の一言一言にメロディが付いて歌われているということが奇跡のように思える曲だ。

トイレの鏡に映る私は私を焚きつける

諦めない顔と目つきは格好良くてしびれる


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お弁当日記

f:id:Vanity73:20211018070427j:image月曜日。オムライス、トマトとブロッコリーのソテー、にんじんセロリ、れんこん、アスパラ、ホワイトシチュー。1週間くらい前からケチャップライスにホワイトシチューの組み合わせをやりたくて、冬のはじまりに相応しいお弁当ができた。昨晩は寒さのせいかうまく寝付けず、夜中に何度も目が覚めて暖房をつけた。起床すると空気の冷たさが昨日までと完全に変わっている。いそいそと赤いタートルネックのニットと千鳥格子のマフラーを着込んで自転車に乗る。手先と耳の冷たさ、暑さから暖かさに変わった太陽の光、澄んだ空。自転車を漕ぐうちに徐々に上がっていく体温の感覚を久しぶりに思い出した。

夜はたらとほうれん草、大根の鍋。少し残して冷凍野菜を加えて明日のお味噌汁にした。パク・チャヌク『お嬢さん』を見る。何度見ても大好きな映画。秀子が石垣を乗り越えるために、スッキがトランクを重ねてあげるシーンがとても好き。

f:id:Vanity73:20211019084930j:image火曜日。ガパオライス風、たけのことピーマンのチンジャオ、にんじんセロリ、れんこん、トマト、ブロッコリー。以前作って冷凍してあるナンプラーで味付けしたそぼろ、好きな味にできて気に入っているけれど目分量なので同じものはきっと作れない。小さな目玉焼きを乗せるのもやってみたくてうまくできた。朝の台所に卵やパンを焼く匂いがすると豊かな気持ちになる。火曜日は時間に余裕があるので、エリック・ロメール『友だちの恋人』を見る。見知らぬ人同士が知り合い関わりあう様を見て、社交性のない私はつい「よせばいいのに」と思ってしまうのだけど、言わなくてもいいことまで言ってしまう可笑しみは山内ケンジの「城山羊の会」に通ずるものがあって、ロメール作品の楽しみ方を掴めた気がする。色使いが印象的で、この映画は特に2組のカップルの服装の色が対になっていたりして面白かった。

雨のせいか午後から頭痛がして眠たい1日だった。車も寒くて暖房を入れると、温風に目が乾いて気分がぼんやり眠たくなる。真冬は暖房でぼうっとして、外に出ると空気の冷たさが気持ちいいことを思い出した。夕食後、買っておいたラミーチョコのアイスを少し食べる。美味しすぎる。寒くてもアイスは食べたい。いつもはシャワーで済ませるけれど、今日は湯船につかる。ぽかぽかで身体がほどけていくのを感じる。

f:id:Vanity73:20211020065738j:image水曜日。オートミールの蕪の葉ごはんとケチャップライスを丸くおにぎりにしてみる。卯の花、ひじき、山菜、れんこんはさみ焼き、アスパラ、ゆで卵。相変わらず寒いけれど、雨上がりの晴天で爽やかな気候。毎朝高速道路の往来を眺めながら、どこかへ行きたいなとこんな天気の良い日には特に思う。そんな気分もあって『キンシオ 東海道を行く』を見てから家を出た。

午後から身体がぐらぐらと重たくなるのを感じたけれど帰宅してご飯を食べたら治った。毎日ほぼ同じ時間に起床・就寝して、ご飯も朝はヨーグルト、バナナ、グラノーラ、昼は野菜のおかず中心、夜は蒸した野菜、魚、納豆、汁物、間食で小さなお菓子やアイスクリームと、大きな変化のない生活習慣を送っていても、体調を一定に保つことはできない。最近では気候や周期によって揺らぐ身体や精神をそのまま受け入れられるようになってきた。特にコントロールしたい食欲がいちばん難しい。この日はハリボテのように大きな満月で、雲に滲んでいるのが一層綺麗な夜だった。健康な身体と明瞭な意識、陽の光のゆらめきと景色の変化を味わう余裕のある今の生活のなんと贅沢なことか。

f:id:Vanity73:20211021071649j:image木曜日。そぼろご飯、ピーマンの肉詰め、チンジャオ、山菜、ゆで卵。木曜日の仕事は比較的のんびりでうとうとするので、テンションを上げるために新しいスニーカーをおろした。

f:id:Vanity73:20211022133312j:image帰りに店舗取り寄せしていたしまむらロゴスニーカーを買いに行く。靴なんて滅多に買わないのに、なぜか2週続けてスニーカーを買ってしまった。余計な買い物だったかな…と思いつつも、実物を見たら可愛くてテンションがあがる。とても久しぶりにしまむらへ来たらサンリオグッズが色々あって思わず下着とハンギョドンのルームシューズまで買ってしまった。しまむらはスーパーの2階に入っていてはじめて来たのだけど、1階のスーパーはやけに売り場が広くて閑散としている上に入ってすぐのところに展示販売の羽毛布団がぶら下がっているし、最近読んだパリッコさんの『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』を彷彿とさせた。それにしても良いタイトルだ。すぐ近くに便利なスーパーやドラッグストアを見つけると、少し距離がある方へは用事がない限り行かないけれど、こうして入ってみると妙に新鮮で、旅情のようなものをかき立てられる。こういう感覚を面白く言語化しているパリッコさんやスズキナオさんの文章が好き。

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金曜日。今週は土曜出勤なので有給。3時ごろに目が覚めて再び寝つけなさそうだったのでそのまま起床した。先週、メラミンスポンジでマグカップの茶渋を綺麗にしたら気持ちよかったので、前日にダイソー重曹スプレーやスポンジなどお掃除グッズを買い込んで水回りの掃除に取り掛かる。何かこれをやろうと思い立つと頭で段取りをして、早くそれをこなしたくなる癖がある。ずっと気になっていた換気扇は外してみるとそこまでひどい汚れではなく、見て見ぬふりをしていた魚焼きグリルの汚れがなかなかしぶとかった。お風呂と洗面台、シンクの水垢も落としてだいぶ綺麗になり達成感。しかし、つい面倒くさがってしまうけれど、水回りは気付いた時にこまめに掃除しておいた方が楽だな。つくづく自分は雑だと感じると同時に、仕事面でも生活面でも生きやすい大雑把な人間だということに最近気が付いた。ひと段落して、エリック・ロメール『レネットとミラベル/四つの冒険』を見る。田舎と都会、倫理と道徳のようなものの間で揺れながら進んでいく。「夜明け前」が好きだった。

f:id:Vanity73:20211022181935j:imageドラッグストアとスーパーへ買い物に。平日のスーパーは空いていて落ち着いて買い物ができていいな。常備しているヨーグルトと納豆を買い込み、安かったので鶏レバーと鶏もも、白菜、レタスも購入。甘いものは極力家に置かないようにしていたのに、最近それが崩れてきてアイスやビスケットを買ってしまう。我慢しすぎるのもよくないか、と自分に対してゆるくなっている。帰宅して、ズッキーニとレタスをソテーしたものと粉末のコーンスープ、ヨーグルト、はちみつのビスケットで昼食。エリック・ロメール『満月の夜』を見る。『海辺のポーリーヌ』や『緑の光線』など、陽の光と緑の印象が強かったけれど、夜の街の明かりや夜明け前の静かな青も美しく撮る人なんだな。登場人物の服装がいつもお洒落で、原色の組み合わせを自分もやりたくなる。

f:id:Vanity73:20211023114930j:image朝が早いと自ずと時間の流れが前倒しになり、休日はだいたい16時過ぎには夕食をとる。鶏もも、白菜、大根の鍋。お水とお酒で沸かして、ポン酢と七味だけで充分美味しい。鶏レバーは甘辛煮にしたら、なかなか美味しくできて嬉しい。和食系は「白ごはん.com」のレシピを参考にするのだけど、手順や味付けも間違いなく仕上がる。食事中、入浴後はウォン・カーウァイブエノスアイレス』を見るともなしに流していた。ふと香港のネオンに目が釘付けになる。髪が短いトニー・レオンはちょっと三島由紀夫に似ているなと、この前『三島由紀夫vs全共闘』を見たばかりなのでふと思った。

f:id:Vanity73:20211023070302j:image土曜日。オムライス、ミニトマトとアスパラのソテー、ブロッコリー、れんこん、豆乳スープ。昨晩の鶏と白菜の鍋の残りに豆乳を入れてスープにしたらとても美味しい。昨日の雨とは打って変わって抜けるような晴天。空気は冷たいけれど陽射しがあたたかくて気持ちのいい天気だ。しかし、あまりに家が寒すぎるので朝に凍えながら電気ストーブを注文。その日の夕方には発送の連絡がきて、普段はそんなに早くなくてもいいのにと思うけれど、今回ばかりはありがたい。

f:id:Vanity73:20211023191455j:image今日はイレギュラーな業務で、普段行かない場所での仕事だった。窓の向こうの緑や、ガラスの陰を眺める時間があって新鮮な気持ち。夕方は建物に差し込む西陽が美しかった。半日立ち仕事で体力を消耗したので、カロリーの高いものを食べるなら今日だ!ということで帰りにコメダ珈琲でピスタチオのシロノワールとホットミルク。ピスタチオブーム、終わらないで欲しい。店内はそれなりの客入りだけど不思議とうるさくなくて、ひとりがけのカウンター席にしてもらったのもあって安心して飲食できた。帰宅してすぐにお湯をためてお風呂につかる。疲労と寒さのせいか頭痛がして、テレ東をぼんやり眺めてから就寝。

f:id:Vanity73:20211024150509j:image日曜日。4時に起きて筋トレ、鶏ハムと野菜スープを仕込んだり、小豆とオートミールを煮て赤飯風にしているうちに外が明るくなる。晴れの日の、空が紺色から徐々に薄桃色、水色になる時間がいちばん好きだ。『バナナマンの早起きせっかくグルメ』を見て、床掃除と窓拭き。今週はお掃除デー。コゴナダ『コロンバス』を見る。小津安二郎オマージュというだけあって、建物や室内の構図へのこだわりが美しかった。部屋の窓から見える緑や、ふと差し込まれる緑色の椅子のカットが目に焼き付く。静かで好きな映画だった。ズッキーニとかぶ、レタス、サラダチキンをオリーブオイルで焼いたものとにんじん、ごぼう、枝豆のマヨネーズ和え、野菜スープで昼食。サラダチキンを改めて焼くと付け置いていた塩麹の風味が引き立って美味しい。

f:id:Vanity73:20211024150454j:image日が高くなるにつれて部屋の温度が暑いくらいにあがる。夏とは陽射しの入り方が違う。寒さ対策という意味でもいよいよカーテンをひかなければと思う。こんな日は海や公園のような開けた場所にでも出かけたらさぞ気持ちいいだろうなと思いつつ、どこへ行っても人が多いだろうとおとなしく家で過ごすことにする。今月はなにかと買い物もしてしまったし、車もそろそろ給油が必要だけどガソリンがおそろしいほど高い。車を拭いていたら電気ストーブとPinkoiで買ったChangeToneの靴下が届いた。本当はアラジンの石油ストーブが可愛いけれど灯油は色々と面倒なので、石油ストーブっぽいルックスのものを選んだ。検索して上位に出てきたものをぱっと買った割に、部屋に馴染んでよかった。エリック・ロメール『パリのランデブー』を見る。風景の切り取りよりも、洒落の効いたやり取りにクローズアップしている要素が強い。こういう映画を見ていると、自分にとって「恋愛」や他者と対話をすることが遠く他人事になったと感じる。

f:id:Vanity73:20211024184201j:image休日は午前中にタスクを詰め込みすぎて昼過ぎにはくったりとしている。今週のバナナムーンを聞きながらごろごろして、16時過ぎに具を足した豆乳スープ、メカジキの西京焼き、鶏ももの玉子とじ、にんじんごぼう、ズッキーニ、かぶ、レタスで夕食。シャワーを浴びてウォン・カーウァイ恋する惑星』を見る。トニー・レオンフェイ・ウォンの印象しかなかったけど、改めて見ると前半の金城武とブリジット・リンのパートの意味不明さもクールだ。