ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

ちかごろは、

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9月末からTBSラジオで始まった『アルコ&ピースD.C.GARAGE』を聞いてみたら面白くてすっかりアルコ&ピースに夢中だ。平子さんのキャラクターが強い印象だったのですが、ラノベのコーナーの導入を聞いていると酒井さんも相当イカれてることが分かった。過去のオールナイトニッポンもこつこつと聞いているのですが、ちょっと今までに味わったことのない面白さで、こんなに面白いものを知らずにいたのか…とショックを受けている。「いかちい」「バカかっけえ」といった最高の酒井ボキャブラリーを使いたくてたまらない。ラジオ内で驚異のアマチュア新人として名前が出た漫才コンビ「まんじゅう大帝国」、そのネーミングセンスに心を掴まれGyaoM-1予選の漫才を見てみたら期待を軽々と飛び越える面白さ。他のネタも見たいな〜

 

11月11日

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横浜美術館にて『BODY/PLAY/POLITICS』を鑑賞。石川竜一の写真群に見入る。壁に被写体に関する文章がチョークで書かれた《小さいおじさん》や《グッピー》の見応えはもちろん、街の人々をスナップした写真の生々しさが尋常でない。渋谷駅前のギャルの太もものガーゼや、下北沢ヴィレヴァン前の女の子の白いレースのタイツから透けて見える絆創膏。そういったものが意図して写されているかは定かではないが、はっきりとピントを合わせて撮られた人物から立ち上る生々しい「生」と「身体」が焼きついて離れない。

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みなとみらい。

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STスポットでロロ『すれちがう、渡り廊下の距離って』を観劇。今回もとても良かった。 10分間のセッティングのときから不思議な存在感を放っていた大村わたるさんが演じた点滅、最高だったなー点滅、太郎、楽がラップでだんだん盛り上がるところ永遠に見ていたかったです。

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11月12日

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本多劇場阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』を観劇。それぞれが正しいと思って選択したことが全て間違っている。これ以上無いほどの最悪へと向かっていくさまにゾクゾクする。あらすじはそれはもう悲惨なんだけども、コメディとしての精度がとても高い。ブラックコメディともまた違う、やるせなさが漂う戯曲とそれを体現する役者陣の素晴らしさよ。

 


映画『友だちのパパが好き』予告編

 下北沢トリウッドで山内ケンジ監督『友だちのパパが好き』を鑑賞。喋る人物全員を画面内に収めてワンカットで会話を撮っているのが印象的だった。言葉尻をつかまえて相手を追求する会話のいやらしさや息苦しさが画面にも充満している。しみじみとおかしくて面白かったなー自分でお腹を刺すシーンで笑ってしまうとは。それから、年相応にくたびれているけど長い付き合いの愛人がいて、娘と同い年の女の子に言い寄られて結構簡単に手を出しちゃう軽薄な男を演じる吹越満の説得力が凄い。

上映後に舞台挨拶があったのですが、劇中では少しツンとして疲れがにじむ妻を演じていた石橋けいさんが素ではとても綺麗で華のある方で、月並みに「女優ってすごいな」と思いました。あと吹越さんバカかっけえ。

 

11月16日

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2019年の大河ドラマ宮藤官九郎が書く、という大ニュースが飛び込んできた。ラジオや週刊文春の連載でリオオリンピックへ行った話をしていたので何かしらの形で関わるのだろうと思ってはいたけれど、まさかオリンピックをテーマにした大河ドラマとは!クドカン脚本の約40分のドラマを一年間、毎週観ることができると考えただけでクラクラする。ドラマ放送時は視聴率のことなどで意気消沈する様子をラジオで聞いているので「だ…大丈夫だろうか」とか、大河を書くということは舞台はしばらくお休みかしらという気持ちにもなるのだけど、演出に井上剛というのは非常に心強い。脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛、制作統括・訓覇圭とは言うまでもなく『あまちゃん』の布陣な訳で、そりゃあもう色んな期待が膨らんでしまうな。次から次へとこの人が出たら良いな〜という役者さんが浮かぶのだけど、特に『ごめんね青春!』で宮藤さん脚本、『トットてれび』で井上さん演出を経験した満島ひかりに出て欲しい。あとのんちゃん。のんちゃん。スポーツ選手なら森山未來も良いなあ。宮藤作品お馴染みの人だけじゃなくて、新しい人にも沢山出て欲しい。ああ~2年先にも楽しみが待っているなんて、幸せだ。2020年の東京オリンピックは本当にできるのか?という感じだけども。

 


『溺れるナイフ』本予告

 山戸結希監督『溺れるナイフ』を鑑賞。前触れなく走り出す夏芽(小松菜奈)とコウ(菅田将暉)の痛々しいまでの衝突。二人が交わす視線は火花が散っているかのごとく激しい。互いのもつ「特別なもの」に憧れと嫉妬をかき乱される様が、赤と青の鮮烈なコントラスト、追いかける・すれ違うといった運動性を通してこれでもかと画面に叩きつけられているかのようだ。「画」そのものに気を当てられるエネルギーがあって、凄いもん観ちゃったなーという感じだ。あと、『ごめんね青春!』の海老沢役を好演していた重岡大毅演じる大友が最高で「青春ってのはお前のことだよ!」と背中を叩きたい気分になった。カラオケのシーン良かったな。あとTシャツが絶妙。これに関して、スタイリスト伊賀大介のインタビューも面白かった。

realsound.jp

 

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シアタートラムにてKERA・MAP『キネマと恋人』を観劇。KERA作品でお馴染みの小野寺修二による振付と上田大樹による映像で構成されたオープニングや場面転換の美しさに冒頭からため息がもれる。あのオープニングだけでも見に来て良かったと思うくらいの満足度。ウディ・アレンカイロの紫のバラ』をベースに展開される、映画を愛する女性・ハルコ(緒川たまき)と映画から出てきた男・虎蔵とその俳優・高木高介(妻夫木聡)のロマンチック・コメディー。ちょっと抜けてるキャラクターの緒川たまきがもう、可愛くて可愛くて。架空の方言を話すのですが、それもまた良い。「ごめんちゃい」ってのが最高にキュート!演劇にしては場面転換が多く、スクリーンの中や、虎蔵と高木が対面する場面でのケレン味あるアイデアなど見応え充分でありました。最後の高木の表情も、映画を観て笑うハルコの表情も、知っているのは私たち観客だけなのだと思うと切なさもひとしお。

 

11月17日

ユーロスペースにて片渕須直監督『この世界の片隅に』を鑑賞。もう、素晴らしかったです。私としては「のん」こと能年玲奈ちゃんの復帰作という意識が強くて、もっと純粋な心持ちで観るべき映画かも知れないなあと思いながら見始めたのですが、映画が始まると色んな思いが洗い流されてただただ『この世界の片隅に』導かれる。優しく力強い。

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11月18日

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世田谷パブリックシアターにて『遠野物語 奇ッ怪・其ノ参』を観劇。遠野物語を軽く予習しておいた方が良いかと思い図書館で色々と見ていたのだけども、水木しげる遠野物語を描いた漫画が読みやすくて面白かった。 水木しげるの描く座敷わらしがまた可愛いんだな〜

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

 

遠野物語岩手県遠野に伝わる神様や理屈では説明のつかない出来事を集めたもので、これといったオチがなくつかみどころがない話が多いということを前提に観ることが出来たので予習しておいて正解だったな。この芝居では、方言の使用や迷信といった科学的根拠のないものの記述・出版が禁止された世界を舞台に、語りと芝居の場面をシームレスに行き来する。遠野物語の伝承と、それが人為的なもの、色々な事情からそうすることしかできなかったものでもあるという側面を描き、境界を曖昧にしていく。「物語る」ということの必要性を浮き彫りにしているのは伝わってくるのだけど、最後のイノウエの失踪した妻の話やときおり挟まれる感情的な演技がどうも取って付けたもののように感じられてしまった。そこを除けば、シームレスな場面転換や全体の構成はとても面白かった。そして「語り」がテーマなだけあって声(と発声)が抜群に良い役者さんが揃っていて見応え&聞き応えあり。

映画『この世界の片隅に』

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こうの史代の同名漫画を片渕須直が映画化した『この世界の片隅に』を観ました。私がこの作品を知ったきっかけは、「のん」と名前を改めた能年玲奈が主演声優をつとめるというニュースです。映画が始まってすぐは、「ああ、のんちゃんの声だ」と感じ入っていたのですが、小さなすずさんが海苔を背負う仕草や、かじかむ手に息を吐き鉛筆を削る仕草など、ひとつひとつの動作が丁寧に描かれている姿を観ているうちに、聞こえてくる声はすずさんの声以外の何物でもなくなっていった。堅実に描かれた広島の街並みに、すずさんという人物が確かに存在しているのだ。井戸で水を汲む、野草を摘んでご飯を作る、着物をもんぺに作りかえる、畑から軍艦を眺める、道に迷う、絵を描く、周作さんと口づけをする、喧嘩をする、防空壕へ避難する...すべてのことが同一線上に並んでいる。ぼーっとしているすずさんがバケツを人にぶつけまくったり、お砂糖を蟻から守ろうとして水に沈めちゃったり、ハゲがばれないように周作さんの手を振り払ったりする日常の一幕がどれもチャーミングで愛おしい。「戦時下の人々」を描いているというよりも、ひとりひとりの暮らしに戦争が訪れ、色々なものが失われながらも暮らしを守り続ける様子を、綿密な時代考証のうえで堅実に描ききっている映画だと思いました。「戦時下の人々」にはひとりひとりに名前があり、暮らしがあるということを、はっきりとした感覚で得ることができる。黒い布を外したランプから漏れる家々の灯りの風景も忘れがたいシーンのひとつだ。

そして、すずさんが右手を動かすと線が引かれ、筆を置けば色がつくという一連のアニメーションもそれだけで素晴らしく、単純に映像を観るよろこびが詰まった映画でもある。色の付いた煙と絵の具を打ち付ける筆が混ざり合う空襲のシーンや、すずさんが右手と晴美さんを失った瞬間のアニメーションは胸に迫るものがあった。辛くて仕方がないのだけど、暮らしは続いて、そこには笑いも生まれるという感慨にそっと寄り添うのがコトリンゴの歌う「悲しくてやりきれない」だ。オープニングで流れるのだけど、観終わったあとに聞き返すと、これほど映画のムードに寄り添う音楽もないな、というくらい素晴らしい。

一本の映画を観たという以上にすずさんの暮らしを体験したという感覚に近く、数々のシーンを思い返すとなんだかずっと前から知っていたような気分にさえなる。呉の街を、あの人たちのことを私は知っている。なんて幸福な体験だろうと思う。私は原作を読まずにストーリーを知らない状態で観たので、後半の展開に涙が止まらなくなってしまって、見逃している細かい箇所が山ほどありそうなのでまた観に行きたい。好きなシーンやすずさんを演じたのんちゃんの声のここが最高、みたいなのも沢山あるんですけど、ひとつ挙げるならば、おばあちゃんの家で天井から現れた子のためにすいかを貰ってくるときの小声での「おばあちゃーん」でしょうか。「あちゃー」といったおっとりした場面から、強い意思を感じさせる場面まで、どこを取っても素晴らしくてのんちゃんはやっぱり凄い女優さんだと胸がいっぱいになりました。のんちゃんが主演じゃなかったら、私はこの映画を観ないままだったかも知れない。そう思うとぞっとする。

 

鑑賞後すぐに原作の漫画を購入して読みました。前述のすずさんが海苔を背負うシーンなど、漫画でも丁寧に描かれた動作がアニメーションになっていたのだなあという感動と同時に、とても自由な画面構成や筆触で描かれていることに驚く。なんというか、漫画全体がチャーミングで可愛らしい。映画関連のインタビューや記事でこうのさんが色々な方法・技法(紅や左手で描いた風景など)でこの漫画を描かれたことを知りました。楠公飯のシーンとかとても好きだ。映画ではリンさんとのエピソードはニュアンスは少し残しつつも大幅にカットされていて原作を読んでこれもまた驚いたのですが、確かに映画で描かれていたらキャパオーバーで受け止めきれなかったかも知れないな。沢山の注釈や参考文献が記載されていて重厚な読み応えがあるのだけれども、パラパラとめくって好きなところから読み返せるような親しみも持ち合わせていて、この先ずっと読んでいく漫画なんだろうなと思う。

ロロ いつ高シリーズVol.3『すれちがう、渡り廊下の距離って』

 

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11月11日に横浜STスポットにてロロのいつ高シリーズVol.3『すれちがう、渡り廊下の距離って』を鑑賞。限定公開されていたVol.1『いつだって窓際であたしたち』、Vol.2『校舎、ナイトクルージング』を観て復習し、気持ちを高めて万全の体制で観たのですが、それはもう素晴らしくてまたしても胸がいっぱいになりました。

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今回は、Vol.1で校庭を見つめていた白子(大場みなみ)、彼女と別れたショックで校庭を時計回りに走っていた内蔵逆位の太郎(篠崎大悟)、Vol.2で夜の校舎で肝試しをした楽(大石将弘)、そして新キャラクターの点滅(大村わたる)が登場。点滅と喧嘩中の彼女・田野辺の伝言のために渡り廊下を行き来する太郎と、それを見つめる白子、映画を撮るために将門と待ち合わせをする楽がすれちがいながら出会う物語だ。「渡り廊下の距離」がそのまま点滅と田野辺の気持ちの距離であると同時に、その渡り廊下は楽と太郎が出会い、白子が太郎と対面する場でもある。校舎をつなぎ、ばらばらだった彼らをつなぐ渡り廊下。そこにいる彼らだけではなくて、置き忘れた楽の携帯電話に出た太郎は、Vol.1で追いかけてきた将門と再び出会う。

三作目になると前作からのつながりがどんどん立体的になってくるので、それを頭の中で繋げていくのがとても楽しい。楽が将門と撮っているのは「学校中の音を集めて音楽を作る男」の映画で、タイトルは「校舎、ナイトクルージング」!これは昼間に録音した教室の音で夜の学校を満たす(逆)おとめとの出会いがきっかけになっているのだろう。それに出演したがる白子(彼女が歩き踊りながら歌ったザ・ハイロウズの「青春」の素晴らしさよ)、楽に出演を打診される太郎、と少しずつ彼らの関係が広がっていくことに否が応でも感激してしまうではないですか。(逆)おとめ、渡り廊下には盗聴器をしかけているのかなあ。

白子が太郎に渡した写真は、Vol.1で太郎の走った分だけ白子がストリートビューで見てきた場所だろう。そして太郎が言った「(元カノの海荷との旅行の)帰り道の方が好きだった」という台詞に、朝と茉莉、瑠璃色の間で交わされた「内蔵が逆だから、登校中に下校する」太郎と、別れたショックで富士山を下山する海荷を思い出す。ホームページでは海荷がVol.4に登場予定となっていて、どんな子なのかとても楽しみだ。

それから、舞台上にはいなくても登場人物が確かに存在するのだという感触もとても大きかった。楽の見上げる教室には将門が、点滅と太郎が見上げた音楽室には田野辺が、まなざしの向こうに確かにそこにいる。楽の電話の向こうには朝がいる。ゴミ箱の中の崎陽軒のシューマイ弁当のパッケージを見ればシューマイのことを思い出す。中でもやっぱり将門の存在感はめちゃめちゃ大きくて、手紙の落とし主を探す将門、学校中のピンクのチョークが無くなる大事件に巻き込まれた友達を助ける将門、太郎が出た電話に慌てる将門...目に浮かぶようだ。すっかり将門のことが大好きだ。でも、シューマイの紹介のところにある「将門ともっと仲良くなりたいとおもってるけどおもってるだけ」というの分かりすぎて泣けちゃう。深夜ラジオ(JUNK)が大好きな(逆)おとめのこともまるで自分のことのように思っているし、どうしてこんなにいつ高が大好きなのだろうと考えると、魅力的なキャラクターたち(出てくる役者すべてがハマり役で好演!)の中に「自分がいる」と思わせてくれるような親しみと優しさ、それをファンタジーとして引き受けきる器量がこの作品にあるからではないかと思う。すべてが愛おしいここはまさしく、いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校なのだな。

渡り廊下の美術も素晴らしくて、暮れていく陽や、暗くなると灯る蛍光灯、最後に楽の電話の話し声とともに明滅して消えていく蛍光灯の照明演出にもノスタルジーやセンチメンタルを刺激される。今回も固有名詞の数々に胸を鷲掴みにされ(ひもQの挿話たまらん)、宮藤官九郎好きとしては前回の『GO』に続き『木更津キャッツアイ』が出てきて嬉しい。いつ高のみんなの未来も100パー楽しいよね。

 

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青い街/フイルム

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 いくつかの台風が近くをかすめながら通り過ぎていくうちにするすると夏が終わり、もう秋になったのかしらというお日柄。9月末には思い出したかのようにぶり返す初夏の陽気。半袖という気分でもないけれど湿気もあるので何を着たら良いのかわからないなあと例年通り思いながらお気に入りのジャージを羽織って過ごしております。「去年は何を着ていたっけ」と思いながら服装に迷うのが季節の変わり目というもの。次の夏の始まりが来ても「去年は何を着ていたっけ」とおんなじことを忘れる準備はもう出来ている。

 

 15日木曜日。『新世紀エヴァンゲリオン』全26話を見終える。劇中のアナウンスや環境音、例のサントラ(デーンデーンデーンデンドンドンってやつ)、ヤシマ作戦シン・ゴジラだ~!といちいち興奮する逆転現象を起こしながら観た。2015年の話なんだな。「11才でドストエフスキー 15才でエヴァンゲリオン」は相当最悪なコースであることを感じ入りながら「普通の恋」(菊地成孔 feat.岩澤瞳)を聴けるようになりました。

 

『ぼくのおじさん』 特報

17日土曜日。 第9回したまちコメディ映画祭in台東で『ぼくのおじさん』を観る。おじさん(松田龍平)、最高です。ストーリーテラーでもある雪男(大西利空)のおじさんを見る眼差しや「~かい?」という小学生らしからぬ言い回しも素晴らしい。おじさんというキャラクターのおかしさだけに依拠するのではなく、小学生たちの会話のちょっとしたおかしさ(文脈は省きますが、雪男の同級生の女の子が「渡瀬恒彦みたいで格好良いよね」と言うシーンが好きです)、おじさんを完全に小馬鹿にしている雪男の妹、普通の両親(寺島しのぶがちょっとカリカリしている普通の母親を演じていて新鮮/チョビ髭の威厳ある父(宮藤官九郎)も普通の父親なのだけど、どこかおじさんの兄であるという説得力があって宮藤さんがキャスティングされた理由がわかる気がする)・・・周囲との関わりで引き起こる可笑しみが丁寧かつ冷静に描かれている。そして、こまごまとした描写が連なる普段の町からハワイへと広がっていくのも「映画的」で心地の良い画面の連続。大ヒット!しそうな派手なタイプでは無いけれど、コンスタントに続編が作られる映画になったら良いな。何度でもおじさんと雪男に会いたくなる。

 

劇中に登場する大橋裕之画のおじさん、舞台挨拶で大西利空くんがアロハシャツに人形をつけていてとっても可愛かった。大橋さんの作風と松田龍平、ぴったりですね。是非ともグッズとして発売よろしくお願いしたい。おじさんと雪男のアロハも欲しいけど公開11月だとアロハは無いかあ。

 

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 18日日曜日。今日もしたコメで『大江戸りびんぐでっど』。前日の『ぼくのおじさん』にも出演していたので実質宮藤官九郎2daysであーる。最後の戸板のシーンすごいな。宮藤さんも修正不可能のテンションで死神を演じる中村獅童、最高の最高でした。

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アンヂェラスでフルーツポンチ。

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京急の特快に乗ったら新幹線のような前向きのシートでわくわくする。「え?蒲田に?」の蒲田も通過するし。そういえば、デイリーポータルZで見たやつだ。たまに乗ると少し旅行気分になるけれど、日頃使うとなると窓際に座ったら下車するときに気を遣いそうだし立っているスペースも少ないしちょっと不便そうだな。

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 横浜で下車して西口方面を彷徨っていたらソープランド富士の立派な建物に遭遇する。なんとなくカメラを向けにくくて写真は撮れなかったのですが、ロゴといい飾り窓といい素晴らしかったな。なによりでかい。閑散としたオフィスビルや飲食店の中に突如表れるのでびっくりしてしまった。

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黄金町を散策。横浜橋商店街では神輿が出ていた。祭りの賑わいというよりは粛々と神輿が進んでいる不思議な雰囲気の、本当に商店街だけのお祭りで、知らないところに迷い込んでしまったかのようだった。あの場で地元の人間じゃないのはおそらく私くらいだったのでは無いだろうか。黄金町の川沿いから商店街への道のりには素敵な映画館ジャック&ベティ(ここで映画を観てみたい)。それから、もともとは「ちょんの間」であったことが関係しているのか住宅街のすぐ隣には風俗店や案内所がひしめきあっていた。風俗店やラブホテルのネオンと建物ってどうしてあんなに魅力的なのかしら。いつもは新宿や渋谷の繁華街でしか見る事がないので、生活圏にあるというのはどんな感じなんだろうと思った。ギラギラしているし浮かれたネーミングも子供心をくすぐるだろうけれどきっと当たり前の風景で、小学5、6年生くらいでどういうお店か知るのだろうか。もっと早いのかな。この辺りのお店で働く女性は結構遠くから来てるのかなあ。そうじゃないと、お客さんも近くの人なら知り合いに遭遇しまくりそう。

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試聴室その2にて『出張シングル・マン 〜もう秋なのさ〜』。主催のHi,how are you?原田晃行のライブからスタート。らんま1/2のTシャツにオレンジの短パンで、「なーんにもしたくない」と歌う姿はさながら夏休みの少年。色んなちょっとしたこととか気持ちが的確な言葉とメロディで歌われていて素敵だった。


Hi,how are you?「お盆」MV

VIDEOTAPEMUSICは真美鳥のカバー「骸骨の花嫁」「Sultry Night Slow」「Her favorite song」などをソロでしっとりと演奏。「Speak low」冒頭の音声は藤田敏八の映画『スローなブギにしてくれ』からのサンプリングで、劇中で浅野温子が住む黄金町の高架下のアパートの部屋で流れるニュースの音声だそうです。「黄金町のアパートのシーンのある映画が映画館で上映されて、VHSになって、レンタルショップに並んで、それを買って、サンプリングして、その曲を黄金町の高架下で演奏する、ということが面白い」というようなことを話されていて印象的でした。建物が建ったり全く違う風景になったとしても、その場所で起きたことは「場所」「土地」がある限り永遠に残るというのを昔文学の授業で聞いたのですが、それとは別にその場で記録された「映像」や「音」が時間を飛び越えて違うかたちで残り続け戻ってくる、というのも実にロマンチック。というか、営為とも結びついているようで、上手く言えないんですが、VIDEOTAPEMUSICの音楽と映像の魅力がこういうところに詰まっているなと思いました。

ランタンパレードはいつも挨拶以外喋らずに訥々と歌っていて格好良い。本人の佇まいや声質からか、歌っているのに変な表現ですけど、「黙々と」という言葉が似合うなといつも思う。そうは言っても素っ気ない感じでは無くて、ギター一本だとより声と詞がするすると入ってくる。「魔法がとけたあと」の「生きることに飽きないために 眠りについてるみたい」という歌詞が何度聞いても好きだ。

最後は原田晃行、VIDEOTAPEMUSIC、ランタンパレードの3人で一風堂「すみれSeptember Love」をカバー。狭いステージに3人並んで、サビで声を合わせる姿がなんだか可愛かった。とても良いライブだったな。

 

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21日水曜日。ユジク阿佐ヶ谷にてヤン・シュヴァンクマイエル『闇・光・闇』『対話の可能性』、ヴェラ・ヒティロヴァ『ひなぎく』の同時上映を観る。『対話の可能性』、面白すぎて興奮する。『ひなぎく』は50年経っても色褪せるどころかメイクもファッションもアートワークも今なお鮮烈。二人が「悪いこと」をする姿は今の時代においての方が切実かもしれない。

 

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WWW Xにて『REAL IS BACK』。夏フェスの類には行かなかったのでグループ魂のライブを見るのは去年の野音以来だ。「さかなクン」で石鹸がトチって以降、石鹸を見ながらタイミングを合わせて歌う破壊がニヤニヤしてて最高でした。アンコールでのTH eROCKERSとの「非常線をぶち破れ」「セルナンバー8」素晴らしく格好良かった。

 

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24日土曜日。片想い『QUIERO V.I.P.』レコ発ワンマンライブ。「Party Kills Me(パーティーに殺される!)」PVのパペットの登場や、紙吹雪、アンコールでのおっさんコーラス隊(めちゃかわいい)の登場などなどの演出と演奏のバランスが良い塩梅。本当に素晴らしいライブだったな。


片想い / Party Kills Me (パーティーに殺される! )

終わりゆく夏への献花

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2日金曜日。赤坂ACTシアターにて劇団☆新感線『Vamp Bamboo Burn ヴァン!バン!バーン!』を観劇。ヴァンパイア、ヴィジュアル系、ヤクザ、竹取物語、(なぜか)沖縄・・・混ぜるな危険というか混ざるのそれ?という要素がぐちゃぐちゃに盛り込まれ、その上にこれでもかという程のネタが乗っかっている宮藤官九郎の戯曲に、ネタのひとつひとつにこれでもかという程の派手な演出をいのうえひでのりが付けたまさに「トゥーマッチ」な作品でありました。それに加えて歌あり、バンド演奏あり、踊りあり、殺陣ありで、それはそれは見疲れてぐったりするほど楽しい、全てにおいてトゥーマッチ。書き出したらキリがないほど好きなネタや、あのキャストのあのシーン!というのがあるのですけども、中でも徳永ゆうき(役名も徳永ゆうき)の意外性と存在感が気になって仕方なかった。面白げな若い演歌歌手の人ね~くらいの認識だったのですが、派手な新感線ワールドの中で、駅員の衣装と電車のアナウンス真似(プロフィールに撮り鉄とあったので特技なんですね)が妙にハマりまくっている男。巻き込まれていく人物なので、良い意味で普通(でもどこか普通じゃない)の存在感が際立っていました。意外なほどに歌のシーンは少なかったのですが、芝居もとても良かったです。これからちょくちょく役者もやって行くのだろうか。気になる。

そしてそして、最大の見せ場であるクライマックス、TOSHIRO(生田斗真)と京次郎(中村倫也)の殺陣の見ごたえは半端じゃなかった。二人の所作の美しさに加えて、恐ろしいほど息があっていて武器がスレスレまで振りかざされるので息を殺して見入ってしまいました。殺陣や台詞は王道の新感線的でもあるのだけど、その相手がかぐや姫小池栄子)本人では無く、乗り移られている京次郎という「捩れ」が宮藤さんらしい。捩れに捩れて最終的に対峙するTOSHIROとアリサ(小池栄子)、最後を飾る立合いでの小池栄子の足の開き方と腰の落とし具合の格好良さに痺れる。小池栄子、舞台で観る度にマジ最高だなという思いが高まっていきます。

 

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4日日曜日。ニッポン放送イマジンスタジオにてはえぎわ『其処馬鹿と泣く』を観劇。初はえぎわ。女(川上友里)と男(清水優)の出会いのシーンが最高。宮崎吐夢演じる男の表層的なおかしさと、滲み出る哀しさが絶妙で見入ってしまった。はえぎわ所属じゃないのに最後にひとりで挨拶してるのおかしくて良かったなー

劇中で人と人を出会わせる糸が絡み合う舞台美術や、イマジンスタジオのガラスを利用した演出もとても綺麗。あと、清水さんの衣装の蟹や車がプリントされたシャツがとても可愛かった。

 

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上野で下車し、東京都美術館にて『木々との対話 再生をめぐる5つの風景』を観賞。須田悦弘の《バラ》、近くで見ても本物かと見紛うほど美しい。本物みたいで凄いとか技術に感動するのもあるのだけど、人間の手によって自然的なものが再現されることで宿るオーラというか、何かを超越しそうな危うさを感じる。今回の展示での《バラ》以外の須田さんの作品は見逃しそうなほどさりげない配置は、もうちょっと素朴な感じ。

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國安孝昌《CHI VA PIANO VA LONTANO 2016(静かに行く人は、遠くへ行く。)》。吸い込まれそうだ。

 

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上野公園に来る度に可愛いなと思いながら遠巻きに眺めていた上野動物園前のこども遊園地、この日は人が少ないようだったので近づいてみると8月31日で閉園していた。賑やかな中にぽっかりと廃墟(というほど古びてはいないが)が出現したようで、興奮気味に写真を撮る。無くなってしまうのは寂しいな、と思いながらも営業を終えた遊園地にロマンを感じてもいる。ミニチュアみたいなサイズ感がとても可愛い。

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この度、地主である東京都から「動物園の魅力を高めることを目的とした正面前広場の整備工場」の支障となると許可を取り消されましたので、やむを得ず8月31日を(水)をもちまして廃業いたしました。

と看板にはっきり書いてあった。この遊園地、めちゃめちゃ動物園の魅力高めてるじゃないですか。公園口前の上野百貨店、松竹デパートも味気ないビルになってしまったし跡地はどうなるのだろうか。しかし、この大きさでも撤去するの結構大変そうなので、ずっと廃墟のまま遺り続けていてもそれはそれで良さそうだ。

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 遊園地といえば、浅草花やしきのBeeタワーも老朽化で引退してしまいますね。しかも解体されてしまうそうだ。

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以前お花見で訪れたときに乗ったのですが、強い風でも吹いたら落ちそうでなかなかスリリングでした。このタワー、花やしきのランドマークだと思うのですが、解体したら新しいタワーを作るのかしら。素敵なのが出来るといいな。

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花やしきのジェットコースターに密着した『ドキュメント72時間 浅草・大人のジェットコースター』も好きな回だ。取材NGで全身モザイクのカップルが多いのが印象的だったな。確かに秘密の逢瀬には穴場かも知れない。

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思い出しついでに書いておこう。以前何かのテレビ番組で、花やしきを貸し切って披露宴をあげたカップル(正確にはその披露宴を手伝う友人だったかな)を取材していたのだけど、新郎新婦があの動くパンダの乗り物に乗ってステージに登場していてとても可愛かったのを覚えている。こんな披露宴ならあげてみたい。

 

 10日土曜日。借りてきた『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観る。何度観ても好きな映画だ。七海が代理出席する結婚式、司会が堀潤で重婚の新郎が紀里谷和明なの味わい深い。今回はレンタルしたのだけど、プレミアムボックスの装丁がレコードジャケットのようでじわじわと欲しくなっている。

 


「後妻業の女」予告

11日日曜日。TOHO渋谷にて『後妻業の女』を観る。『君の名は。』も気になるところですが、Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホールのライブの前に観るならコッチだろうということで。客席の年齢層は高く、上映前に隣のご婦人がスマートフォンで麻雀のゲームをしているのがチラっと見えてなんだか気分が高まる。

冒頭のクルージングでの橋の下の影や、軽トラでのカーチェイス(?)などなど映像の渋さに加えて、倫理観はそこそこに小夜子(大竹しのぶ)と柏木(豊川悦司)のキャラクターと業の深さを魅力たっぷりに描いているところがとても好みの作品だった。中瀬耕造(津川雅彦)の娘・朋美(尾野真千子)と興信所の本多(永瀬正敏)が二人を追う対立項を作りながらも、実は本多も食えない奴だったという展開も好きだ。小夜子と柏木が老人たちに手を下すシーンが挿入されているものの、全体のコメディタッチにつられてその残酷さが薄れていくのもおそろしい。

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そしてそして、オープンしたばかりの渋谷WWW Xにてライブ「O.L.H.のだいじょうぶかぁ!?」。オープニングアクトの漢 a.k.a GAMIとD.O.は田代まさしのドタキャンをネタにパフォーマンス。「リハビリマーシー」という曲があるんすね。「だいじょうぶだぁ」って言えないって。急遽出演が決定した畑中葉子は流石の歌とパフォーマンス。振り付けもエレガントだわ。ヤン富田による新録「後から前から」ではミックスの部分を口パクはしない、ということで実際に歌っていてなかなかトリッキーでした。

O.L.H.は「激しく後から前から」という歌詞がある「たまプラーザ海峡」でスタート。aCKyはいつものスーツではなくエミリオ・プッチみたいな大柄の半袖シャツ、麗しきコーラス隊の三人もサマーワンピースでトロピカルな装いがこれまた素敵。夏の残り香を燃やすような最高のライブでございました。MCでマーシーのドタキャンをイジりつつ「夜のみずたまり」などを披露。終盤にはマーシーからのビデオレターというサプライズもあり、ダルクの方へ行っていて今回は来れなかったそうです。アンコールで披露された畑中さんとの「カナダからの手紙」もとても素敵だった。しかしaCKy、MCで先日心臓疾患で病院に運ばれたと話していて、ステージにはニトログリセリン、「今夜、巣鴨で」のイントロで血圧測定、終盤は息切れする場面もありかなり心配だ。それでも声は衰えるどころか絶好調なくらいでめちゃくちゃ格好良くて、歌っている姿はまるでトヨエツ、いや、それ以上でした。

旅のまえ足うしろ足

 

ゴジラ

ゴジラ

 

18日木曜日。『シン・ゴジラ』の興奮冷めやらず、1954年版の『ゴジラ』を観る。めちゃくちゃ面白い。昔の東京の街並みとネオンにもわくわくする。島の言い伝えというのがあるので、出現後に祈祷のシーンがあるのが印象的でした。『シン・ゴジラ』にはそういう発想も出てこないのが象徴的だ。

公開からしばらく経ってもTwitterのタイムラインに『シン・ゴジラ』の話題がのぼらない日はなく、発生可能上映やハッシュタグの盛り上がりを眺めて楽しんでいます。作品に対するリアクションや二次創作的なイラスト・発言をリアルタイムで楽しむのは、個人的に『あまちゃん』以来だな。そうそう、『あまちゃん』といえば、「のん」こと能年玲奈ちゃんが主演声優を務める映画『この世界の片隅に』楽しみですね。予告編の声を聞いただけでちょっと泣いちゃいそうだ。


映画『この世界の片隅に』予告編

 

21日日曜日。恵比寿リキッドルームにて『カクバリズムの夏祭り~Summer's Here~』へ。Trafficのときと同様、今回もメインステージをずっと見ていた。思い出野郎AチームはKATAから人が溢れていて見れず。トップバッターのあだち麗三郎クワルテッットからトリのVIDEOTAPEMUSICまでずっと楽しかったなーhei tanakaのライブは衝撃的だった。無茶苦茶で格好良いな。カメラマンの大関泰幸さんがステージ上でライブを撮影する「純主観シューター(ズ)」(毎回違うカメラマンが撮るようだ)という試みも、動きが多く身動きが取りにくいライブで大関さんがこの瞬間にどこを撮りに動くのかが見れるのが面白い。リキッドルームのステージに21名のビッグバンドを詰め込んだ二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Bandの盛り上がりはこの日一番と言ってもいいのでは。あのステージのルックだけでもテンションが上がるってものです。ビッグバンドに負けていない二階堂さんの歌と存在感ももの凄い。生命力と幸せの塊って感じだ。

VIDEOTAPEMUSICの前、HALFBYのDJではPUNPEE「お嫁においで2015」やcero「summer soul」をいい感じにお酒が回った角張社長が熱唱する一幕も。良いイベントだなー。トリを務めたVIDEOTAPEMUSICは花火の映像とともに真美鳥「骸骨の花嫁」のカバーにはじまり、「Sultry Night Slow」「Speak low」など前半はメロウなセットで祭りの終わりのチルアウトといった趣。今回はいつもの思い出野郎Aチームからの3人に加えて潮田雄一さんがギターで参加。私のいた位置の関係か少しだけ聞き取りづらかったのが残念でしたが、「Kung-Fu Manbo」でのソロが効きまくっていて格好良かったなー思い返せば、去年のカクバリズムの夏祭りで初めてライブを見てから今の今までVIDEOTAPEMUSICに夢中なのであった。今年も最高の夏祭り、Summer's Here。


VIDEOTAPEMUSIC / Kung-Fu Mambo live at LIQUIDROOM 2015.08.08

 

23-24日 旅行

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25日木曜日。ちょっとした旅行気分を引きずったまま横浜へ。

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特別美味しくも不味くもないエビチリ定食を食べる。レジの後ろに無造作に貼られたファックスや書類の中に、バラエティ番組からの「企画書を送りましたので確認お願いします」という内容のものがあって気になった。それ見えるところに貼ってていいの?どういう企画で出たの?という。

中華街、近くまでくるとなんとなく寄ってしまうけれどリーズナブルで美味しいお店にありつけたことがない。以前、入ろうとしたお店が満員だったので別館を案内すると言われてついていくと、店と店の間のときどき厨房が見える路地裏を通過し、到着したら前に一度来たことのある微妙なお店だったことがある。思わず笑っちゃったし、脇からチンピラでも出てきそうな路地裏を通ったのドキドキして楽しかったな。

うかうかしてると押し売りされそうになる栗屋とか可愛くないパンダのお土産とか、全体に漂う胡散臭さが好きで寄りたくなってしまうんだなー。あと、行くたびに部屋の天井を龍やランタンの紙飾りで埋め尽くしたいという願望を刺激される。

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山下公園マリンタワーもうろうろする。赤レンガ倉庫と大さん橋は、歩いて行くには少し遠い。遠くから見るとジオラマみたいだ。山下公園にはドラマ『デート』のお馴染みの待ち合わせ場所である噴水があるし、マリンタワークレイジーケンバンド推しだしむちゃくちゃ好きです。

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横浜までやって来た目的、KAJALLA #1『大人たるもの』をKAATにて観劇。KKPPotsunenKKTVを経て、新たに打ち出されるコント公演がどういうものなのか期待だけではなくて、ギミックにまみれたりしてるのかなあとか不安な気持ちもあったのですが、純然たるコントでとても嬉しくなった。「何か」が不明瞭なまま終わる最初のコントや、2つのシチュエーションを同時に演じるコントなどわくわくする構造やアイデアに、ただただ下らないシークエンスが乗る。そのどれもが面白い。たまらない。4つが繋がった医者のコントが特にお気に入りなのですが、あの最高にくだらない最後のために3つのコントを積み上げていたと思うとそのバランス感覚に脱帽。あの片桐さんめちゃくちゃ最高でした。ちょっとはみ出している人から人ならざる者まで、片桐さんの右に出る者はいないと改めて思い知らされましたよ。

小林さんのアイデアをこの上ないクオリティで演じるメンバーも素晴らしい。5人から2人のものまで、組み合わせで雰囲気が変わるのも見どころでした。竹井さんと辻本さんはKKPでは拝見していたのですがオムニバスで見たのは初めてで、幅広さに改めて驚きました。そして、初めて拝見した安井順平さん、凄いんですね…いままで小林賢太郎作品には無かったような冷静さと不気味さを備えた存在感。居酒屋のコントでのキャラクター像、いつの話してるんだ?というステレオタイプではあるのだけれど、演じる安井さんがもう最高で最高で、あの人ずっと見ていられるなー。片桐さんとの対比も効いてる。この居酒屋のコントが一番最後のコントに次いで「大人」を意識して作られていたような。

音楽と薄暗い照明の中での転換も相変わらず格好良い。徳澤さんの音楽、今回はガムランのような雰囲気のものもあったりして新鮮でした。今後もこのメンバーでいくのか、変更があるのかは分からないですが(各々の活動もありますし)、KAJALLA、ずーっと続いてほしい。

 


映画『ペット』本予告

 26日金曜日。友人と映画『ペット』を観る。友人と映画を観る、って行為何年ぶりだろうか。6年ぶり2回目、とかそのくらい。本編以上に楽しみだったミニムービー『ミニオンズ アルバイト大作戦』最高でした。ミニオンズを永遠に見ていたい。なんならミニオンになりたい。

『ペット』は飼い犬、人間に捨てられた動物たち、保健所と出てくるのでクリティカルな方向へ行くのかしら、と一瞬思ったのだけれどあくまでも動物目線での冒険譚、といった感じ。マックスとデュークが冒険を通じて仲良くなっていく過程もスタンダードで良いし(バナナマンのアフレコも結構好きです)、路地裏の野良猫たちが可愛くなくてむちゃくちゃ可愛い。あのピンクの猫、出番が少なくてすこし寂しい。あと、この映画で一番好きだった、突如始まるウィンナー王国のアシッド感が凄い。絶対ヤバいもんが入ってますよ。ちょっとミニオンっぽくもある。

 

27日土曜日。ようやく時間ができたので楽しみにしていた『芸人キャノンボール 2016 in summer』を観る。

www.tbs.co.jp

早朝、静岡市内の街頭ヴィジョン、家電量販店のテレビに映る生放送番組。それを眺める人々。この画のためにスタートに生放送出演を選んだのだろうか、とすら思う格好良すぎるオープニング。最初のお題「とにかくにらめっこが強い人」での、難航しているかに思われたジュニアチームが圧勝する無駄の無い編集。挙げればキリがないほどの見所が用意されていて今回も面白かったなーバラエティ、ドキュメンタリー、ドラマの面白さ全てを兼ね備えている。おぎやはぎチームがヒールとしてアンガールズ田中の拉致やETCカード盗難を仕掛けていく様にドラマが作られていく過程が見られる一方で、にらめっこ対決で募集人員を確保していた有吉チームが、カンニング竹山がトイレに立っている間に着順1位を取られるという、意図していないところでちょっとしたドラマが起こっているのも面白い。車中の芸人たちの会話も番組を意識している部分と素が出ている部分が絶妙で延々と見ていたい。いかにも得意そうな水着ギャルのナンパだけでなく、にらめっこ対決の人探しで競艇場の和製ボブ・マーリーに「賭け方教えてください」と話しかける自然なテクニックにもロンブー淳ことクラミジア・フォックスの凄さに感心してしまった。トークなどのバラエティ番組以上に各々のキャラクターが出るのも面白いなー10月から『クイズ☆タレント名鑑』が『クイズ☆スター名鑑』と名前を新たに復活するのもめちゃくちゃ楽しみだ。

 

29日月曜日。お祈りメールよりもチケット落選メールの方が身にこたえるなんて思っていたけどいよいよそんなことも言えない状況になってきた。就職活動で一番重要なのは情報収集だなというのを今更痛感し、自分の情報弱者ぶりに打ちひしがれ、でもそこまで真剣にも必死にもなれないことに焦るようなそんなに焦っていないような、他にも道はあるだろうし、今の志望先が合っていないんだろうな、この仕事はキツそうだし、転勤はしたくないし都内がいいし、これもそれもあれも向いてなさそうだし、調べるのも分かんなくなってきちゃったな、ミニオンになって毎日楽しく最強のボスのところで働きたいな、絶対楽しいと思うな、そもそも定職に就けなくても死ぬわけじゃ、取り柄もやりたいことなんてのもないから就職活動してて、本とCDを買って月に何度かライブと舞台に行くお金があればそれで、それだけでよくて、服は古着が好きだから、ヴィンテージとかそういうことじゃなくって、それって十分贅沢かしら、家賃と光熱費と電気代と水道代とガス代、でもそのまま年を取ってどんな生活が、保険とか年金とか、中学から大学まで私立に通わせてもらってそんな娘が定職に就かないというのは親はどんな気持ちになるのか、このまま実家に住み着くのかな、『ドキュメント72時間』とか『家、ついて行っていいですか?』とかで色んな生活や人生の断片をみて、励まされて、色んな生き方があるから、就職、結婚、出産だけが人生のルートじゃないから、とか自分に言ってみるけど、そんなこと思っているうちは私は甘くて、それはその、ちゃんと生きている、ドキュメンタリーに映る人々に一番失礼な考えで、どうしようもなくて、こっちは寝転がってテレビ観てて、エントリーシート書いて、勉強もしないで筆記試験受けて、対策もしないで面接受けて、落ちて、あーあ、とだけ思って、まだ心のどこかで、いや真ん中で、なんとかなるだろなんてナメきってて、追い込まれてる風を装ってみても真剣にはなれなくて、駄目だったときの対処法と最善策をなんとなく考えて、あーあ、どうか、この前申し込んだお芝居のチケット当たりますように。

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48時間のバカンス

伊勢神宮・奈良・京都へ両親と旅行へ行った。修学旅行のような観光コースである。

23日火曜日の0時に出発。田舎者なので深夜の首都高でテンションが最高潮になる。まだ電気の点いているオフィスビルが多い。そして夜のサービスエリア。目的地よりも楽しみにしていた夜の高速道路とSA。iPhoneのカメラやデジカメでは流石に捉えられないのだけど、高速道路から見えるラブホテルの看板が大好きなのでコレクションしたい。そういう写真集ありそうだけど無いのだろうか。

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1時、海老名SA。思いのほか家族連れや若い人が多い。サービスエリアの売店に売っているお漬物とかパンって何であんなに美味しそうに見えるんでしょうね。お土産のお菓子も配るわけでも無いのに買いたくなっちゃうし。海老名SAといえば、坂元裕二の朗読劇、また再演しないだろうか。『不帰の初恋、海老名SA』『カラシニコフ不倫海峡』ってタイトルから面影ラッキーホール感が漂っていてめちゃくちゃ気になります。

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4時、浜名湖SA。流石に数える程しか人がいない。

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サービスエリアといえばこれですよね。


cero / Orphans【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

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5時、朝日が昇る時間に四日市コンビナートを通過。朝日を背負う工場地帯、突如現れる巨大な遊園地(ナガシマスパーランド)。完璧な光景すぎて一番の旅の思い出だ。シャムキャッツの「MODELS」みたいだ。


シャムキャッツ - MODELS

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6時、安濃SA。小腹が空いて伊勢うどんパンを食べる。美味しい。フードコートに一風堂が入っていてつい食べたくなる。

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7時過ぎに伊勢神宮に到着。首都高とサービスエリアと四日市コンビナートにテンションが上がってあまり眠れなかったので暑さに負け、粛々とお伊勢参りを終える。安濃SAで見かけたカップルを外・内宮でもおはらい町でも見かける。

赤福うまい。お昼は定番も定番(というかこれくらいしかない)の伊勢うどん、てこね寿し、釜飯を食べる。お味噌汁が赤だしで最高。伊勢うどん、毎日食べたいくらいだったんですけど、毎日食べてたら血糖値が上がって早死しそうな味だった。美味しい。 

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おかげ横丁、もりわじんの作品の猫が沢山いる。可愛い。犬のお土産も多く、なんでも、昔自ら伊勢に出向けない人が犬をお参りにいかせていたらしい。本当に参っていたのだろうか、犬。

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宿泊地の奈良へ。鹿と大仏の町。

 

24日水曜日、8時に奈良を出発。法隆寺にも少し立ち寄る。人のいないお寺というのも気持ちが良いですね。薄ぼんやりと中学の修学旅行を思い出したりして。天気が悪くてずっと雨と曇りだったな。

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京都タワー。展望台には登らなかったのだけど、たわわちゃん、中途半端なゲームコーナーやこけしとキティちゃんのお土産屋さん、可愛すぎるフォントの看板たちと見所だらけでした。地下の理容室と浴場に漂うかすかな寂寥感。タワー観光地に外れなし。

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祇園四条通り、錦市場を散策。京都市内は観光地と生活の場の境界がなんとなく見えてくる。帰省旅行だとその土地での生活の疑似体験みたいな気分にもなるのだけど、観光しつつその土地の生活を探しにいくのも楽しそうだ。以前『ドキュメント72時間』で訪れていた鴨川デルタも見てみたかったのだけど辿り着けず。

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京都といえば、の念願の喫茶ソワレでゼリーポンチ。本当にブルーだ。満員だったのだけれどガヤガヤとした雰囲気が無いのも素敵。ソワレ、よーじやと大方の目的も達成し、16時頃京都を発つ。

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18時、観覧車のある刈谷ハイウェイオアシスへ。裏にはメリーゴーラウンドもあり、ハリボテの遊園地感が良い。SAに観覧車作ろうって誰が言い出したんだろう。

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21時、海老名SAで夕食を食べる。伊勢神宮、奈良、京都とべたべたな観光地を巡っても、結局は高速道路とサービスエリアに最も旅情を感じる。旅は移動。0時に帰宅。

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