ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

Saravah

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大好きな職場の先輩が退職することになり、寂しくてたまらない。いままでも退職される方を見送ることは何度かあって、しんみりはすれど、ここまでの寂しさ、悲しさは経験がなく、自分でも戸惑っている。

先輩とは映画や音楽、色々な文化の話をすることができて、それは仕事につながることから無駄話まで、私にとって計り知れないほど豊かな時間だった。毎日そんな話をする訳ではなくても、職場にそういう人がいる、というだけでも大きな心の支えとなっていたのだ。

このまま関係がなくなってしまうのがあまりに惜しく、挨拶に渡すお菓子に連絡先を入れようか迷いに迷って、結局入れなかった。10年くらい下の後輩に連絡先を渡されても困るだろうし、向こうに判断を委ねるのは姑息だと思った。それに、職場で隙を見て無駄話をすること、仕事を通じてパーソナルが見えることが心地よかったのであって、きっとこれを超えて友だちのような存在になることはないだろう。

後輩にも軽口を許してくれるような懐の深さと、臆面なく弱さを見せてくれる人間味と、たくさんの知識、思索、それゆえの愛すべき面倒くささがあって、いままでに会ったことのない人だった。たまに顔を覗かせるさびしさにも、同質のさびしさを持つものとして引き寄せられていたのだと思う。おこがましいし、勘違いかもしれないけれど、おなじ孤独のにおいを嗅ぎ取っていたのだ。

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明日から職場に行っても先輩がいないのかと思うと、あまりにも退屈でどうしたらいいかわからない。仕方のないことだけど、もっと一緒に働きたかったし、おしゃべりしたかった。

寂しくならないように、不確かなものや状態に愛着を持たないようにしていたけれど、気が付いたらあまりにも愛おしく、行き場のない思いばかりが募る。こうして書いてみても、実際の気持ちには追いつかず、戸惑うばかりでいる。恋愛とも、友情とも違う、言葉のない感情。ただ胸の辺りがぐっと押されるような苦しさ。息苦しさ。

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今生の別でもないけれど、たかが職場の同僚という関係性はあまりにも希薄で、離れれば無くなっていく。むしろ、だからこそ美しいのだと思う。きっと1年も経てば私もこの気持ちは忘れてしまうだろう。

元気じゃなくてもいいから、なるべく健やかで、穏やかな日が1日でも多くありますように。またどこかで会えたら積もる話でも。