ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

愛と暮らし

f:id:Vanity73:20210403173838j:image新しい場所、新しい職場での生活がはじまった。3月の末に入居し、家族の助けを借りて自分の荷物を運びこんだり、注文した家電製品が届いたりしているうちに、行き当たりばったりながらも少しずつ生活の場ができあがっている。本来なら約2か月の時間があったので、食器や水回りのツール、掃除用具に至るまでひとつひとつ吟味して、気に入ったもので身の回りを固めたいと思っていたのに、慣れ親しんだ実家を出て家族と離れて暮らすのがどこかで嫌だったようで、実家にいる間はあまり引っ越しの準備は進まなかった。実際に新しい家に行ってはじめて、あれが足りないこれが足りないというものが出てきて、急ごしらえでキッチンツールや調味料、カッターやはさみといった細々とした日用品をそろえる。長い間の暮らしが蓄積された実家には大抵のものがあって、日々の備えを怠らない母によって誂えられたもののなかで暮らしてきたことを実感する。この引っ越しもなるべく自分の力で成し遂げたいと思っていたけれど、結局母と弟の手と知恵を借りてなんとか形になった。というのも、一緒に暮らす予定でいた好きな人ことパートナーが調子を崩してしまい、歩調を合わせることが難しくなってしまった。ふたり暮らしの予定が当面の間はひとりになって心細さもあるけれど、結果的に家族とのイベントごとのような趣もそれはそれで楽しかったし、自分では言葉にできない気持ちを代弁してくれるような歌をこのタイミングでカネコアヤノが歌ってくれていて、くじけずにやっている。


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星が降りてくる夜の話

君と作った電車のレールは途中で止まってるね

水が溢れてしまった

悲しい これはきっと誰も悪くはなくて

ただ、ただ、

抱擁をまっていた 胸の中で

まるで私が聞き分けの悪い赤子のようにぎゅっと

二十二世紀の愛のかたち

月の光を忘れないで坊や からだは暖かい

 

カネコアヤノ『抱擁』

f:id:Vanity73:20210406210758j:image最初にはじめてひとりで新しい家に泊まった日は、まだテレビがないのでradikoとラジオクラウドで好きなラジオ番組を流し続けて、ベッドカバーがないのでマットレスと急いで買ったむき出しのかけ布団で眠った。それでもお風呂に入って歯を磨いているうちに、余所の家から自分の家という感覚が少しずつ芽生えていく。3月の最後の週から本格的に暮らし始めたのだけれど、自分でも驚くくらいのスピードで新しい環境に順応している気がする。自転車で行ける範囲の色んなスーパーをのぞいて、調味料やいつもストックしているヨーグルト、お豆腐などを調達する。価格の相場や品ぞろえも少しずつわかってきた。ごみ捨て場がある近所の公園まで歩くと、たまにインターネットで見かけていたエビフライのような遊具の実物をはじめて見た。

f:id:Vanity73:20210403173858j:plainいま住んでいる部屋は閑静な住宅街にあって、休みの日でも本当に周りに人が住んでいるのかと思うくらいに静かな場所だ。自転車で20分ほど行くと大きなショッピングモールが並ぶ街があって、食材などの買い物は駅前で事足りるけれども、休みの日にはそちらの比較的にぎやかなエリアへ出かける。ひとりで暮らしていると、人がたくさんいる、というだけで心がほっと落ち着くのだと実感した。通勤も雨の日以外は自転車で、川沿いの殺風景な道をひたすら走るので人の往来が無性に恋しくて、用事もないのにスーパーやコンビニに寄りたくなってしまう。適度な静けさとにぎやかさが生活圏内に収まっていて、わたしはこの街をとても気に入っている。いちばん好きなのは、家から少し高台にのぼると高速道路が見えるところ。先日、18時をすぎて日が暮れ始めたころ、高速道路を走る車のテールランプが往来している風景が目に映って、その美しさに胸がいっぱいになった。私はこの街がとても好きだ。

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f:id:Vanity73:20210403174300j:plain仕事の日も休みの日も、いちにちの大半はごはんのことばかり考えている。引っ越すときに必ず買うと決めていた照宝の蒸籠が大活躍していて、ほぼ毎日食卓に登場する。最初はただ野菜を蒸すだけだったのが、徐々にコツをつかんで冷凍の餃子や作り置きのおかずがほかほかの状態で食べられるので重宝している。豆腐やトマトもそのまま蒸すだけで格段においしくて何度食べても新鮮に感動する。スーパーへ行くと必要なものしか買っていないつもりでも気が付くと袋いっぱいになってしまって、エンゲル係数がとんでもないことになっている。これから家賃、電気、ガス、水道代が引き落とされて生活にどのくらいのお金がかかるのかわかってくるので、きっと青ざめることになると思う。

f:id:Vanity73:20210411083211j:plain月にいちど、土曜出勤の日があって今週は早速6連勤だった。いまは研修中でこちらの様子を見ながら詰め込みすぎないように配慮してくれているので仕事上のストレスが皆無なのがとてもありがたいのだが、さすがにへとへとだったので、土曜出勤を終えてデニーズに駆け込みゴディバのチョコレートサンデーを食べた。週の半ばくらいから、これから土曜出勤の日はスイーツの日にしようと心に決めていたのだ。ロイヤルホストが近くにあれば完璧なのだけど、職場と自宅どちらからも自転車で30分以上かかる微妙な場所にしかないのが残念だ。久しぶりにパフェを食べたのと、6連勤を終えてハイになっていたのか、帰宅してから2時間ほど台所に立っておかずの作り置きと洗濯まで済ませてしまった。明日は休み、という無敵感。

f:id:Vanity73:20210403210353j:plain仕事がはじまって一週間が経つが、仕事内容は私がやりたいことそのもので、周囲の人たちも親切かつほどよい距離感の接しやすい人たちばかりで、あまりに不安要素が少ないのでかえって不安になるくらいだ。そう思っていられるのは新人だからで、これから先、担当する領域が増えれば自ずと抱えること、悩むことも多くなるとは思うけれど、誠実にやっていこうと思える職場に来れてとてもうれしい。週末にはいくつかのおかずとサラダチキン、5個の味付けたまごを仕込んで、ひとつずつ減っていくことで1週間を数えている。