読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

古河ワンダー

3月の頭から約2週間、免許合宿のために茨城の古河に滞在していた。教習のスケジュールに余裕がある日は駅周辺を散策して気分転換に喫茶店に立ち寄ったりと、余所者として古河での生活を満喫した。

f:id:Vanity73:20170325183347j:image

古河駅東口からすぐのコーヒーパーラー・パルク。キュートな飾り窓と看板のフォントをみた瞬間に、必ず立ち寄らなければ!と使命感のようなものすら感じたルックス。教習が午前で終わった日に意気揚々と乗り込み、内装にさらに打ちのめされた。

f:id:Vanity73:20170325183406j:image

f:id:Vanity73:20170325183448j:image

入るとすぐ目に入るのは水が循環している小さな池。割れたプラスチックを補強した水槽の中でジョボボボボボボボと音を立てて流れる水と、ときおり聞こえる鳥のさえずりのテープが最高の癒しを演出している。このチープさがもうたまらない。大きな風景画やランプ、コーヒー豆の入ったドアといった内装だけでも十分素敵な喫茶店だが、この池があるのとないのとでは大きな差が開いてしまうだろう。町の小さな喫茶店というと店主が最小限の人数で営んでいるところが多いような印象だが、3人ほどいるウェイトレスの年齢層は若く、大きな絵に合わせてか緑のチェックのベストの制服が可愛らしい。この町では憧れのアルバイトだったりして。メニューはコーヒー、紅茶、ソフトドリンクに加えてランチのハンバーグやスパゲッティ、サンドイッチとフードも充実。雑誌や新聞も揃っており、古河市民の憩いの場であることがうかがえる。

f:id:Vanity73:20170325194927j:image

お手洗いには造花があしらわれており大変ラグジュアリーであります。スイッチを付けてもなかなか個室の電気がつかなくて焦りました。

f:id:Vanity73:20170325194722j:image

後日もう一度訪れた際には店の一角で10人ほどの合唱団がキーボードを持ち込んで練習しており、主宰者の女性の「エネルギーを宇宙に」といった指導が聞こえてきてこれは良い時に来れたなと耳をそばだてておりました。まあ、耳をそばだてるまでもなく店内にはアンジェラ・アキ「手紙」の合唱と池の水音のマリアージュがこだましていて最高のヒーリング空間でした。良い喫茶店がある町は良い町だ。

パルクから5分ほど歩いたところにあるコーヒー舎・ブラジルも素敵な喫茶店。

f:id:Vanity73:20170325200452j:image

外観はシンプルながら赤に白の看板と青いフリルのような瓦が美しい。夜に前を通ると店内の灯りが良い雰囲気を醸し出している。

f:id:Vanity73:20170325201000j:image

仕切りが高くプライヴェート性が高いのも嬉しい。クッションが柔らかく深く沈むタイプの椅子なのでいつまでも長居してしまいそうな心地良さだ。

f:id:Vanity73:20170325201130j:image

揃いのカップとソーサーも可愛らしい。調度品にこだわりが見られる一方で、店内のショウケースにレタスが丸々突っ込んであるところも良い。

f:id:Vanity73:20170325203816j:image

お手洗いは扉をあけるとすぐに男性用の便器があり、そこを通って個室へ行く作りになっている。入り口に鍵がついているか確認し忘れてしまったが、知らずに開けると人がいなくても思わずギョッとしまう。かつてはよくある形式だったのだろうか。

f:id:Vanity73:20170325201427j:image

通りに面した入り口とは別にカウンターの向こうにも入り口があり、常連さんがやって来てカウンターで店主と世間話をはじめた。ここは夫婦が2人で切り盛りしているようだ。親戚の身の上話や町の開発話なんかが聞こえてくる。ちなみに店のエアコンは故障中らしい。

f:id:Vanity73:20170325200807j:image

 

古河駅周辺はコンビニやスーパー、書店、CDショップ、居酒屋は揃っているものの、決して娯楽のある雰囲気ではない。自動車学校の教官も「古河、なーんにもないんだよね」と言うほどで、休日でも歩いている人は極めて少ない。しかし、東口を出てすぐ左にいくと、歓楽ビルがあらわれる。

f:id:Vanity73:20170325204712j:image

すべて閉店しているかと思いきや、夜になると和風パブ・越後屋の看板が煌々と灯っているのが見えた。残念ながらセクシーパブ・スーパーギャルズは営業してない模様。

f:id:Vanity73:20170325205427j:image

もう少し歩くとスナック街もあり、昼からカラオケの音が聞こえてきた。駅から看板が見えたパチンコ屋に近付くと閉まっていたが、すぐ隣にマッサージ屋の看板が出ており、町としての機能は衰えていないことを実感した。

西口は少し歩くと歴史博物館や美術館といった文化施設があり、また雰囲気が異なる。お店は少なく、昔からの佇まいを残しているものの営業している様子はなくガランとしてもいる。

f:id:Vanity73:20170325212048j:image

f:id:Vanity73:20170325212109j:image 

大きな通りを5分ほど歩くと県道に突き当たるのだが、そこで異様な店に辿りついた。

f:id:Vanity73:20170325213741j:image

f:id:Vanity73:20170325213837j:image

交差点の一角に突如あらわれるアンティークショップ。ブリキのおもちゃ、蓄音機、木箱、扇風機、スーツ、こけしetc…アンティークというよりも骨董品、ガラクタといった風情の節操のない品揃えに唆られるではないか。雑然と商品がひしめく店頭は入り口がどこか分からず、電気も付いていない。営業していないのだろうかと思いつつ写真を撮り、ふと振り向くと道路を挟んで向かいにも店がある。

f:id:Vanity73:20170325212528j:image

ジョイパティオというインドカレー屋やパブの入った複合施設にも同じアンティーク屋が入っているようで、店頭にはペコちゃんのプリントされたジャンパーが飾られている。店名はマミーコンチネンタルというらしい。横断歩道を渡りお店に近付こうとしたところで、店主らしき初老の男性に「古河へようこそ!」と声をかけられた。お店を窺っているのを向かいから見ていたのか、待ち構えていたようだ。「いつ来たの?いつまでいるの?」と余所者であることを見抜かれていることに驚いてしまったが、もしかしたら地元の人たちは近付かない場所なのかもしれない。もしくは免許合宿生が何人か訪れているか。

呆気に取られていると、「ここはね、大事なことを教えるお店なの。100円から色々売ってるけど、買わなくてもいい。」「友達にも教えてあげて欲しいくらいなの。」「本当は15歳くらいで知らなきゃいけないことなんだけど、ま、年齢は聞かないけどさ。ハハハハ」と矢継ぎ早に話しかけられた。いかにも怪しい文言が並んでいるが、店主はいかにも怪しい外見というわけではなく身綺麗な人物だった。また、まくしたてはするものの「この辺りを回って見たらまたおいで」と無理にその場で引っ張ろうとしないところが余計におそろしいではないか。店頭に並ぶ骨董品には興味深々だったしお店に入りたい気持ちもあったのだけれども、突然話しかけられたことにびっくりしてそそくさとその場を後にした。「ネットで調べてみて。」と言われたので店名で検索してみたものの情報はほとんど出てこず、「大事なこと」がどういうことなのかも分からない。有名なB級・珍スポットという訳でも無さそうであるし、だとしたら未開拓のスポット見つけてしまったのではないかという得も言われぬ高揚感もあり、その後もこの店のことが気になって気になって仕方なかった。再訪しようかとも思ったのだけれども「大事なこと」と「15歳くらい」という言葉が引っかかって結局行かず仕舞いだ。こういった場所にいるのは純粋な狂気をもった人物であるか、作為のある人物であるかを見抜くのがとても難しく、乗り込むにも勇気がいる。案外、ただの骨董屋かも知れないし。こういうとき、大胆さと機敏さがあれば私の人生もっと刺激的なんじゃないか。再訪しなかった私の勘が正しかったのか間違っていたのかは確かめようもないが、今となっては夢を見ていたのではないだろうかと思うほどに古河での体験として強烈に残っている。

f:id:Vanity73:20170325223805j:image

2月まんなか

16日木曜日

二子玉川ライズ内の中華料理店梅蘭であんかけ焼そばを食べた。焼き固めた麺の上に餡がのっているのが通常のあんかけ焼そばですが、ここのは反対で餡を覆うように焼そばがのっている。そのヴィジュアルと麺の焼き目が時間とともにふにゃふにゃにならない利点に心を惹かれた。味はまあ、普通のあんかけ焼そばですね。はじめて見たんですけど、別に珍しいものでもないのでしょうか。

二子玉川ライズのエレベーターから見えた白くて格好いいマンションがとても気になって「二子玉川 マンション 白」で検索したら直ぐに出てきた。瀬田ファースト。高級賃貸でした。

f:id:Vanity73:20170217031324j:image

シアタートラムにて倉持裕作・演出『お勢登場』を観劇。江戸川乱歩の8つの短編を、妖婦・お勢(黒木華)によって繋ぎコラージュした作品。『お勢登場』というタイトルに相応しいお勢の登場シーンには息を呑んだ。片桐はいりの「お勢の話をしようかね」という台詞をきっかけにタイトルの書かれた幕が降り、それを引きおろすと着物姿で妖しい笑みをたたえた黒木華が姿を現わす。個人的にはここがピークだったかもしれないという気待ちもありつつ、黒木華の美しさ可愛いらしさと息苦しい乱歩の世界を楽しみました。木馬館の娘のときのおかっぱ姿とほっぺたプクーからのあっかんべー、可愛すぎるファム・ファタルでありました。あと川口覚の演じる明智、発話や仕草に窪塚洋介を感じる。

書生との逢瀬の帰りであろうお勢が着物のおはしょりや裾をさりげなく直す仕草から、映画『小さいおうち』で時子(松たか子)が行きと帰りで着物の帯の柄を結び間違えているシーンをなんとなく思い出していた。この映画には女中役で黒木華も出演していたのでそこからの連想だろうと思っていたのだけれども、一緒に見に行った母が帰りにふと「黒木華の、表情や台詞以外の部分で何かを語る雰囲気の醸し方や演技が松たか子と共通している気がする」というようなことを話したので私の連想もあながち間違いではなかったのかもしれないな、と思った。

 

17日金曜日

もうすぐ春ですね!!!!!みたいなテンションで吹き荒れる春一番と共に悲報が舞い込んできた。

 『クイズ☆スター名鑑』放送終了。1月22日のスペシャル放送以降音沙汰がなく、毎週番組表をチェックしても放送がないのでおやおや…と思ってはいたけれど、こんなにもあっさり終わってしまうとは。視聴率に関しては承知の上で日曜19時にブチ込んだのだと思うのだけど、そう簡単ではないということなのだろうか。半年も経たないうちに終わってしまうのはさみしいな。『水曜日のダウンタウン』の更なる充実と特番に期待しよう。

テレビに関する悲しい報せにしんみりしていたら、嬉しいというかまさかの報せも飛び込んできた。エレ片がフジテレビ『ENGEIグランドスラム』に出演!最初に目にしたときは純粋にびっくりして、そのあとに、大丈夫か?どのネタやるんだ?お茶の間にどんなリアクションされるんだ?大丈夫か?というエレ片リスナー特有の不安に捉われる。ネタ番組エレ片、楽しみすぎます。

 

18日土曜日

目黒シネマで大根仁監督『SCOOP!』を観賞。いきなりのカーセックスから東京の夜景の空撮、花火を打ち上げて激写からのカーチェイス、トンネル内で暴発する花火、怒涛のパパラッチと次から次へと繰り出される映像に興奮しきりの前半がとにかく最高でした。静と野火のバディ感にもまんまとときめいてしまう。これまでのトーンから急転したやたらと綺麗な福山雅治二階堂ふみの濡れ場には笑っちゃいましたけれども(何かのオマージュなのかな)、東京の夜景とかドギツいネオンとか見たいものを格好良く見せてくれるなという印象で大変面白かったです。あとハイバイの平原テツさんが短い出番ながらもやっぱり印象に残る。なんだろうな、声かな。クレジットだと平原で、劇中ではテツと呼ばれてるように聞こえたので役名もそのまま平原テツだったもよう。

f:id:Vanity73:20170218212321j:image

目黒シネマから徒歩0分のBLUES ALLEY JAPANにて浜崎容子ソロライブ「容子の部屋」へ。先ほど『SCOOP!』で摂取した猥雑で粗野な気分が一瞬で浄化されてゆくよこたんの煌めき。

 

19日日曜日

f:id:Vanity73:20170219192822j:image

東京芸術劇場シアターウエストにてコドモ発射プロジェクト『なむはむだはむ』を観劇。子どもの考えたお話が岩井秀人の声と演技、森山未來の身体、前野健太の歌によって体現されるのを目の当たりにしながら、「私はいま途方もなく面白いものを見ている」という興奮でいっぱいになった。

冒頭の3人が代わる代わる喋っては倒れていくシーンがとても面白くて、森山未来出演のフジファブリック『夜明けのBEAT』MVを思い出した。歩きながら転ぶ動きがめっちゃくちゃ格好良いやつ。人間の身体の動きって面白いですよね。森山未来のようにしなやかに自分の身体を自在に操れたらどんなに楽しいだろう、と憧れる。

 

21日火曜日

『カルテット』第5話。ヒリヒリとした感覚が続く1時間。巻さんと夫さんは、それぞれが違う出発点から歩き始めて、いま互いが相手の出発点に到達した輪を描くようなすれ違い方をしているのだなと思った。ドーナッツのように。視聴者である私がミステリアスな巻さんが本当は普通の人だったことをどこか嬉しく感じていることと、夫さんが次第に退屈していったこともキューッと反転している。

君のオススメに面白いものはひとつもなかった

映画のシーンにはこの「愛してる.com」の歌詞を思い出し、夫さんが一瞬グラついた元カノ?に大森靖子を起用したのにも頷ける。ペットの名前がギロチンて。で、で、で、衝撃〜のラスト。まさか。まじか。そういえば宮藤さんは『結びの庭』でも妻のために人を殺してしまってたな。 カルテットの4人のシーンがもっと保たれることを期待しつつ、来週からも見守ります。みぞみぞ。あ、夫さん可愛いTシャツ着てましたね。Dancing Tama

コンビニエンス24時間

約6年間アルバイトをしたコンビニを辞めた。17時から4時間の夕勤を週2回。時給は地域の最低賃金。すべての店舗がそうとは限らないであろうが、主婦が多く勤続年数の長い昼勤と比較すると学生が主となる夕勤は入れ替わりが激しい。進学や就職を機に辞めていく学生が多いなかで、6年という勤続年数はまあ短くもなければそこまで長くもないかな、という感じだろうか。ちなみに私は就職活動に失敗しており4月からは何も決まっていない身なのだが、大学卒業を節目に辞めることにした。家から近いというだけで選んだコンビニで、バイト先の人と特別仲が良かったわけでも思い入れがあるわけでもないけれど、それなりに感慨や一抹の淋しさのようなものがある。これから書くのは、特にオチのない思い出話です。

私がバイトを始めたのは2011年の3月。面接に受かった数日後に東日本大震災が起こった。物流の混乱は埼玉県にも及び、研修期間にはパンや弁当の類は全く並んでおらず、計画停電があるので出勤して一時間で帰宅したこともあった。3.11に関して真っ先に思い出されるのはあのガランとしたコンビニの風景で、「震災」という大きな言葉の中にはこのような小さな風景もたくさん含まれているんだと思う。そして、この先バイトのことを思い出すときには3.11のことも一緒に思い出し続けるんだろう。近くの工事現場で働いているであろう作業服姿の男性が両手いっぱいの小銭を募金箱に入れていったことも覚えている。

なんだか大変なタイミングで始まったはじめての接客アルバイトだったが、半年ほど過ぎた頃にはちんぷんかんぷんだった煙草の銘柄も把握して、レジ横のホットスナックも上手に袋に入れられるようになって、少しずつ余裕が出てきた。ここ1、2年の間にコンビニ業界も進化して、コーヒーやドーナツが導入された。冬場はおでんや中華まんの什器が加わって、レジ周りがどんどん狭くなっていく。(おでん70円セール期間は、特別手当でも貰わないと割に合わないぜと思うくらい忙しくなるときがある。)小銭を握りしめてスピーディーに煙草やスポーツ新聞を買い求める人に最初は戸惑ったものだが、今ではそんなのお手の物だ。たまにいる妙に高圧的で横柄な態度の客にも、顔では笑ってへりくだりながら心の中で「バーカ」と言えるくらい接客も上手になったと思う。でも始めてすぐの頃、年齢確認をしたら身分証を持っていなかったヤンキーの男女に「ブス!」「おかっぱ!」と言われたことは未だに根に持っている。お客さんと短い雑談を交わすこともたまにある。その中に店長とも顔見知りで他の店員さんともよく喋るおじさんがひとりいて、私が髪を編み込み風にまとめていたときに「かわ…似合うな」と話しかけられたことが妙に記憶に残っている。うぬぼれの聞き違いでなければ、「可愛い」と言いかけて訂正したところにそのおじさんの自意識みたいなものが見えて、そうか、となんだかこう、言い得ぬ気持ちになったのだった。おじさんは3年ほど前に引っ越して、お店には来なくなった。

人の往来が多い駅前と比べて、住宅街の近くにあるコンビニなので、毎週のように来て同じものを買っていく常連のお客さんがほとんどだった。スーパーやファミレスと比べるとおそらく、コンビニの客層は幅が広くて色んな人が来る。万引き常習犯で出禁になった人もいる。6年勤めていると、見かけなくなった人や、制服からスーツに変わっていった人もいる。お年寄りの利用者も多いから、そういえば最近あのおじいちゃんおばあちゃん来ないな、と思うと、そういうことかもな、とぼんやり考える。引っ越したとか、もっと近くにできたコンビニに行くようになったのかも知れないけれど。夕方の間に最低2回はお酒を買ってゴミ箱の前で飲み干していく明らかにアル中のおじさんとか、スーパーのレジ袋をお財布にしている人とか、深夜にはスカートを穿いて来店するらしいアイラインを引いた男性とか、いつも同じお弁当とパックのジュース買っていく何人かの人たちとか、僕の買う銘柄覚えてます?みたいな間で煙草を注文する男性とか、この先もなんとなく覚えているんじゃないかと思う。店員に覚えられると居心地や気味が悪いかと思うのですが、別に個人に介入したりなんてことは絶対にないので、ちょっとだけ覚えていることをゆるして欲しい。あなたが誰だか知らないし知るつもりもないけれど、あなたのことは少しだけ知っていたい。

こんな風に、店員という立場で誰かの生活にうっすらと関わって組み込まれているのだと思うと、コンビニのバイトも悪くないなと最近になって思う。私は他人への興味は強いくせに積極的に人と関わっていくことがあまり得意ではないので、買い物にくる人をレジの中から眺めていられるコンビニが好きだった。色んな人の生活のほんの一部分が溢れかえっているこの場所が。これは岸政彦『断片的なものの社会学』やNHKドキュメント72時間』をきっかけに得た考えと視点で、価値観が大きく広がった。コンビニって断片的だ。

断片的なものの社会学

断片的なものの社会学

 

 

ときに、物語のなかにおいてコンビニバイトはネガティブなものとして扱われている印象が強い。佐藤多佳子の小説『明るい夜に出かけて』の大学を休学中の主人公、映画『百円の恋』の家を飛び出した一子(安藤サクラ)、映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の次の派遣先が決まらなかった七海(黒木華)、ドラマ『しあわせの記憶』の就活に失敗した冬花(二階堂ふみ)、ドラマ『おやじの背中 よろしくな。息子』の会社を辞めた祐介(東出昌大)…とぱっと思いつくものを挙げてみても、コンビニでバイトしているのはみな一様に人生につまずいた人々である。私自身も当事者みたいなものだ。オーナーや正社員でもない限り、ずっと続けていく仕事ではないのだろう。飲食や専門店と比べて知識や技術が必要のない仕事なので採用率も高いのだろうし、バイトといえば取り敢えずコンビニということなのだとも思う。1人に対する接客時間も短く店員の質やスキルはさほど重視されないため、活気のなさが演出できることも大きな理由のひとつだろう。実際、私のバイト先にもかつて年齢その他詳細不詳の夜勤が2人ほどいて、客にも色んな人がいれば店員にも色んな人がいるのがコンビニの特徴だ。もちろんネガティヴなだけでなく、コンビニは物語において出会いをもたらす場でもある。例えば、バナナマンおぎやはぎのワンシチュエーションコント『epoch TV square』では日村さんがマンション下のコンビニに勤める立花ちゃんに思いを寄せる。また、忘れてはいけないのは21世紀最大のラブソング菊地成孔feat.岩澤瞳『普通の恋』だろう。自傷癖の男とチョコレート依存者の女が出会ったのはお洒落な場所じゃなかった。

 


futsu no koi

 

コンビニを題材にした作品といえば、2016年に芥川賞を受賞した村田沙耶香コンビニ人間』。コンビニでバイトしながら執筆活動を続ける村田さん自身とも相まって、凄まじくアナーキーでとても優しい傑作だと思う。

コンビニ人間

コンビニ人間

 

コンビニに従事する、という一見社会に参画し迎合していくような行為がこの物語の中では逆説的に機能する。36歳の独身女性がずっとコンビニでアルバイトをしている、というのは「世間一般」では異常なこととみなされ、よっぽどの事情がなければ理解されない。就職、結婚、出産という社会規範のレールから逸れた人間は「普通ではない」というレッテルを貼られてしまうのだ。「どうして(◯◯しないの)?」という悪気のない問いかけは、少しずつ私たちの世界を窮屈にしていく。かくいう私も知らず知らずのうちに「社会規範」や「普通」という見えないルールに加担しながら生活し、ときに誰かを排斥してしまっているかも知れない。『コンビニ人間』は「正常な部品」としてコンビニで働くことに生きる術を見出した恵子という限りなく純粋で透明なキャラクターを通して、この世界の「普通」や「常識」という実体のない呪縛を浮き彫りにし、そこから逸脱することを描いている。彼女がコンビニ人間であることをとやかく言う権利など、誰も持ってはいないのだ。

なぜコンビニエンスストアが物語の舞台として機能するのだろうかと考えると、非常に現代的な空間だからではないだろうか。24時間、煌々と明かりを放ちながら日本全国に存在するコンビニエンスストア。都内では同じチェーンが数軒先に並んでいる光景がざらにある。潰れていくコンビニも多いが、ほとんどは後に居抜きで違う店が入り、異様に「元コンビニ」の存在感を放ち続ける。慣れない旅先でコンビニの明かりを見つけるとほっとして、用もないのに立ち寄りたくなってしまうこともある。弁当、惣菜、パン、野菜、ストッキング、ATM、カップ麺、ケーキ、シャンプー、文房具、雑誌、アイス、itunesカード、洗剤、手袋、猫のエサ、コーヒー、靴下、肉まん、ドーナツ、酒、煙草、コピー機、電池、充電器、お米、お砂糖、味噌、醤油、駄菓子にワックス、制汗剤、ご祝儀袋その他もろもろが小さな空間にひしめきあっている。嗜好品も生活必需品も少しずつなんでも売っている。食料品を買うならスーパー、食事をするならファミレスやファストフード、服を買うならアパレルショップ、薬や日用品ならドラッグストア、本ならブックストアとそれぞれの役割を持つチェーン点は無数にあり、コンビニはまずそれらの代替としての機能する。今やその機能を超えて、コンビニはコンビニとして独自の存在となっているように思う。『コンビニ人間』の恵子がコンビニの部品なら、コンビニは社会生活の部品といえるかもしれない。なんでもあるその空間はどんな人間も受け入れる隙間のような場所だ。それは寛容かも知れないし空虚かもしれない。

最後の出勤はいつもと何ら変わらずに終わっていった。6年といえど、たかがバイトの最終日なんてこんなものかと呆気にとられたような気待ちだ。でもそれもコンビニっぽいかな。毎週の出勤と業務がルーティンワークのように身体に染み込んでいて、来週もまたいつものようにアルバイトに行くような気さえしている。曖昧で希薄な思い入れが、蛍光灯の下に漂っているようだ。


モーニング娘。 『ザ☆ピース!』 (MV)

 

記憶の選別

f:id:Vanity73:20170217144528j:image

3年前から手書きの日記を付けている。ラーメンズ小林賢太郎の演劇公演『振り子とチーズケーキ』の内容にちなんだグッズの日記帳が可愛くて欲しくなり、買ったからには使おうと書き始めたのがきっかけだった。その分厚い日記帳を2年使った後は、羽海野チカ3月のライオン』の付録、今年はヒグチユウコ『ギュスターブくん』の付録を愛用している。

日記にはその日にしたこと、見たもの、食べたものなどや簡単な感想を淡々と記録して、考えごとなどのエモーショナルなことは極力書かないようにしてみると、これまで三日坊主に終わってきた日記が続けられることに気がついた。そのうちに、記憶しておきたいことを日記に託すようになった。覚えておきたいことだけを記録し、覚えておきたくないことは意識的に書かないでいると、自然と忘れられるようになったのだ。それでも自分自身の脳みそを騙すことは難しく、たまに地獄の釜が開いてしまうこともあるが、毎日のように自分の失態やヘマ、コミュニケーションの失敗に苛まれていた頃に比べるとずっとましになったように感じる。覚えておきたいことほど忘れて、忘れたいことばかり覚えている出来損ないの脳みそを補完する、外付けHDDのようなものだろうか。

どんなに些細なことでも、一度囚われてしまうと延々と記憶や胸のうちでジクジクと醜く熟れてしまう。それを言葉や文章として吐き出して解放する、というメソッドの方が効くこともある。私の場合は嫌なことがあると頭の中でiPhoneないしはパソコンのキーボードを叩き、架空のブログにそのときの思考と罵詈雑言を打ち込む、というイメージを繰り返して気付けばすっきりとしていることが多い。イメージだけで完結し、形に「残さない」ということが私には向いているようだ。日記やブログに書きたくなることもあるのだが、書いてしまうと「書いた」ということも含めてより強固に記憶されてしまうような気がする。

私は思い出に浸るのが大好きな人間なので、暇があると自分の手帳、日記、ブログを読み返している。やはり忘れていることも多く、自分の日記が一番面白い読み物のように感じられることもある。そういうときは決まって心身が疲れているときなのだけれども。

突然思い立ってこんなことを書いたのも、今日は少しずつ嫌なこと自分に腹が立つことがあって漠然と死にたい気持ちに支配されたからだった。詳しく書いたら読み返すたびに思い出すことになる。つまらないことは、選別してなかったことにしてしまえばいい。

平成29年2月の半分

『カルテット』第3話、すごかった。前回までは見終えるとすごいな~面白いな~みぞみぞするな~!とはしゃいでいたのだけれど、今回はいつまでも噛み締めるようにそば屋でのカツ丼のシーンを思い出していた。「病院いかなくていいよ。みんなのところ帰ろう」からの一連の台詞を、1話で「夫婦って、別れられる家族、なんだと思います」と言った巻さんが言うのだから。スッと目の色が変わってすずめの手を取る巻さんが忘れられない。松たか子満島ひかりの凄まじさをまざまざと感じさせられる屈指のシーンでした。このドラマは、家族というある種の呪縛から解き放たれて関係を築いていく4人の物語でもあるのだな。「家族」ってその中にガチガチに囚われる場合と、そこに"属していない"ということに囚われる場合とがあってなんて厄介なんだろうと思う。だから、私たちは他の誰かと関係していたい、そうせずにはいられないのかも知れないなんてことも考えた。ぴかぴかのイルミネーションを飾って帰りを待ってくれるカルテットがいるんだもの。大丈夫。巻さんも家森さんも別府さんも、すずめちゃんに出ていけなんて言わないという確かな感触が3話にしてもうはっきりとあって頼もしいな。ときに、ウルトラソウルのランジェリーはどこで買えるのだろうか。すずめちゃん、なんで黒猫チェルシーのTシャツ着てるんだろうと思ったら、『かもめ』で渡辺大知と共演していたからかしら。告知番組のインタビューで、色んな人の寄せ集めにしたいということから満島ひかり自身が知り合いからいらない服をもらって衣装を構成していると話していたのでそのひとつかも。赤い大きなセーターは満島さんのお母さんが若い頃にお父さんに編んだものだそうで。他にもオーバーサイズの革ジャンとかフロントにポケットがついたツナギとかめちゃかわですよね。 

 

1日水曜日

f:id:Vanity73:20170202004405j:image

東京駅丸の内南口にあるKITTEの4階とインターメディアテクが好きで、近くまでくると訪れるのですが、今回はじめて屋上庭園に出てみた。電車もビルのエレベーターも看板のネオンもちかちか動き続けているのが見えてとてもいい場所ですね。

f:id:Vanity73:20170202011046j:image

f:id:Vanity73:20170202004409j:image

西銀座デパートの喫茶ブリッヂでご飯を食べていたら、アルピーDCGのエンディングBGMが流れてきてひとりほくそ笑む。ブリッヂ名物のメロンパンケーキにずっと恋い焦がれているんですけれども、なかなか食べるタイミングが掴めない。次こそは。

f:id:Vanity73:20170205162736j:image

東京国際フォーラムホームAにて港カヲル人間生活46周年コンサート〜演奏・グループ魂〜へ。カヲルさんの愛くるしさがありあまる最高のコンサートでした。大型ヴィジョンのカメラワークも素晴らしかったです。カヲルさんの独唱を呆気にとられたような顔で眺める石鹸、寝ている破壊、爆笑する暴動。ライブが控えているというのに幕間に体力を消耗しそうなダブルダッチを披露するグループ魂のみなさんが格好良くて格好良くて、私の精神面の豊かさはこの人たちに支えられていると変なところでジーンときてしまった。

 

 2日木曜日

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない

 

こだま『夫のちんぽが入らない』を読む。タイトルが全てなのかと思ったらそれ以外にも大変な問題に直面する夫婦のお話で、はらはらしたりずーんとしたり。簡単にわかったような顔はできないけれど、病院に行かず、入らないまま生きるという選択、わかるなあと思った。ままならないことは、ままならないままで良いじゃない。

 

3日金曜日

f:id:Vanity73:20170203141854j:image

銀だこの宅配バイクのヘルメットがたこ焼きなのめちゃくちゃ可愛くて見かけるとテンションが上がります。でもなかなか走ってないんですよね。

f:id:Vanity73:20170204000201j:image

東武伊勢崎線上り北千住駅のホームからいつも看板が見えて気になっていた喫茶室サンローゼでお茶。明るすぎず暗すぎず、静かすぎずうるさ過ぎずといったいい塩梅の雰囲気がさいこうの喫茶店でした。北千住は都内には出る際に必ず通過するもののあまり降りないのでいままで勿体無いことをしていたな〜と思っていたら、3月28日で閉店するという貼り紙を見て凹む。ガーン…マジか…気になるお店には行っておかないとな。 f:id:Vanity73:20170204000205j:image

今回は華麗な柱がそびえる中央の円卓席に座ったのですが、窓際からは駅のホームが見えるので閉店前にもう一度訪れようと思います。メロン型の器に入ったフルーツヨーグルトも食べたい。

f:id:Vanity73:20170204000227j:image

f:id:Vanity73:20170205162552j:image

ここが足立区であることを感じさせてくれるトイレの貼り紙。ゴッサム

f:id:Vanity73:20170203213257j:image

ルネこだいらにてクレイジーケンバンド香港的士2017へ。昨年の夏にcero主催のTrafficで見てからまたライブに行きたいな、と思っていたので都合がついたこの日に。市民ホールで見るCKBも乙なものでした。はあ〜格好良い。香港のネオンと看板のセットにもめちゃくちゃテンションが上がった。あと剣さん、愛子さん、スモーキー・テツニの動きがすごく良い。楽しい。

 

 4日土曜日

滝を見にいく 【DVD】

滝を見にいく 【DVD】

 

沖田修一『滝を見にいく』を観た。面白い。私はユーミン推しです。葉っぱや茎をクロスさせて「いっせーのーせっ」で引っ張るあの遊び、懐かしすぎて涙が出そうになりました。小、中学生のころ体育の授業中や休み時間にずっとやってたな。

 

 6日月曜日

人のセックスを笑うな
 

井口奈己人のセックスを笑うな』を観た。数年前に観たときはこれは一体どういう話なんだろうといまいちピンと来ていなくて大学構内やファミレスの景色ばかりが印象に残っていたのですが、改めて観るとこんなにも親密な時間の流れる愛おしい映画だったのだなあと以前と全く違って見えた。とても好きだ。松山ケンイチ永作博美、可愛すぎて、好きになっちゃう!と何度思ったことか。たまにぽろっと松山ケンイチの訛りが出るのがこれまた。『ニシノユキヒコの恋と冒険』もそうなのですが、井口監督の撮る風景はシンメトリーやカーブなどの構図がとても意識的で、いつまでも見ていられる一枚絵のような魅力がありますね。あと、どの役者さんももれなく可愛い。『住住』『バイプレイヤーズ』など図らずも今期のトレンドのようになっている本人役のフィクションを井口監督が撮ったらすごく面白いのでは、とふと思った。

 

7日火曜日

『カルテット』第4話。高橋メアリージュン、『SICKS』であの野口かおるに負けずとも劣らない存在感を放っていたのが印象的な方でしたが今回も良かったですね。キッとした瞳にコテコテの関西弁、ベタなキャラクターのように思えるけどこういう女優さんてあまりいない気がする。プチ『最高の離婚』でした。

最後の扉が開くサスペンスな演出を見て、そういえば坂元裕二は『あなたの隣に誰かいる』の脚本を書いていることを思い出しました。これ、坂元さんのwikipedia読んでて一番びっくりした。北村一輝演じる‘虫の男’が死んでも死んでも生き返るサイコスリラーで、とにかく気持ち悪くて怖かった。正直細かい部分は覚えていなくて昨今の坂元さんの作家性とも結びつかないですが、青みがかった映像と主題歌のB'z「アラクレ」が強烈に残っている。会話劇が卓越しているのでそちらにばかり気を取られてしまうけれど、これを書いた人ということはいくらでもサスペンスに出来るんだよなーとふと思った。

配信が開始された「おとなの掟」を鬼リピートしています。

おとなの掟

おとなの掟

  • Doughnuts Hole
  • J-Pop
  • ¥250

ああ白黒付けるのは恐ろしい

・・切実に生きればこそ・・

 

そう人生は長い、世界は広い

自由を手にした僕らはグレー

幸福になって 不幸になって

慌ただしい胸の裡だけが騒ぐ

・・おとなは秘密を守る・・

巻さんが夫さんを殺したのか/殺していないのかの謎に近付くにつれて、「おとなの掟」は巻さんの歌だなあと思いながら聞いている。白とも黒ともいえないグレーな真相が待っているのかしら。そもそもこのドラマは一言で言い切ることのできない「グレー」な感情や言動を描いているのでドラマにも沿っているし、曲単独で聞いても素敵だし、どんどん大好きになります。

松田龍平高橋一生の歌う「空洞です」、超聞きて〜高橋一生の出演作で特に好きな『世にも奇妙な物語「クイズのおっさん」』(2016年)の中で、布施明の「君は薔薇より美しい」をカラオケで歌うシーンが少しあるんですけどそれがすごく良いんですよね。

 

10日金曜日

昨年、渋谷センター街にある一風堂で食べたトッピングのトマトが忘れられなくて食べにいったらメニューからなくなっていた…そんな…。トマト半玉にオリーブオイルと塩こしょうみたいな感じだったと思うのですが、とてもとても美味しくて。他に食べられるところないかしら…

シアターコクーンにてケラリーノ・サンドロヴィッチ作演出『陥没』を観劇。キャストが発表されたときから2017年の大本命だ!と早くも期待をパンパンに膨らませて臨んだのですが、その期待をゆうに飛び越える素晴らしさでした。ロマンティックコメディーかつファンタジー。それぞれの登場人物が魅力的な場面を繰り広げる群像劇のようなやわらかさは、毎週観たいなと思うくらい愛おしい。冒頭のセピア色の照明や会場の側面まで使ったプロジェクションマッピングのオープニング、洋館と背景でそよめく大きな桜の木の美術、高度成長期のモダンさをまとった衣装すべてが高水準で心地よく没入できました。誰もが口に出せないこと、隠しておきたいことを軽々と口にし、思いがけず伝えてしまう清晴(瀬戸康史)は天使さながらだった。幽霊も天使もミイラもみな幸せになる。

 

14日火曜日

バレンタイン。中学・高校(共学)のときは、女の子たちによる手作りチョコレートの大交換会が行われていた。どこからそんなモチベーションが、と圧倒されるほどのテンションで教室を行き交う女の子たちの手作りお菓子と嬌声。私はそこに参加するという発想がそもそも無かったので大人しくしていたのですが、たまにおこぼれを貰うこともあり。貰ったからには、と3月14日にお返しをするわけですが女の子同士にはホワイトデーという慣習はなくて交換したらそこで終わりなわけです。たいして親しくない子にお返しを渡しても一瞬なんのこと?という顔をされてしまうので、義理チョコに対応しなくちゃいけない男の子ってこんな気持ちなのかしら、と切なくなったことを思い出しました。お返しをしなかったらしなかったできまりが悪いし。でも貰うととても嬉しいし、チョコレートをくれる女性は間違いなく可愛らしいです。

バレンタインといえば、エレ片の名作Podcast「チョコ、好きなんだけどー↑」が欠かせませんね。何度聞いても良い。あと安住紳一郎の日曜天国の「チョコレートありがとーございます!」も好きです。

『カルテット』第5話。平原テツ、安藤輪子って絶妙なキャスティングだな〜有朱ちゃんこわいな〜いやだないやだなこわいな〜巻さんの表情凄すぎるな〜と思っていたら現れたフードにマスクの怪しい男。ちらっと見えた目元に「あれ?」と思い、ん?えっ?…これは…これは……く、く、く、く、宮藤官九郎だ〜〜〜〜〜!!!!!夫さん!?夫さんクドカン!マジか!まさか!上り坂下り坂まさか!!まさか〜〜!!!そうきたか〜〜〜〜!!!とテンション爆上がりのまま終わり、結果的に興奮がなかなか冷めない5話でした。前情報一切なしのサプライズ登場、流石のプロデュースですな。夫さんは登場しない方向でいくのかと思っていたけれど、宮藤さんなら靴下残してふらっといなくなりそうだし、唐揚げにレモンかけられても何も言わなそうだし、殺されてるって言われたら殺されてそうだし、予想だにしていなかったけれど納得のキャスティングです。もたいまさこと親子というのもこれまた。まあ、私が宮藤さん好きなのもあるんですけど。坂元裕二のドラマに宮藤官九郎が役者として出演する、という選択肢があったか!すげえな!やばいっすね。TBSといえば宮藤さんとのドラマでおなじみの磯山晶プロデューサーですが、『カルテット』の佐野亜裕美プロデューサーは後輩にあたるのでしょうかね。なんだか、脈々と受け継がれるものを感じる。とにもかくにも、もうすっかり大好きなカルテットの4人に私がこの世で一番好きな宮藤官九郎ときたら、平静を保って見ることはもう諦めました。みぞみぞが止まりません。

平成29年1月覚書

 f:id:Vanity73:20170115195320j:image

年始は浅草にお参りにいったり高尾山に登ったり、楽しく過ごしました。お楽しみの年始特番は『キングちゃん』(パペルvsぴぱな!)、『ゴッドタン マジ歌選手権』(劇団ひとりドローン!バカリズムのsuchmos!)、『富士ファミリー2017』、『ご本、出しときますね?SP』が期待を上回る面白さで、今年も貪欲にテレビ欄チェックに精を出そうと心に誓いました。面白いシーンがあればそこだけ切り取ったものがあっという間に拡散されていくようになりましたけど、やっぱり番組自体を見逃していると悔しいし、テレビも映画も本も演劇も音楽もなるべくちゃんと享受していきたい。

 

10日火曜日

FMyokohama松重豊「深夜の音楽食堂」ceroゲスト回が印象的だった。ceroが所属するカクバリズムの話になった際に二階堂和美キセルの名前が出て、松重さんてこういう音楽を聞くんだなーと。それから、松重さんがセレクトして読み上げた「roji」の朗読が素晴らしかった。現実世界とパラレルを行き来するceroの楽曲群の中でも「roji」は現世側だと思って今まで聞いていたのが、松重さんが発話することで静かにドラマがはじまりパラレルワールドの気配がスッと漂ってくるような感触がした。

 乱暴に取った受話器から聞こえた不気味な風の音

すぐ通話途絶えて背筋も冷えたし

開け放ってた窓もそろそろぼちぼちいい加減に閉めようか・・・

 

新しい日々のはじまり 感じ取っているはず

どこか別の世界での約束 どうしても思い出せない

 朗読の最後にドアを開けるベルの音で曲が始まる演出もきまっていたな。

 

13日金曜日

www.nhk.or.jp

『お母さん、娘をやめていいですか?』が面白い。母(斉藤由貴)が娘(波留)のデートを尾行するシーンがもうサスペンス。家を建てているけどお父さん(寺脇康文)はリストラ寸前だし、どうなっちゃうの~~という感じで楽しみだ。『ディストラクション・ベイビーズ』『ゆとりですがなにか』に続き、柳楽優弥がとても良い。

 

14日土曜日

天気予報の通り「最強の寒波」がやってきて、歩いていると鼻の奥がツンとする寒さの一日だった。埼玉は朝から晴天で雪は降らないだろうと思っていたら、お昼過ぎに空が真っ暗になってほんの一瞬だけ雪が降った。しんしん、でも、はらはら、でもなくバラララッと幻のように通り過ぎた今年の初雪。

池袋シアターKASSAIにてジエン社『夜組』を観劇。『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』内の「家族」というコーナーに着想を得て、実際にリスナーにも取材をして作られた作品ということで観に行きました。深夜ラジオのリスナー=夜に生きる人と捉え、ディストピアのような夜の世界での彼らと彼らの家族との交錯を描いているのはとても面白い。同時多発的な会話や不明瞭な設定についてゆけずにのりきれなかったのも正直なところ。でも帰り道や眠るまでの間、深夜ラジオでしか成立しない空気感や面白さ、沢山のリスナーからのメールが読まれているのにこのラジオを聞いているのは自分だけなのではないかと感じる不思議について延々と考えていたので、結果的に観てよかったなと思えた。ジエン社主宰の山本健介、出演者の寺内淳志、善積元によるアフタートークでは、取材をしたリスナーがみんな周囲にラジオを聞いていることを話していないという話題が出ていて、ラジオの中にのみ現れるキャラクターとコミュニティという点においてこの作品が少し分かったような気がする。それから、この日の昼公演にアルコ&ピースの酒井さんが来て、レッドブルを差し入れしていったそうです。

酒井さんといえば、最近では1月10日放送分アフタートークで話されていたエピソードがとても好きです。 お正月に川崎に帰省した際、地元の友達に絡まれないように実家までタクシーに乗ったら夜に「帰ってきてるだろ」と電話で呼び出された話。バカいかちい・・・。こんなにイメージ通りの川崎エピソードってあるかよ。川崎といえば、以前『関ジャニクロニクル』を観ていたら「ハロウィンの夜に一人で歩いている女性はどんな人なのか?」というテレ東チックな趣旨のもと、ハロウィンパレードで有名な川崎に丸山くんが取材に行く企画をやっていたのを思い出した。繁華街で輩に「関ジャニ!」と叫ばれ追いかけられるなかなか衝撃的な映像を土曜のお昼に見たのが強烈に残っています。

 

サザンウィンドウ・サザンドア (フィールコミックス)

サザンウィンドウ・サザンドア (フィールコミックス)

 

 石山さやか『サザンウィンドウ・サザンドア』を読んだ。「離れていても同じ空(花火)を見ている」と言葉にすれば陳腐に聞こえてしまうようなことをスマートかつキュートに描いた「今年の花火」からずっと心地の良い温度感、リズムでとても好きです。団地や風景の緻密な書き込みとラフな線の引き方のバランスも凄くて、ずっと眺めちゃうページが沢山あります。

 

17日火曜日

待ちに待った『カルテット』、会話と視線の応酬がもうたまらない。すずめ(満島ひかり)の巻(松たか子)へのミッションが一話で明かされましたけれども、今後のサスペンス的展開は自ずとそれぞれの人間ドラマとイコールになるのだなと思うと構成と脚本に期待が膨らみまくります。「あしたのジョーの帽子」とか「みかんつめつめゼリー」とか「高級箱ティッシュ紫式部」とか唐揚げにレモンをかけながら「おいしそー」「ですよねー」って会話するすずめと別府さん(松田龍平)とかとかとか、分かっちゃいたけど、いたるところまで4人の佇まいが最高の最高。ミゾミゾする。巻さんの「さかむけ、肘まではがされます」って台詞と発話がとても好きです。脚本やキャスティングの方向性だけでなく、椎名林檎のペンによる主題歌「おとなの掟」、maegamimamiのイラストといった訴求力は制作側の視聴者への目配せというよりも、良いものを作ろうという自信と信念が感じられてとても良いな、と思う。「こういうの好きなんでしょ?」じゃなくて、「これ素敵じゃないですか?」「とても良い!」という感じ。

 

18日水曜日


長澤まさみら新キャストで蘇る!ミュージカル『キャバレー』公開ゲネプロ | エンタステージ

EXシアターにて松尾スズキ演出『キャバレー』を観劇。長すぎる手足にクシャッとした笑顔にダンスに歌に・・・サリーが登場するたびに「まさみーーー!」と叫びたくなるほど長澤まさみが最高でした。石丸幹二のMCはこの作品を貫く「上品にときにお下品に」というキャバレーのテーゼを見事に体現していた。白塗りメイクでも地顔がわかる造形の濃ゆさ。まさか劇団四季にもこういう演目と役あるのかな、と思うくらいハマっていたな。ギラギラでお下品なキャバレーのシーンはどれも最高で、それだけでもショーとして成立する強度を誇っていた。1920年代のドイツ、ナチス政権という時代の影が迫り来る1幕のラストと2幕での淡々とした人間模様や情勢の変化のコントラストは、気付いたときにはこうなっていたというやるせなさのようなものが漂っていてゾワっとする。「反対を表明しないことは賛成したのと同じことだ」というクリフ(小池徹平)の台詞。ド派手なショーのフィナーレはこれまでの曲のプレイバックで、いかにも走馬灯のような静けさと寂寞を湛えていた。さようなら、と去っていくMC。みんなはどこへ行ったのだろう。どこかで破滅を予感しながら繰り広げられる乱痴気騒ぎと快楽はあまりにも虚しく、だからこそ甘く美しい。

 

f:id:Vanity73:20170119221912j:image

21_21DESIGN SIGHTの『デザインの解剖展』へ。人が多〜い。子供の頃、世の中に出回っているあらゆる商品は全て完璧なものに見えていて、大人は何でも完璧にしなくちゃならないから大変だなあなんて思っていたことがあったんですけど、パッケージのフォントひとつ取ってもこんなに考え抜かれているんだから、やっぱり大変だなと子供の頃の気持ちに引き戻された。大人になったら私も完璧にならなきゃいけないんだとなんとなく怖かったので、たまに大量に刷られるポップやメニューに誤字を見つけると、「よく見つからずにここまで来たね」とちょっと嬉しくなる。揚げ足取りとかそうゆうのじゃなく。これは2年くらい前に見つけたドリノクバー。

f:id:Vanity73:20170127225328j:image

話は戻りまして、スーパーカップ超バニラの「超」の文字だけクローズアップされるとピンと来ないもんだなー

f:id:Vanity73:20170121013731j:image

 

 

高校教師 DVD BOX

高校教師 DVD BOX

 

オンデマンドで『高校教師』(1993年)を見始めたら止まらなくなって一気に視聴。羽村真田広之)と繭(桜井幸子)の距離が近付いていく前半はもうムズキュンどころの話ではない。心臓破裂しそう。 桜井幸子の大人びたルックスと雰囲気、いたずらな可愛らしさ、儚さ、危うさ、透明感…どの角度から見ても完璧すぎる。真田広之も、世界で一番ハンサムなんじゃないのと思うくらい。横顔がもうすごい。完璧なフォルム。直子(持田真樹)と新庄(赤井英和)もすごく良いんだよな。あと一話に駅員役の松尾スズキが出ている。惚れた腫れたとか付き合うとか別れるとかももちろん面白いですけれども、誰かのことを好きになって惹かれあっていくときにしか流れない時間のきらめきみたいなものが見たくて私は恋愛の物語を求めているのかもしれないとすら思います。他の誰にも知り得ない、ふたりだけの愛としか呼びようがないもの。すべては「人が恋に落ちる瞬間」と「普通の恋」ですよ。後半のサイコ色強めの展開もめちゃくちゃ面白い。結末はこの上なく完璧なハッピーエンドだと思った。視聴者プレゼントの映像も入っていたのですが、森田童子「ぼくたちの失敗」の短冊CDがドミノ倒しになって最後に羽村と繭の写真が出てくる映像がシュールで良かった。なんだありゃ。

 

22日日曜日

f:id:Vanity73:20170131114814j:plain

LINE LIVE『港カヲルのお悩み相談室』でsnowにはしゃぐカヲルさん、暴動さん、ゴスペラーズ安岡さんが可愛すぎる問題。「なにこれ~!」「うわ~!」「やだ〜!やだ〜!」って。画質の良いスクリーンショットが取れなかったので小さくしたらプリクラみたいでなお可愛い。LINE LIVEはアーカイブが残るので便利ですね。

 

24日火曜日


「住住」PR 主題歌ver

バカリズム・オードリー若林・二階堂ふみの『住住』、シンプルに駄弁っていてとても面白かったな。ハプニングを起こすのではなくて、キャラクターのおかしさで転がしているのも良い。何より、脚本ありの本人役というフィクションとノンフィクションの境が曖昧なシチュエーションを絶妙〜なラインで演じる二階堂ふみが上手い。上手すぎる。素のように振る舞いすぎるとグダグダになりそうなところを、きゅきゅっと締めている。すげ〜エンディングにEnjoy Music Club、イラストにボブa.k.a.えんちゃんという明確な方向性も安心しますね。

 

27日金曜日

f:id:Vanity73:20170127211807j:image

国立新美術館開館10周年記念イベントのエマニュエル・ムホー「数字の森」。

f:id:Vanity73:20170127211801j:image

渋谷の名曲喫茶ライオンにはじめて入った。薄暗い店内に巨大なスピーカー、大量のレコード、赤いヴェルヴェットに白いカバーのかかった椅子…また来よう。ミステリアス100点満点の店員さんに小声で「ごゆっくりどうぞ…」と言われると本当に異世界に迷い込んだみたいだった。円山町と百軒店に挟まれた立地も最高なんですよね。 

明るい夜に出かけて

明るい夜に出かけて

 

佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』を読み終える。先日見たジエン社『夜組』と同様に、『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』とそのリスナーを題材にした作品でこちらは更にがっつりとラジオの内容が反映されている。どちらにも共通しているのは登場人物が皆人生の途中で立ち止まっている寄る辺なき人々であるということで、やはり深夜ラジオにはそういう磁場があるんだなあと思う。『明るい夜に〜』では、物語の山場にアルピーANNの1部から2部への降格がクロスオーバーして、なかなかの臨場感。

天才ハガキ職人の不思議系女子高生・佐古田のヴィジュアルを清野菜名でイメージすると私的にしっくりきて大変楽しく読めました。可愛いですよねえ、清野菜名ちゃん。RIP SLYMEPOPCORN NANCY」のMV超好きっす。

ライオンを出て渋谷LOFT9のエレキコミックトークライブ『僕らの飲み会』へ。通例では後半にゲストなのが、今回は早々に到着しているというので先に登場。ゲストはダチョウ倶楽部・寺門ジモン。いやあ、面白かった。ネイチャーと食べ物の話、感化されそうになるくらい興味深かった。突然「渋谷には悪人と迷い子しかいない」と言い出したのも、最後は「(ここまで食にこだわると)モテない」で終わったのも最高でした。

 


江本祐介「ライトブルー」MV

あまりにもまばゆすぎる。太陽の光を直視したあとみたいに目がちかちかする。私はこんな風に文化祭を謳歌したタイプの人間ではないのですが、このMVの中の彼女たちや文化祭は素直に良いな、と思える。MVのための文化祭なのでいわばフィクションでもあり、いわき総合高校の高校生にとってはこれも間違いなく青春の1ページとして記憶されているのだろうなと思うと愛しさと切なさと心強さで胸がきゅっとしちゃう。彼女たちの時間もきっとこんな風にワンカットで、あっという間に流れていくけど、一生ものだね。ロロの島田桃子さんによる振り付けもとても良くて、サビと連動した弾けるようにしなやかな躍動を見ているだけで泣いちゃいそう。

 

28日土曜日

f:id:Vanity73:20170128212332j:image

四谷区にある東長寺にて行われたザ・プーチンズのライブ「ぷ寺」へ。会場に足を踏み入れて、本当にお寺だ・・・と疑っていたわけではないけど改めて驚く。本堂へ入るときに水のはられたお庭のようなところを通るのですが、そのお水が本当に綺麗でここでのライブも見てみたいなあと思っていたら、アンコールできっちりと活用されていてやっぱりザ・プーチンズ最高だなと思いました。写真は新曲「なまはげランド」の撮影タイムでの写真です。

 

いま『高校教師』と高橋一生に夢中なので、「高橋一生の『高校教師』」という言葉がふと浮かんだんですけど、そんなの見たらもう死んじゃいますよね。真面目でふわっとしたところがあってちょっと冴えなくて可愛くて子供っぽいところもあって真剣で…と羽村先生のキャラクター造形を考えれば考えるほどぴったりで頭を抱えています。以上です。

映画『愛の新世界』

愛の新世界(無修正完全版) [DVD]

ここ1、2年の間にNetflix、hulu、amazonプライムビデオなどの定額制動画配信サービスは一気に波及したように思う。私もいくつかトライアルで使用してその充実ぶりと便利さの虜になっている。もちろんレンタルビデオ店をうろついて借りてくるのも楽しいのだが、一覧性や品揃え、ワンクリックで再生される手軽さはあまりにも魅力的だ。もしつまらない作品や気分に合わない作品に当たってしまったとき、レンタルビデオだとなんだか途中で消すのがもったいないような気がするが、オンデマンドならワンクリックで消しても損はない。そういった環境で、知らなかった作品や自分ではあまり手に取らない作品に思いがけず出会うことができるのも嬉しい。そうして出会ったのが1994年公開の高橋伴明監督作品『愛の新世界』だ。

SMクラブの女王様をやりながら劇団員として舞台に立つレイ(鈴木砂羽)と、ホテトル嬢のアユミ(片岡礼子)の青春グラフィティ。島本慶荒木経惟の共著が原作となっており、作中には荒木経惟の撮影した鈴木砂羽の写真が大量に登場する。R指定のついたくっきりと写されるSMやホテトルのプレイシーンは、行為を詳細に撮っているのに不思議なほどにエロティックさを感じさせない。よく性風俗の描写に伴う悲愴感は皆無で、あっけらかんとしてとびきりチャーミングな彼女たちの姿も相まって清々しいほどだ。

見所のひとつにキャスト陣が挙げられる。レイの所属する劇団の主宰は松尾スズキ、劇団員には阿部サダヲ宮藤官九郎らが名を連ねており、プチ大人計画なのである。若かりし彼らがプールではしゃいだり、一緒に性病科にかかったりするシーンなど、この映画でしかお目にかかれまい。最後には公演シーンもあり。SMクラブのママに杉本彩(眉上ぱっつんのロングヘアーが最高に可愛い)、萩原流行大杉漣などはあられもない姿でMの客を演じている。ホテトルお付きのヤクザ・哀川翔がサングラスのレンズをバリバリと食うシーンも最高です。

80〜90年代の渋谷の街並みと狂騒的な時代の鱗片をドライに写し取りながら、それらと共振するような彼女たちの明るくポジティブなパワーに溢れた青春を描いている。かつてのネオンや活気に溢れた街の景色、当時のファッションへの憧れを満たしてくれる映画でもあるのだ。中でも、夜遊びを終えたレイとアユミが、山崎ハコの歌う「今夜は踊ろう」をBGMに夜が白み始めた東京の街を疾走するシーンは何度も繰り返し見てしまうほどに大好きだ。「星降る街角」をカラオケで熱唱し、ナンパした男たちの車のハンドルを奪って爆走し、夜明けの海で全裸で戯れるレイとアユミの姿なんてもう「青春」以外の何物でもない。彼女たちの「今」を生きる、その迷いのない姿がこの上ない輝きを放ちフィルムに記憶されている。映画を締めくくるレイのナレーションに全てが詰まっているといってもいい。理屈抜きに大好きな映画です。

明日から、また祭りの準備が始まる。

明日から、また超面白いに決まってる。

f:id:Vanity73:20170121021411p:image