ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

Someone that loves you

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ダウナーな気分を掻き消すように、日々はにわかに騒がしい。相変わらず好きな人のことが超好きで、どうやら現在恋人らしき存在はいなさそうなことも確認し、能天気な毎日を送っている。いないからといって私に可能性があるのか、というと口を閉ざすほかないわけですが、好きな芸能人が結婚したらなんだか残念、みたいなあの気待ちです。

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11月17日、 トーキョーアーツアンドサイト本郷にて『不純物と免疫』を鑑賞。百頭たけしの写真が面白かった。平面に切り崩される山、ソーラーパネル、石造りの屋根とトタン、蔦と打ち捨てられた給油機、整列した墓と飛行機。不純物でもあるし、都市の新陳代謝を感じる写真。さりげなく過去のものと新しく作られるものが配置された構図も良い。

f:id:Vanity73:20171119153104j:image外堀通りを歩いていたら通りがかったいたるところのデザインがシンメトリーな元町公園。雰囲気のある公園だなと思って立ち寄ってみたらステージのような段のところで若者ふたりが漫才を練習していた。

f:id:Vanity73:20171119153855j:image更に歩いていたら後楽園に辿り着いた。人もまばらな平日の遊園地はほどよく寂しい気持ちにしてくれる。

f:id:Vanity73:20171119153312j:image池袋へ移動して、以前『夜の巷を徘徊する』で訪れていた西武の屋上庭園へ登ってみた。焼却場の煙突がメインパビリオンのように遠くにそびえる。美味しそうなメニューは売り切れていたから何も食べなかったけれど、平日の夕暮れ時に食事をしたら寂しくて良さそうな場所だ。

f:id:Vanity73:20171119153129j:imageタカセ9階のラウンジで夕食にホットドッグとケーキを食べる。こってりとしたクリームのコアントローモカ。向かいの席では謎のビジネス講釈、後ろでは中国の人が日本語を教わっていて退屈しない。サンシャインシティへ移動。ショッピングモールを流す。特にアルタのあたりは、空間の広さや栄えてなさ、お店のラインナップの埼玉感(というより郊外感)がもの凄くて東京都内にいることを忘れてしまう。妙に切ない気持ちになるので、これといった用がなくてもたまに来たくなる。ブクロサイコー

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サンシャイン劇場にて河原雅彦演出『ロッキー・ホラー・ショー』を観劇。開演前の売り子たちによるグッズの押し売りから猥雑な空気を作る徹底ぶり。キッチュな舞台美術やギラギラの衣装が目に楽しい。見ている間は楽しく、満腹感を残すことに注力した演出も潔かった。小池徹平なんてコミカルすぎて途中何度か井戸田潤にしか見えなかったもんな。劇中で古田新太に「素麺か」と言われていた手足の長いアヴちゃん(女王蜂)の存在感も出色。ダンスシーンではライブパフォーマンスで培われたしなやかな動きがとにかく映える。幕間で「ヴィーナス」が流れていて、帰ってからもしばらく女王蜂を聞いている。

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11月18日、花園神社の酉の市へ。夜遊びがしてみたくなって、そういうのが得意そうな友だちに声をかけて一緒に遊んでもらった。私は普段自分から人を誘うことが苦手で殆どできないのだけど、こうして寒いなか付き合ってくれる人がいることが本当にありがたくて嬉しい。楽しくなるように私がおもてなししなくちゃいけないのに、結局ぜんぶお任せしてしまって反省している。でも楽しかったな。朝方に電車から見えた富士山は輪郭がくっきりとしてとても綺麗だった。

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お目当ての見世物小屋カッパ御殿、想像よりもずっとポップで見やすかった。前日に観た『ロッキー・ホラー・ショー』に引き続き、猥雑で浮世離れした雰囲気を味わう。デリシャスウィートス、めちゃめちゃ可愛かったな。人魚のおまめちゃんがガラス瓶を食べるのを「大丈夫ー?」と見守っていたり、夜のお店に勤めるお姉さんたちのリアクションが最高に良かった。

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11月20日、駅で前を歩く女性がお化粧品を落としたので拾って渡したら、ホームで声をかけてくれた。小物の入ったビニールが詰まったポーチを片手に「色々手作りしているからひとつどうぞ」と手作りのストラップを差し出される。話しているそばからまた別のポーチを落としていて、この人はよくものを落とすんだろうなあと思った。拾っただけなので…と遠慮したら貰ってくれたほうが嬉しいと言うのでお言葉に甘えて水引に目玉のついた可愛いストラップを貰った。他にも見せてくれたキラキラした青いストーンのついたものや、おかめのお面のマスコットとつまみ細工のストラップはとてもユニークで可愛くて、バタバタと慌ただしい女性のキャラクターと相まって不思議な嬉しさがある。

ムーンライト(字幕版)

11月23日、早稲田松竹でバリー・ジェンキンス監督『ムーンライト』を観賞。いじめやヤク中の母親などヘヴィではあるけれども淡々と描かれていて、じんわりじんわりと沁みてくる。フアンの死が直接語られない余白とか。灼けつくような瞳とブルーに輝く肌。

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横浜へ移動。何度か来ているけれど横浜駅の全貌が分からなくて、今日もなんとなく東西を頼りに地下道を歩き回って目的地へ出る。東京近郊の都市の、機能が一部分に濃縮されている感じがとても好きだ。横浜まで来たら黄金町・伊勢佐木町エリアを歩くのがお気に入りなのだけれど先月訪れたばかりなので今日はメジャー感のある横浜駅を歩いて、ベイクォーターから赤レンガ倉庫までシーバスに乗った。最初は薄暗い客席、みなとみらい停船後はデッキに座る。

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とっぷりと日も暮れて、雨上がりで寒いかと思ったけれど程よい冷気でクルージング日和だった。高いビルや観覧車、客船の明かりで空がほんのり赤く見える。赤レンガ倉庫はクリスマスマーケットの準備をしていて、設営中でもイルミネーションをバックに写真を撮る人たちが沢山いた。

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モーションブルー横浜にてVIDEOTAPEMUSIC "ON THE AIR" Release OneMan Show。「On The Air」で混線した電波の中から拾い上げられたタクシー無線で「Sultry Night Slow」へ繋ぐオープニングから早速うっとりとしてしまう。いつも土地と対バンするつもりでライブしているとMCで話していたように、窓の外に広がる横浜の海やさっきシーバスから見た景色がすべてVIDEOTAPEMUSICの音楽によって融けてゆくようだ。前作『世界各国の夜』はいつか/どこかに存在したであろう誰かの時間を感じさせるロマンがあったけれど、今作は最早どこかもいつかもより曖昧になって(異界の気配すら漂う)あらゆる景色を浮かび上がらせる魅力がある。そしてあらゆる景色にも融けていくスライムのような感触。モーションブルーという特別な空間を含めて素晴らしいライブだった。クレイジーケンバンド「おにいちゃん」鶴岡龍とマグネティックス「KIMINOKO」とまさにィ横浜な歌モノを織り交ぜたcero髙城さんのDJも最高でした。あと開演前に食べたもち豚の舌のなんか美味しいやつ、とても美味しかったです。色合いがクリスマスっぽい。

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11月24日、本多劇場にてナイロン100℃『ちょっと、まってください』を観劇。ケラさんの公演でいつも楽しみにしているオープニング、舞台美術への投影と照明、音響が渾然一体となって今回もとにかく格好良い。映像や音楽を使った演出をここまで浮かずに効果的に使えるのはケラさんくらいではないかと思う。「不条理喜劇」と予告されていた本作、ズレた会話が次の瞬間に事実のように振る舞われ、あれよあれよという間に関係が入れ替わり、奇妙な面白さだった。「ちょっと、まってください」と何度心の中で呟いたことか。実質主演と呼ぶにふさわしいマギー、素晴らしかったな。

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11月26日、六本木スーパーデラックスにて東葛スポーツ『ハウス』を観劇。ナカゴー『ていで』の好演が印象的だった金山寿甲はどんなものを作っているのか興味があったのと、宮崎吐夢光浦靖子、森本華(ロロ)という客演に惹かれて初東葛スポーツ。ミクスチャー感覚極まれり、キレの良さとタチの悪さがものすごい。この話の筋はどうなの?とも思ってしまうのだけれど、よくできたリリックでつるんと飲み込めてしまうのがなお恐ろしい。悪意ってアドレナリン出るよね。そして何より、ロロの公演でも度々披露される森本華さんのラップ、永遠に聞いていたい。森本さんの発音の強さ、太さと内容の強さがこの上なくぴったり。 f:id:Vanity73:20171130222808j:image

11月30日、三鷹市芸術文化センター星のホールにて城山羊の会『相談者たち』を観劇。徐々に客電が落ちるとジッポと煙草の火が灯り、丸い照明が薄ぼんやりと浮かび上がる冒頭から引き込まれる。山内ケンジの書く言葉尻を引っ張り合うようなイヤ〜な会話、イヤ〜なのに笑ってしまうのは登場人物がみな少しずつ狂っているからだろうか。相対的にこの場面ではまともだけど、もう一方ではおかしな人間になる薄皮一枚の狂気が面白い。気まずい状況もだるくなるすんでのところで展開していくので飽きずに見れる。あとバカみたいな感想だが言わずにはいられない、山内作品での吹越満はもれなくエロい。とにかくエロい。

 

赤坂プリンスホテル

赤坂プリンスホテル

  • 東郷 清丸
  • J-Pop
  • ¥200

東郷清丸『2兆円』の中でも「赤坂プリンスホテル」がお気に入りで毎日のように聴いている。少し掠れた声と歌詞がとても好きだ。それと関係ないけれど、すっかり街路樹も紅葉して毎日赤と黄色の葉を踏みしめているというのになぜかBONNIE PINKの「A Perfect Sky」を聴いている。私の中のふと思い出して聴きたくなる曲第1位です。砂浜でカモシカのターン 暑い夏はカーステでダンス。

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情緒・反射・積載

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毎日のように降り続いた雨と2週に渡って週末に訪れた台風が川をいっぱいに満たした。あと数ミリで氾濫するのではないかというくらい河川敷スレスレで、危うさと非日常に少し胸がどきどきとする。高い水面はいつもより近くで太陽の光や工場の灯りを反射して、ぴかぴかと輝く。それが綺麗だった10月のおわり。特に理由はないけれど、10月のことは殆ど書かないままに11月になってしまった。今年ももう、なんてこれまでもこれからも何回も言うんだろうね。

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11月2日、本多劇場にてエレキコミック第27回発表会『LEMON LIME 100% GIRL』。笑いすぎて劇場を出る頃にはぐったりしているエレキコミック恒例の現象が今回も。今回は特にパワー系というか、とにかく顔と動きとフレーズで攻めてくるコントが揃っていた。「やっつんだっつん」でのやっつんの「最高!大好き!!」というフレーズが本当に最高で、全体的なムードも明るい。最初と最後のレモンとライムを使ったアレを、芸歴20年のコンビがやってるのめちゃめちゃ格好良いし強い。最高!大好き!!

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11月3日、シアターサンモールにてロロ『父母姉僕弟君』を観劇。過去と現在も人間と動物も野球や家族の概念もとにかくしっちゃかめっちゃかで、一瞬振り落とされそうになりながらもキッド(亀島一徳)のラストシーンにガツンとやられた。あの後ろ姿と、淡々と語りながら徐々に熱を帯びていく発話が凄まじい。ロロの世界では、仙人掌(望月綾乃)のようにいつも人と人とが出会った瞬間に受け入れられて関係が出来るのがとても好きだ。出会ったばかりの人同士が、父にも母にもなってしまうマジカルはロロにしかなし得ない。そして出会ったからには別れが訪れる。でも忘れても消えていっても、それはなくならない。むちゃくちゃな「We are the world」を見ていたら、なんか全部大丈夫な気がしてくる。この作品で形成されていった家族って、知らない人同士が深く関わりあうという意味でそのまま劇団やバンド、アイドルグループの関係にトレースされるのだなと思い至る。

劇中の台詞からムーンライダーズ「Cool Dynamo,Right on」の

君に預けた 僕のハッピー

冷凍にして 持ってておくれ

そうすれば いつでも

あの頃が 戻るだろう Right on

という歌詞を思い出したりした。これはとても個人的な話なんだけれども、いま私は片想いの真っ最中で好きな人のことや会話を日記にできるだけ細かく記録していて、それはこの先忘れていくときのために残しているものだ。私の場合は関係を築く以前の話だけど、おんなじだと思った。

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『父母姉僕弟君』で号泣して感極まった状態で、好きな人を含めた数人で食事とお酒という大イベントに挑む。一杯しか飲んでいないけれど思ったよりもお酒が強かったようで少しぼうっとしてしまい、うまく言葉が出てこなくて会話が滑らかに運ばなかった。楽しみにしていたし楽しい瞬間もあったけれど結果は惨敗で、異様に悲しい気持ちに包まれた。自分がいかに人と関わるのが下手か改めて痛感してしまったのもある。これまでもめちゃくちゃ気を遣わせていたんだな、というのを感じ取ってワーッとなる。難しい。人と関わるの難しい。ちょっと疲れたな、と思ってしまった自分に悲しくなった。私には触れられない領域(それは例えば過去のこと、極私的なこと)が思った以上に広くて呆然とした。私には関係がない。私この人と何も関係なかった。それなのに、『カルテット』を毎週楽しみに見ていたと話していたことを思い出すと嬉しくて好きな気持ちが湧き上がる。今更こわくて恋人の有無も確認できていないのに。同じドラマが好き、という以上に大切なことなんて果たしてあるだろうか。

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 一晩中悲しくて、浅い眠りを繰り返した。最近打ち解けられたことは事実だけれど、それは自分の所在なさから気を遣わせていたことに思い至って、仲良くなれただなんて思い上がりを恥じる。自分の期待通りに進まなかったことに拗ねていることにも気が付いてしまって自己嫌悪に陥る。自分に関心が向かなかったことを不満に思う。なんて幼稚だろう。歳月には勝てない。そのどうしようもなさが悲しい。しかも、言わなくていいことを言って友だちを傷付けてしまった。胸のあたりに柔い圧迫感がある。この気分の落ち込みは周期的なものだと思う。誰かと関わることで得た喜びは身震いするほど大きくて、得たことで生まれる不得手或いは喪失の悲しみは身体が痺れるほどに甘い。どうしてこんなに辛く悲しいのか本当のところはっきりとわからないまま1日過ごして、友だちに話を聞いてもらったら悲しい気持ちが和らいだ。きっと私の言葉で傷付けたり、いつも身勝手に付き合わせてるのに私の気持ちを汲んでくれて、その日はぐっすりと眠れた。次の日もさりげなく連絡をくれて、やりとりをしたら元気が出た。その友だちに対する気持ちは一言では言い表せなくて、ロロ『BGM』劇中歌「忘れるまでもない歌」の

愛からなるたけ遠い言葉で 君の幸福を祈りたい

という歌詞がしっくりくる。ロロの三浦さんは、色んな関係を融かしてくれる人だなあと思う。

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11月5日、新木場スタジオコーストにてカクバリズム15周年ライブ。スカート澤部さんも角張社長も鏡開きが割れなかったオープニングにどうなることかと思ったけれど笑、超迅速な転換でとても快適に楽しめて本当に良いアーティストの揃った気持ちのいいレーベルだなと思った。2階席に座れたのでのんびりとceroまで見て、フィナーレを見ずして…という気持ちもありつつ空腹と頭痛に耐えかねて帰路につく。とても好きなスカート「回想」から始まって、浴びるように沢山の良い音楽を聞いた。TrafficやDC/PRGとの対バンで見たときはかなり気合いの入った演奏をしていた印象が強かったceroは、今日は肩の力が少し抜けたような軽やかさがあった。ニカさんで締まったので僕らは次回予告のつもりでと髙城さんが言っていて、祭りの終盤のムードに寄り添うような「街の報せ」が沁みる。

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新譜『ON THE AIR』をリリースしたばかりで期待値も高かったけれど、スタジオコーストの大きなスクリーンをバックに見るVIDEOTAPEMUSICのライブは素晴らしすぎた。最後に演奏された「Fiction Romance」では、MVに登場する社交ダンスクラブの人々がメロディを口ずさみながら踊る映像が暗転し、VIDEOさんがピアニカソロを弾き終えると大きなミラーボールが回り出して会場中を白い光が包み込む。そのあまりの美しさに息をのんだ。これは他のカクバリズムアーティストにも通ずることだと思うのだけど、聞こえてくる音や見えている映像以上の景色や世界を見せてくれる。複雑さや奥深さと、純粋な音楽の楽しさが同居していてとても好きだ。

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目がさめると昨日、一昨日まで胸を覆っていた靄が少し晴れている感覚があった。友だちとカクバリズムのおかげだ。そういえば8月も精神状態が最悪だったときにカクバリ夏祭りで回復したな。と思ったのも束の間、バイトで凡ミスを連発し頭を抱える。落ち込むよりも、やっちまったな〜!みたいなテンションが残っているので全然大丈夫だけれども、そこそこにキツい。私情で仕事に影響を及ぼす自分の甘さが一番キツい。前は調子を崩す予兆があるときは直ぐに宮藤官九郎のドラマやエレ片のラジオ、お笑い、音楽を摂取して乗り越えていたけれど、最近それすら忘れてひたすらに落ち込むことが増えた。揺るがないと思っていた自分の好きなものを忘れて、虚像を追うような恋にうつつを抜かすなんて、私としたことが。でもドラマもラジオも音楽も、すべての物語と表現は思い出せばすぐそばにあって、すぐに会える。生み出され残されるものたちに、これまでもこれからも救われ続ける。それだけは何度も思い出せる。


柴田聡子 - ぼくめつ

彼方の雨雲

f:id:Vanity73:20170917182258j:image台風が近付いているのか去っていくのか9月の雨は、ひんやりとした空気と微かな湿気を伴って夏を遠くへ連れていった。1月生まれだからか、汗かきだからか、私はめっぽう冬が好きなので涼しくなればなるほど嬉しくなるのだ。冷たい空気の中にいると背筋が伸びる。今年は真っ赤なニットのスカートに真っ白なフェルトのベレー帽を合わせたい。コートの季節が来るまでは、大判のストールを主役にする計画も立てている。ラインの美しいチェックのスカートも手に入れて、準備は万端だ。

この空の花 -長岡花火物語 (DVD通常版)

9月14日、新文芸坐大林宣彦特集にて『この空の花 長岡花火物語』を鑑賞。セミドキュメンタリーや劇中劇を織り交ぜながら、画面はよりフィクショナルで夢想的な映像で彩られている。しかし不思議なことに、戯画的であればあるほど史実が現実味を持って迫って来るのだ。この世のものではない少女たちは一輪車で自在に滑走し、いとも簡単に、ときに強引に過去と現在を繋いでしまう。戦争を知らない私たちが史実を知り想像するために最も有効なものは物語であると改めて思わされた。そして誰よりも想像力を信じ、底抜けの奇想で映画を作り上げる大林宣彦という存在の大きさもまた然り。常識や定石に縛られないどころか、それらを果敢にぶっ壊していく映像演出の数々を見ているとなんだか勇気が湧いてくる。しかし、めちゃくちゃやっているようでいて散漫にならないのは、大林監督の信念が貫かれているからだろうな。そして気持ちが良いほどに狂っている。

f:id:Vanity73:20170915212444j:imageシアターコクーンにて『百鬼オペラ「羅生門」』を観劇。アブシャロム・ポラック&インバル・ピント初体験なのでとてもわくわくして臨み、期待以上のものを浴びせられたような気分だ。言葉の追いつかない世界。真っ赤なワンピースを着た真砂(満島ひかり)が蜘蛛の糸を垂らしながら蓮の葉とともに降りてきたあの瞬間、息をするのを忘れるくらい美しかった。紛れもなく神様だと思った。オペラというだけあって音楽の担う割合も多く、ミュージシャンもしっかりと舞台の世界に溶け込んでいるのもよかった。ceroのサポートでもお馴染みの角銅真実さんがめちゃくちゃ舞台映えしてて格好良かったな。

Drape Me in Velvet

Drape Me in Velvet

  • Musette
  • ポップ
  • ¥1350

文芸坐で流れていたのをshazamで検索して、AppleMusicでダウンロードするというあまりにも現代的な方法でMusetteを聴いて眠った。大林宣彦、百鬼オペラと奇妙を巡る1日の終わりに相応しい夢見心地だ。大変今更ながらAppleMusicを導入して、あまりにも色々な音楽が聴けてしまうことに周回遅れで困惑し興奮している。今まで興味はあったけれど聴くに至らなかったジャンルとか、好きなバンドのルーツなんかを掘り下げるにはもってこいだ。それにしてもNetflix然りAppleMusic然り、ワンクリックで大量の作品にアクセスできると時間がいくらあっても足りないな。その上、テレビだって面白いものが放送されていて、新しい映画も公開されて、毎日あちこちで演劇やライブもやっていて、本だって出ていて、目が回る。この世には面白いものがありすぎる。

「ベイビー・ドライバー」オリジナル・サウンドトラック

9月18日、新宿バルト9にてエドガー・ライト監督『ベイビー・ドライバー』を鑑賞。音楽!ダンス!カーチェイス!ガンアクション!ラブ!が全部フルスロットルで最高。アルコ&ピースにラジオでオマージュして欲しい映画だった。もちろんベイビーとデボラが大好きなんだけれども、終盤のバディがちょっと困っちゃうくらい格好良かった。

f:id:Vanity73:20170918184553j:imageらんぶるでドライカレーを食べる。広々とした地下の席とシャンデリアが見渡せる階段上の席がとても良い。店員さんにシュッとしたモデルみたいな男の子が数人いて、都内の大きな喫茶店は古いところでも活気がある。コーヒーを飲みながら長嶋有の『いろんな気持ちが本当の気持ち』を読んでいたら、「片思ってしまう」というエッセイが心にぶっ刺さった。思いを寄せる人と共通の趣味を持っていることに喜ぶ、という話からこう述べる。

あたかも「両思い」に向けて、わずかでもアドバンテージを得たかに思われる。だけど本当は逆で、そのこと(自分と好きな人だけが共有するなにかがある、と知ること)は、心の中の片思いの濃度をさらに強めてしまう。それは心地のいい陶酔だ。心地よさを大事にするあまり、恋を現実にするための手練手管をうてなくなってしまうのではないか。臆病さとは別の能動的な「欲求」として片思いはじめる。

わかりすぎてしまう。まったくもってその通りの現象が私の身にも起こっている。

f:id:Vanity73:20170918192532j:imageザ・スズナリにてロロ『BGM』を観劇。何を隠そうこの日のテーマは「車」と「音楽」である。内容は関係ないけれど、ごきげん気分で映画と演劇のハシゴに大成功。見ている間も見終えた後もとにかく胸がいっぱいで、ロロが大好きだなあと思った。キャラクターもモチーフもエピソードもひとつ残らず愛おしくって、この世界がもし映画や漫画でも表現されていたら何度も何度も繰り返し観ると思う。でも演劇は上演されている間、その時間しか観ることができなくて、次第に私たちのなかの記憶になっていく。超人でもなければ丸々覚えておくなんてことはできないから、それは印象的な台詞だったりシーンだったり、曲だったりダンスだったり、もっと断片的な、ミラーボールの光だったり、役者の表情だったりが記憶される。観た人すべての中にそれぞれの『BGM』が蓄積されていて、ずっと光り続けるだろうな、と思った。それは記憶を辿る旅のようなものでもある。

f:id:Vanity73:20170924151318j:image9月21日、Kanzan Galleryにて飯岡幸子展「永い風景」を観賞。夜の道路の写真に心を惹かれて見に行った。直感的に好きな写真だ。留めておきたいけれどするりと記憶の隙間から溢れてしまうような、はっきりとした形で記憶しておくのが難しい何気ない風景が切り取られていると感動してしまう。知らない場所のはずなのに、間違いなく私はこの風景を知っている。

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KanzanGalleryでポストカードを見て気になったアートラボアキバでの諸星春那  個展「DEAF HOOD+ そう遠くはない未来~in the near future~」にも立ち寄る。概要も何も知らずにふらりと入ると、コンクリートの壁に子どもや花の写った写真や抽象画のようなものが投射されている。ガシャン、ガシャンとアナログな音を立てて回転するスライドプロジェクターをぼうっと眺めていると、諸星さんが筆談で話しかけてくれた。ループする過去・現在・未来をコンセプトにしていることや、ポストカードにもなっている写真は諸星さんが2歳の頃のものであること、ろう学校や手話のことなどを教えてもらう。パステルなどで色をつけて自分でフィルムを作ることができて、その来場者が作ったもの=未来と捉えて一緒にスライドで投影してテーマを表現していた。ので、私も作って投影してもらって一緒に見た。ポストカードの色味に惹かれたのと、ちょうど通り道に会場があったので立ち寄ってみたら思いがけず面白い出会いがあってなんだかとても嬉しい気分だ。

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淡路町の珈琲ショパンでホットサンドとカフェオレ。思いの外時間がなくてあまりのんびりできなかったのだけれど、薄暗くて静かな店内がとても心地よい。初台まで移動して、新国立劇場小劇場にてケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『ワーニャ伯父さん』を観劇。先に戯曲を読んでおこうと思いつつ途中で頓挫したまま観劇したのだけど、ここ笑うところだったのか!と観てはじめてわかるシーンが多かった。ケラさんのウィットに富んだ演出も効いていたのだろう。2幕でトーンが加速して、再び下降していく物悲しさがいつまでも胸でくすぶる。舞台ではじめて拝見した段田安則、ワーニャ伯父さんの偏屈な台詞を淀みなくつらつらと発話していてあまりの滑舌の良さに魅了された。巧い、と感じさせる隙もないほどに巧い…。あと、アーストロフ(横田栄司)に恋をするソーニャ(黒木華)の姿がまんま私で胸が痛くなった。会話を交わして握手をしただけで「どうしてこんなに胸が弾むのかしら!」と飛び上がったり、たまらず家中の人に自分の気持ちを言って回ったり、舞い上がる一方で冷静に自分の容姿を省みて落胆する姿が痛々しくて可愛らしくてたまらない。わかる、わかるよソーニャ。

f:id:Vanity73:20170924185014j:image先日、目下片想い中の好きな人とお休みの日に会うという大イベントが発生して、その日は1日夢心地の楽しさだった。もちろん2人きりではなくて、とても信頼かつ尊敬している人たちと一緒に過ごせたのもとても嬉しかった。この9月は、数ヶ月前には想像もしなかったことが起こっていて恐ろしくなるくらい楽しい。4月の日記に「一生親しくなれる気がしない」と書いていた人と、ひよっこの話をしたりできるようになるなんて、夢のようだ。年齢も性別も分け隔てなく接してくれる人々とともにいる今が、どれだけ幸せなのか考えても考えても追いつかないくらい。だから、あまり下手なこともできないな、と思います。


愛して愛して愛しちゃったのよ (cover) / 柴田聡子

ひよっこ』に出てくる「愛して愛して愛しちゃったのよ」が聞きたくて検索していたら柴田聡子がカバーしているライブ映像が出てきた。とても良い。オリジナル(和田弘とマヒナスターズ&田代美代子)も好きだけれど、柴田さんが歌うとなんだかグッと私たちのうたという感じがする。そう、愛しちゃったのよ。

恋のうた

恋のうた

劇中でよく流れる♪だって君が好き〜という曲、てっきり歌謡曲かと思っていたらオリジナルの「恋のうた」という曲で歌っているのは太田裕美なんですね。好きすぎて、今の気分にぴったりすぎて、iTunesで購入して繰り返し聴いています。自分の言葉で好きと繰り返すと気持ち悪くなってしまうのに、こんな風に素敵な音楽に託されると途端にハッピーになる。歌詞を書き起こしてみるとちょっと狂気じみちゃうけれど。すき。

すきすきすきすき

すきすてきすき

すきすきときめく 甘い恋のうた

この気持ちがいつまでも続かないことも、憧れにしておくはずだったこの恋が実る可能性が限りなくゼロに近いことも知っている。あと何年か経てば、どうしてこんなに胸を焦がしていたのかもわからなくなるだろうし、好きな人の顔や声の記憶も霞のように薄れてしまうだろう。それでもこの人が好きだった、ということはきっと覚えていると思う。こんなに身近な誰かを好きになったこといままでなかったし、それを友だちに延々と聞いてもらって言葉を貰うのもはじめてのことだし、どうしようもなく楽しい。はたからみれば普通の会話が、私にとってはすべて宝物のような記憶で、なんて幸せだろうと思う。どうしてこんなに切ないのだろうと考えると、この楽しい日々が必ず終わることがわかっているからだ。この日々が続いて欲しい、このまま時間が止まって欲しいという望みは、私の恋心が成就するよりずっと無理なお願いだから。季節はいやおうなしに過ぎるから、少しずつ覚悟を固める。恋の季節を見送る覚悟。 

映画『散歩する侵略者』オリジナル・サウンドトラック

9月28日、池袋シネリーブルにて黒沢清監督『散歩する侵略者』を鑑賞。人の顔を覆う不自然なまでに深い陰を見ると、ああ黒沢清の映画だなあと思う。宇宙人の立花あきら(恒松祐里)が血まみれで道を歩く後ろでトラックが横転するタイトルバックめちゃくちゃ格好良かったなあ。トーンがシリアスだからつい身構えてしまうけれど、宇宙人の佇まいをはじめとして全体的にすっとぼけている空気が面白かった。 

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シアターイーストにて贅沢貧乏『フィクション・シティー』を観劇。贅沢貧乏は前々から気になっていて、チラシやHP、アフタートーク高橋源一郎、岸政彦というセンスを信じて初挑戦。冒頭、階段状のセットをひとつのペットボトルが転がり乾いた音を響かせた瞬間に惹き込まれた。それぞれのシーンの要素が地層のように堆積していき、混沌とした景色が生み出されていく。物語から弾き出された役名を持たない男が「この物語から離脱します!」と声をあげると、非常誘導灯、客電が点灯し、会場を飛び出す。ステージにシアターイーストから池袋の街へ出る景色が投影されるラストシーンがとても印象深い。「フィクションとは私たちにとって何か」という永遠の命題をめぐる作品は、まだプロットのような印象が拭えなかったけれど、このテーマに関してはこれが正解なのだと思う。

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久々に友人とLINEでやりとりをしていて、何ターン目かで別の友人と思い込んでいたことに気付く。2人とも一緒に集まる共通の友人ではあるのだけれど、アイコンも名前もまったく似ていない。会話には何も支障がなかったけれど、疲れているんだなあと思った。今日はアラームが全く聞こえなくて寝坊した。月末はいつも決まって調子が悪いので少し気を付けながら耐える。耐える、というほど辛いわけでもないけれど、身体を強張らせながら波に揺られるような感覚がある。

連続テレビ小説 ひよっこ 完全版 ブルーレイ BOX2 [Blu-ray]

9月30日、『ひよっこ』が最終回を迎えた。奥茨城から乙女寮、すずふり亭と舞台が移り変わるにつれて、このドラマはお喋りがテーマなのだなあと思わされた。家族のこと、友だちのこと、仕事のこと、恋のこと、楽しかったこと、嬉しかったこと、悩み事etc...すべてがお喋りや手紙によって共有されて、離れた場所にいる人と人を繋いでいく。相手のことを知ること、自分のことを話すこと、というコミュニケーションの原始的な部分がとても丁寧に、チャーミングに描かれていて、見ていると誰かとお喋りをしたくなったし、私も彼女たちとお喋りをしているような気分になれてとても楽しかった。人と関わることは素敵なことなのだと、そっと肩を叩いてくれるような優しさ。『あまちゃん』と同じく、主人公が大成する朝ドラの定石からは逸脱したもので、キャラクターたちが今もどこかで生きているという感触の大きいドラマだった。最終週になってふと、「2017年には何歳かあ」という会話が登場してはっとした。『ひよっこ』は終わらないのだ。

VANISHING VANITY

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つい数日前まで夜の7時でも明るかったのに、6時過ぎに電車が地下を抜けて地上に出るともうとっぷりと日が暮れていて季節の巡りの早さに呆然としてしまう。朝晩は肌寒くて長袖を着て出かけたものの、気温に合わせて弱まった冷房や日中の日差しには汗ばんでしまう。何度も経験しているはずなのに、季節の継ぎ目を乗りこなすのはなんと難しいことだろう。

自分の記憶を録画して、何度でも鮮明に再生できるようになればいいのに、とばかみたいなことを考える。楽しかった記憶を反芻していると徐々に輪郭がぼやけて、あれは夢か妄想だったのではないだろうか、と自分を疑ってしまう。反芻しているうちに少し脚色してしまっているのは間違いない。あのときこう会話を展開していればとか、あの流れでこの質問をしていればとか、無数のifで頭がいっぱいだ。ありえたかもしれない過去を想像で補ううちに、現実の記憶が遠のいてゆく。おぼろげになっていく会話の記憶と裏腹に、歩きながら眺めたコンビニの灯りや涼しくなりはじめた夜風ばかりが鮮明に思い出される。きっとこれは本当に本物。

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9月7日、坂元裕二朗読劇のチケットも取りそびれ久しぶりに何の予定も無い休日で昼の12時まで惰眠を貪ってしまった。プレイヤーの不調で借りてきたDVDが再生できず、少しだけ衣替えをはじめたらブラウスとニットが嵩張って途方に暮れて1日が終わり、夜の10時には瞼が重たくなって布団に入る。夜中の2時や4時にぼんやりと目を覚ましては眠りを繰り返すと夜が白みはじめた。次の日が来ている。窓の外が青白くなっていくのを眺めながら、ぐっすりと眠ったはずなのに眠れずに夜を明かしたような気分でまた目を閉じる。眠っても眠っても足りない。身体の調子が悪い、というより少しだけ変だ。喉が痛い。

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目を醒した瞬間から好きな人のことを考えていて自分でも呆れてしまう。好きで好きでたまらない気持ちをただ相手にぶつけることは暴力に等しい。世の中のみなさんは、どうやって恋愛をしているんだろう。まるでわからない。こんな状態でSPANK HAPPYの「I LOVE YOUの逆襲」なんて聞いちゃって、頭おかしくなる。ぐるぐると考え続けるのも限界に近く、友だちに聞いてもらおうかと思っていたタイミングで来月にご飯の誘いが来てとても嬉しくなった。もう少しで『ひよっこ』が終わってしまうのが寂しいけれど、10月には『監獄のお姫さま』が始まるしVIDEOTAPEMUSICのアルバムが出るし友だちに会えるし、やっぱり未来はいつも100パー楽しい。

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結構本気で、好きな人をご飯に誘いたかったのだけれど、やっぱり出来なくてちょっと凹んでしまった。滅多にない絶好のチャンスを逃してしまったこともなかなか大きい。誘うまではいかなくても、好意をほのめかすくらいのことをしたいほどに、私は具体的にその人のことが好きなのだと気付いてしまった。だって私のこと可愛いって言ってたみたいなんだもん。トランポリンのような情緒なのでいちど大きく沈むと跳ね上がり、跳ね上がっては反動でより深く沈み、というのを繰り返している。自分の欲求に振り回されている感じにも参って泣きそうな気分で歩いていたら、帰り道に理想的な色のリップを見つけた。秋に向けて暗い色を探していて、普段はお化粧品ひとつ買うのにもかなり熟考するものの(といっても1000円台のものですが)、これだと思ってレジに向かった。チョコレートブラウンのリップ、似合うかどうかはわからない。


CHAI / ぴーちくぱーちくきゅーちく 〜勘違いオンナっていっぱいおるよね〜 オフィシャルミュージックビデオ

ときめき返納

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寝ぼけ眼でTwitterのタイムラインを眺めていると、通勤に使う地下鉄が遅延しているらしい。私が乗る時間にはもう落ち着いていそうだとは思いつつ、念のためルートを変えることにした。乗り換える駅も路線もいつもと違う。不思議な感じ。たどり着く場所は同じなのに、違う場所へ向かっているような、違うことをしにいくような気分になった。気分転換というのはこういう風にするものなのか。定期圏から外れるのでいつもという訳にはいかないが、たまにはルートを変えてみるのも良いかも知れない。普段と違う駅のホームへ歩きながら、劇団☆新感線『五右衛門VS轟天』に出てくる池田成志演じるヴィジュアル系忍者ばってん不知火の「手段のためなら目的を選ばない男」という台詞を思い出していた。いや、全然違うなこれは。でも良い台詞だな。

殺人出産

殺人出産

 

自殺のニュースを聞くといつも村田沙耶香の『殺人出産』単行本に収録されている短編小説「余命」を思い出す。自死が当たり前になり、死に方やタイミングをすべて自分で選ぶことができる世界の話。とても短い作品でシンプルながらそのインパクトは絶大で、私はこれを読んだとき素直に良いなあと思った。こんな時代が来ればいいのに、と。自分のタイミングで人生や生命を終わらせることができたらどんなに良いだろう。実際に死なないにしても、そうできる、ということが生きるための担保になり得る。その選択は、どんな場合も尊重されるべきだと思う。村田沙耶香は、社会のしがらみから生じる様々な軋轢や抑圧、倫理的には良しとされないが誰もが持つであろう発想や価値観を小説の中で解放させる。極端に合理化された「社会」を通して、美しく逸脱していく様がとても好きです。


悲しみのない世界 (You Ishihara Mix) / 坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura (zelone records official)

 

近頃はSPANK HAPPY以降に菊地成孔が女性とデュエットした曲ばかり繰り返し聴いている。他にもまだまだ知らない曲がありそうだ。完璧なプレイリストを完成させたい。単体でも好きだけれど、女の子の声と重なった瞬間に生まれるあの官能はなんだろうか。胸のあたりがじんわりと圧迫されるような、心地のよい痺れ。ときめき、とはきっとこのことだという感覚を聴くたびに覚える。

けもの「第六感コンピューター」「tO→Kio」「Someone That Loves You」

相対性理論「QHPMAS」

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール「I.C.I.C feat.I.C.I.」

菊地成孔と浜崎容子「泥の世界(Rinbjöカバー)」

音楽を聴いている間は、絵に描いたようなひとめ惚れからずっと片想いをしている男性のことも、行間を読み違え危うく恋愛感情を抱きかけた男の子のことも、すべて忘れてうっとりとする。行間を読み間違えるとただの勘違い案件になってしまうので危ないところだ。かたや片想い、かたや勘違い。菊地成孔曰く、恋をしている人はみな一様に狂っているとのことなので、もう少し狂っていようかな。

祝福

祝福

 

長嶋有の短編集『祝福』を読んだ。人物の視点から主観で話が進んでいるかと思えば、ときに全体を俯瞰したような感覚になるのがいつも不思議だ。極私的のようであり、普遍的のようであり。カルチャーを好む夫婦の、冷めているわけではないけれど適度に保たれた距離感や冷静さを描いた「ファットスプレッド」という短編がお気に入りです。

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8月24日、こまばアゴラ劇場にてFUKAIPRODUCE羽衣『瞬間光年』を観劇。白いふわふわのアンサンブルが澱んだ空気、塩素水、クーラーの風、生ゴミの臭い、想像の鷹となってそれぞれの人物を繋ぐのは面白いなー、と思いつつ、ダンスや演技にそれほど魅力を感じられなかったのが致命的でノリきれず。最後ののたうちまわるような躍動やミニマルな音楽に合わせた動きは、見ていてなぜだかわからないけど「わかる」と思った。

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池袋に移動して西口にあるカフェ・ド・巴里へ。内開きの自動ドアから、エスカレーターへ乗り、ギラギラのシャンデリアに近付いていく高揚感。都会のテーマパークだ。ビーフシチューセットとチョコレートケーキを食べた。セットについてくるバターのたっぷり塗られたパンとシチューにのった生クリームが混ざると背徳的なくらい甘い。要するに太りそうな味がする。

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窓際の席から池袋の街を眺めていると、交番に出前が入っていくところを目撃した。特別な光景でもないのだけれど、お蕎麦と丼ものと思しきものの乗ったお盆を肩に抱えて交番の奥に歩いていく様が、ドラマでよくあるワンシーンを見たようでなんだか得した気分だ。  

abさんご

abさんご

 

黒田夏子abさんご』を読んだ。平仮名が多く固有の名詞が最小限に絞られた文字列を追っていると、なんだかぼんやりとしてくる。しかし、本から離れると先ほどまでいた世界が恋しいような気持ちになり再び文字に目を落としたくなる。ひとつひとつの表現を味わうには体力や集中力を要するし、きっと内容の半分も理解できていないのだけれども妙に惹き寄せられる稀有な読書体験だった。

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東京芸術劇場シアターイーストにて日本総合悲劇協会vol.6『業音』を観劇。観終えて改札まで歩く間、蒸し暑いはずなのに鳥肌が止まらなくて身体が芯から冷えたような心地がした。私が見たものは、聞いたものは一体何か。これが業の音か。舞台セットや衣装、人物の入れ替わりなどどこか浮世離れした設定に、松尾さんの描く世界はここではないどこかのような気がして、気兼ねなく笑ってしまうのだけれど、その次の瞬間に喉元に刃先を突きつけられたような現実感が迫ってくる。それでもどんよりとはせず、思考を続ける力を与えられたように思う。その力強さとは戯曲だけではなく演者たちの姿に由来するものでもあって、演劇でしか出来ないことだと実感する。『業音』は特に女優陣の格好良さが際立つ舞台だった。この物語の中で唯一、自分の確固たる意志で動き高みにいる杏子を演じた伊勢志摩の格好良さったら。発声のひとつひとつに痺れる。

 

「夜は短し歩けよ乙女」 Blu-ray 特装版

8月25日、早稲田松竹にて湯浅政明監督『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』を鑑賞。森見登美彦の原作を読んだのは随分と前だけれど、くどくてインテリで狂騒的な空気に妙に懐かしい気持ちになった。学生だった当時、なんだかとても新しいものに出会ったようで興奮したものだ。さくさくと進んでいくテンポと割と素直にハッピーなのが、今の私の気分にはぴったりだったな。『夜明け告げるルーのうた』はスタンダードだしエモーショナルだしでとても面白く観た。

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電車のBOXシートのような座席が特徴の喫茶ロマンへ。以前訪れたときは変則的にオープン時間が遅れていて入れなかったので念願叶って。いそいそと窓際へ座りました。全貌を楽しむなら壁際を選ぶのもよいなーナポリタンに生卵がのったスパゲッティーロマンとウィンナーコーヒーをいただく。

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高田馬場から新大久保まで歩いて汗だくだったのと、また喫茶店に入るのもなあと思って30分だけカラオケ館に入る。数ヶ月前にも無性にカラオケがしたくなってひとりで来たが、あまり楽しくなくて虚しくなってしまった覚えがあるのにまたやってしまった。ホログラムの壁をバックに無意味に自撮りしてみたり、森田童子「ぼくたちの失敗」を歌ってみたりした。30分1ドリンクで684円というのは喫茶店でコーヒーを一杯飲むのとあまり変わらないが、高いのか安いのか分からない。個室で靴でも脱いでくつろげるのはありがたいな、とも思うけれど。あと、よろけた拍子にサンダルが壊れかけていたことにカラオケに入ってから気が付いて、歩き回るよりもこの選択が間違っていなかったことに少し安心した。

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東京グローブ座にてフキコシ・ソロ・アクト・ライブ『夜』を観劇。吹越満8年ぶりの演芸で私はお初。溢れるアイデアと程よいくだらなさがたまらない。何をやっているのだろうと訝っていると徐々に目的が見えてきて、そのくだらなさにクスクスと笑ってしまう。かと思えば、ふと幻想的な光景が姿をあらわし、深い魅力にはまってゆく。でも着地点はやはり笑い。小林賢太郎Potsunenと同じく、発想とそれを具現化する過程そのものを魅せる面白さがある。具現化するためにどう身体を動かすか、どの道具をどう使うか、何が生まれるか。その逆もしかり、技術や動きをどう表現に昇華するのか。そのスリルは何物にも代え難い。あと、吹越さん好きなので永遠に見ていられる。カーテンコールのロボコップ演芸ではゲラゲラ笑った。

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8月26日、いそいそと帰宅してテレビを点けたら『ゴッドタン』ゴールデンスペシャルが何故か冒頭の5分と最後の30分しか録画できておらず、やり場のない悲しみに包まれる。と、思っていたら佐久間Pが予定はされていないとツイートしていた見逃し配信があり、テレビ東京と佐久間Pへの永遠の忠義を誓った。『キングちゃん』プチ復活の趣もあり、めちゃくちゃ楽しかった。


思い出野郎Aチーム / ダンスに間に合う 【Offcial Music Video】

8月27日、VIDEOTAPEMUSICに間に合うタイムテーブルだったので当日券でカクバリズムの夏祭りへ。この日はミスというかひとりでてんやわんやして要領の悪さを発揮することが重なり、後日に響きそうな小さい気がかりもあり、別のことでも頭がぐちゃぐちゃだったので、これはもうライブしかない!!!という気分。そう、今夜、ダンスに間に合う。18時過ぎに到着し、数十分押していたおかげで頭からスカートを見ることができた。澤部さんはなんかもう全身が格好良い。はじめてみたグッドラックヘイワも格好良かった。ふいに聞こえてくる美しい旋律とテクニカルな演奏に耳が忙しい。VIDEOTAPEMUSICは今年の夏唯一の東京でのライブということで一曲目「世界各国の夜」の出だしから気合いがひしひしと伝わってきたし、むちゃくちゃ最高のライブだった。しかもしかもしかも!10/25 3rdアルバム『ON THE AIR』リリース、11/23モーションブルー横浜・12/27東京キネマ倶楽部ワンマンライブが発表されブチ上がる。今日来て良かった〜〜〜!と心から思った。既にライブで聞いたことのある「密林の悪魔」や「Her Favorite Moments」はフレーズがより複雑になったような印象で進化を遂げていたし、最後に演奏された新曲「Fiction romance」ではVIDEOTAPEMUSICの新たな核と呼ぶにふさわしい映像と字幕が現れて思わず泣きそうになってしまった。これはもうアルバムもワンマンも超やばいことが確定だ。VIDEOTAPEMUSICからの思い出野郎Aチームというのも最高の流れで、高橋さんのしゃがれたボーカルで歌い上げられるとなにもかも大丈夫な気がしてくる。寂しさもそのまま歌う頼もしさ。ライブだと演奏もよりザラザラとした格好良さがある。明日も早いのでユアソンは諦めて、それでも充分な浮かれ気分で実物を見たらカクバリズム15周年アロハが大変可愛くて買いそうになったのだけど、いやいやこれはライブ後のテンションだからだとその場では気を鎮めて帰る。でも欲しくなってきたな。めっちゃ可愛いな。通販されたら買いそうだな。

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8月29日、ゴッドタン録画失敗を筆頭に今週は凹む出来事が続いて散々な気分に陥っていたのですが、それが一瞬でチャラになるほどの嬉しいことがあった。これまでの冴えない諸々は、ここへの助走だった気さえする。大げさでしかないけれど、目下片想い中のひとと楽しくお喋りできた、という、たったそれだけでどうしようもなく心が飛び跳ねてこれまでの世界が輝きはじめてしまう。自分ばかり喋ってしまったな、とか、ちょっと声が大きすぎたかな、とか、全然上手に喋れかったな、とか、はしゃいで変な身振りになってたな、とか、引かれちゃったかな、とか色々あるけど。そんな中でも巧みにフォローして話を運んでくれて、なんて素敵な人なんだろうと改めて思った。私の話に耳を傾けて、応えてくれた時間があったという事実が、私のこの先を照らしてくれると思う。もし私がいま死んで、『ワンダフルライフ』のような世界があるとしたら、間違いなくこの日のことを選ぶ。あと、その好きな人なんですけれど、VIDEOTAPEMUSICとあまちゃんのミズタク(松田龍平)を足して、吹越満菊地成孔のエッセンスを少し加えたルックスと雰囲気で、この人はわたしの作り上げた偶像なのではないか?とたまに思う。

このどうしようもない片想いにぴったりというか、答えをくれるような台詞が以前『ひよっこ』第16週「アイアイ傘とノック」に出てきた。省吾(佐々木蔵之介)に一目惚れした愛子(和久井映見)がこう言うのだ。

わって一瞬で恋に落ちて
そしたら何だか急に元気が出てきました。
はっ、まだ私大丈夫なんだわ
まだまだ乙女なんだわって思ったら
そしたら、頑張れる気がしてしまって。
ありがとうございます
現れていただいて。

いえいえ、いいんですいいんです
恋してることが大事なので結果じゃなくて
だから、失恋させないでください

もう、まさしく。愛子さんの姿を見ながら胸が熱くなった。愛子さんは、乙女寮だけじゃなく、日本中の女の子のお姉さんだ。これ以外にも『ひよっこ』で描かれることと自分の状況が、表層や細部は違えど共鳴することが何度かあって、きっとそんな人が沢山いるんだろうなと思う。ひよっこの登場人物のこと全員大好きなので中だるみいいじゃないか!と毎日楽しく観ています。物語の中に自身を見出したときの、あの、掬い上げられたような気持ち。


Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here

8月31日、朝から降っていた雨が上がると冷たい風が吹いた。夏休み最終日、夏の終わりに相応しい淋しげな天候。涼しいのだけれども、コンビニまで自転車を走らせたら汗だくになってしまってやっぱり痩せなきゃ、と思うのだった。寒くなって脂肪を蓄える時期が来るというのに。もうすぐ秋色のチェックを着たりふわふわのマフラーが巻けると思うと嬉しくなっちゃうな。夕方に帰省していた母を迎えに車で空港へ。雨が降ったあと、とても空気が澄んでいて東京中の灯りがいつもよりキラキラと輝いてみえる。窓の明かりやビルの輪郭がくっきりとしている。遠くまで明瞭に見えて、鉄橋を渡る電車がすれ違う。お台場と葛西の観覧車が回っている。すべての景色が高画質の映像のように車窓を流れる。あっという間に流れていく。

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向かいのホームの電気が消えて

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お盆休みに突入したのを機に、NetflixTSUTAYA DISCASを導入した。未知の映画を求めて検索していた筈が、気付くと観たことのあるお気に入りの映画ばかりマイリストに入れているのは私だけでしょうか。『人のセックスを笑うな』とか『横道世之介』とか『愛の新世界』とかあると観たくなっちゃう。これで『水曜どうでしょう』のシリーズが揃ったらいよいよどうなってしまうのか。そんな誘惑に打ち勝ち観た作品。

【早期購入特典あり】LOVE(劇場版B2ポスター付き) [Blu-ray]

ギャスパー・ノエ監督『LOVE』。慈愛のこもった行為と欲望による行為が異なる描かれ方をしつつ、その境界がスレスレのところで融けあいそうになるスリルがある。愛のある/ないセックスとよく言うけれど、愛が性へと導くのか、性が愛を生むのか(ときに人の形を伴って)、愛とは性とはと延々考える羽目になった。胸を締めつける愛おしき気持ちと、身体の芯をジンとうずかせる劣情は、限りなく近い場所で私たちを狂わせる。ときに手を組み、ときに対岸に立ち。不可分だからややこしいのだ。明滅、ハートマークを模したキスシーン、ラストシーンで流れるエリック・サティ『グノシエンヌ第1番』など、べったりと脳裏に焼きつく映像も後を引く。見所のひとつであろう精液のシーンは確かに3Dで観てみたい。ときに、私は安部公房が『砂の女』で用いた〈白子の打ち上げ花火〉という表現が大層お気に入りなのですが、きっと映像になるとこんな風なのでしょう。打ち上がり、残滓が火花を散らして下降する。下から見るか?横から見るか?冗談はさておき、カップルの親密さの生々しい写し取り方は毛色はまったく違えど井口奈己監督『人のセックスを笑うな』と通ずる凄まじさがある。『LOVE』のテーマもまさに「人のセックスを笑うな」ということなのでは?という気付き。ちょっと違うか。あと、息子の名前がギャスパーでエレクトラの元カレがノエっていうのは何かあるのだろうか。

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宮藤官九郎脚本『コワイ童話 親ゆび姫』。若かりし栗山千明高橋一生矢沢心皆川猿時だけでお腹いっぱいになるな。高橋一生に想いを寄せるあまりに薬で彼を小さくして思い通りにしようとどんどんサイコと化す栗山千明のお話。めちゃめちゃ面白い訳ではないけれど、後半に出てくる自ら望んで小さくなったおじさんたちに宮藤官九郎を感じた。それから、相手への想いが空回って斜め上に飛んでいってしまう感じも昨今の作品と通づるものがある。『我輩は主婦である』でもそっくりな格好をさせられていましたが、昔の高橋一生は笑うとニヤケているときの宮藤官九郎に本当に似ている。

正しい相対性理論

正しい相対性理論

 

なぜか近くの市立図書館に所蔵されているのを見つけ借りてきた『正しい相対性理論』を聴いた。菊地成孔SPANK HAPPY名義で参加しているのにずっと聞かず仕舞いでいたのだった。わたしは菊地成孔のボーカルが大好きなので無条件に愛でてしまう。高校生のころによく聴いていたので、少しの懐かしさも手伝ってかとても面白いアルバムに聴こえる。

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8月15日から両親と祖母と2泊3日の小旅行。那須に宿泊して周辺を見て回る、旅行と呼ぶには張りのないお出かけだ。車移動なので本を数冊と『ストレンジャー・シングス』『ラブ』をダウンロードして準備万端。

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餃子を食べに宇都宮へ立ち寄る。当然みんみんをはじめとした有名店は軒並み行列なので、その近くで唯一空いていたお店に入る。予想通りのシケた昼食と思いつつ店を見渡すと、いたるところにE.YAZAWAの文字。カウンターにE.YAZAWA。お手洗いの扉も電源カバーもE.YAZAWA。なのに店内BGMは中島みゆき。テレビも点いていて音が混ざり合っている。静かなる混沌。思いがけずテンションがあがる。餃子も美味しくいただいた。

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商店街の店先のベンチに祖母と座っていたら、通りすがりの小柄で妙齢の女性がコップに浸けてある植物を見て「これ水に浸けておくだけで沢山根が伸びるのよね。こんなに大きくなる。」と話しかけてきた。「へえ〜そうなんですね」と相槌を打ち、隣に腰をかけるだろうかとうかがっているとそのまま歩き去っていった。まぼろしだったかもしれない。

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宇都宮は、駅前に商業施設、商店街、脇道に飲み屋と風俗店がぎゅっと揃う地方都市ならではの風景でとても見所が多かった。古い建物も沢山残っていて良い街だ。商店街を脇に入るとPaul Smithがあったり、古い時計屋の上にAngelic Prettyがあったり、アニメ系のお店が固まっていたり、色々な文化が混在していて面白い。

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那須高原の宿泊地は電波も弱く特に観たいテレビ番組もないので、読書とNetflix鑑賞にはもってこいの環境だった。家にいるよりも集中できるような気がして、こういう風に読書や映画鑑賞のためにのんびりと外泊するのもよいかもしれない。『旅猿』でたまにやっている海外ドラマ夜通し耐久旅行みたいなね。友だちとお勧めのドラマや映画を持ち寄って観るのも楽しそうだ。しかし、森に囲まれた環境で観るには『ストレンジャー・シングス』はマッチしすぎて怖くなりそうだったのでやめておいた。ビビりな上に直ぐに影響されるので、サメの映画を見るとお風呂やプールが未だにこわくなる。その上いつもと環境が変わると上手に寝付けないので、イヤホンでナイツの漫才を聞きながら眠った。 旅行中は本を2冊読んだ。車でも宿でも直ぐに眠たくなってしまって、思ったよりも進まなかったな。

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

 

窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』。家族にまつわる短編集。日々の暮らしのなかで、自分の中にだけ留めている後ろ暗い感情が淡々と炙りだされる。閉塞感、見栄、嫉妬、差別感情…想起することとそれを口に出すことの間には大きな大きな川が流れているとはいえ、それを抱え続けるにも限度がある。そういったものをぶつけてもいいのではないか、受け入れてくれるのではないかと思ってしまう関係性が夫婦や親子というもので、だから一緒にいるのか、だから離れてしまうのかわからないけれど。それと同じくらい家族だから受け入れられないこともあって。それでも私たちは関わりあうことを諦めない。そういう繊細で複雑な機微がとてもシンプルに描かれていて、色々なことを考える余白があるのも良い。

週末カミング (角川文庫)

週末カミング (角川文庫)

 

柴崎友香『週末カミング』。何かが起こったような、何も起こっていないような週末に関する短編集。気候や体調などの描写と、それに伴う感覚の描き方が巧みでするすると引き込まれていく。街の風景などの外的要因と感情の描き方の距離感がとても心地がいい。押し付けがましさがなくて、主人公たちはいつも外縁から世界を眺めているような人が多い印象を受ける。「地上のパーティー」での一節が象徴的だ。

おれは、この世界で生きてる、と思った。いろんな人が勝手にいろんなことをやって、地球は勝手に回転して夜が来て、今日が終わっていく。この世界に、そのばらばらのものたちと同時に存在している。

雲の上から見たら、地上の全体がパーティー会場みたいに見えるかもしれない。一つの場所に集まってるけど、みんなてんでに勝手なことを考えてる。おれもその中の、一つの点だ。なんかおもしろかった。

柴崎友香の小説の温度感と距離感がいつも好きだ。あと、「ここからは遠い場所」の河野さんは頭の中で会話を想像する癖があって、私もよくやるのでシンパシー。

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2日目は母の希望で福島県会津へ。昼食に名物らしいソースカツ丼を食べた。福島といえば、もてスリムによるロロ『BGM』フィールドワークレポートにも登場する。

水を飲んでカツ丼を待っている間、ふと気付いたことがあった。「もしや、三浦さんが頼んだ煮込みカツ丼とは、ただのカツ丼なのではないか……?」。口に出すかどうか迷っているうちにそれぞれのカツ丼が到着する。三浦さんの目の前に置かれたのは、やはりただのカツ丼だった。「やっちまったー……」「煮込みカツ丼ていうから、なんか味噌煮込み的なのをイメージしてた」「でも、考えてみたらいわゆるカツ丼って煮込みカツ丼のことですよね」。ソースカツ丼で知られる店を訪れて普通のカツ丼を食べる三浦直之。端から見ると「通」っぽいセレクトに見えるが、三浦さんの表情は暗い。

このくだりがすごく好きです。愛おしすぎる。『BGM』への期待も日に日に高まっています。

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昭和なつかし館に立ち寄る。1階が雑貨屋、2階が昭和の街並みを再現したスペースで、こういうスポットはどこにでもあるといえばあるのだけど、否応なしに吸い寄せられてしまう。東京タワーとはとバスのパンフレット、板橋ヘルスセンターのポストカードセットを購入しました。良い買い物をした。高度経済成長期に華やいだ東京の街や文化に情景を抱きながらも、現在オリンピックを目前に変わりゆく東京を歓迎する気分にはなれない。時代や情況が違うのは当然なのだけど、もしもわたしが過去に生まれたとして当時の変化に魅力は感じただろうか。まあ、そんな理屈を抜きにして当時のデザインにときめく気持ちは変わらないのだけれど。

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旅の間は満腹中枢と金銭感覚が完全に馬鹿になるので、猪苗代で馬鹿などら焼き350円を買って車で食べた。ご覧の通りのあんこの味がしました。

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最終日は私のリクエストで東武ワールドスクエアへ。小雨が降っていたし入場料も決して安くはないので止めようかともなったのだけれど、折角ここまで来たからと入場。東京駅や羽田空港、新緑川駅など近現代のミニチュアにひとり興奮している一方で、両親や祖母はお城や宮殿などの世界遺産をなかなか楽しめたようで安心した。もっとテーマパーク的なものを想像していたのだけど、ひたすらにミニチュアでストイックさすら感じた。スカイツリーの周辺でも車の車種がすこし古くて、製作者の趣味を感じ取ることができたのもよい。

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こちらも私のリクエストで、メヒコ フラミンゴ館つくば店で夕食。前日に郡山店を通りがかったのだけれども夕飯には時間が早く悔しかったので、うれしさ倍増。書き割りのようなエキゾチズム。たまらない。一生分、じっくりとフラミンゴを見た。見れば見るほど不思議な足だ。羽を広げると筋肉のような赤い羽根が見え隠れして一瞬ギョッとしてしまう。興奮して同じような写真を何枚も撮ってしまった。

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8月18日、三鷹市芸術文化センター 星のホールにてままごと『わたしの星』を観劇。スピカを探すシーンで涙がこぼれ、そこからは感動でずっとぷるぷる震えていた。出演者自身の演奏にのせてそれぞれのシーンが交差しループしながら進んでいく完成度と運動そのものの美しさに胸を打たれてしまう。最後にスピカが全員に転校を告げるシーンはおそらく彼らの中には存在しなかった時間なのだけれども、いままさに私たちの前で演じられてそのシーンが確かに存在しているという、演劇の儚さと力強さを目の当たりにした。うまく言葉にできない。照明演出も美しかったし、ミュージカルの練習シーンも素晴らしかった。キャスト全員が本当に魅力的で、中でも私はタイちゃんが可愛くて仕方なかった。タイちゃんがバランスボールを手にヒビラナに告げる台詞のなんと力強いことか。新鮮な驚きのある内容ではないけれど、台詞やダンス、動きのひとつひとつがとにかく瑞々しい。

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中央線沿線にくると目的地だけではなんだか勿体無い気がするので、三鷹から隣駅の武蔵境まで歩いて武蔵野プレイスへ立ち寄った。建物全体がなめらかな曲線で構成されていてわくわくする。近くにこんな図書館があったら毎日通ってしまうな。その後、国立へはじめて降り立つ。広々とした大学通りと建物がぎゅっと詰まった駅前の通りがよいコントラストだ。

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ロージナ茶房でビーフストロガノフとアイスコーヒーを召す。今日の大学通りには夏の日差しも学生たちの笑い声もなかったけれどSummer Soul。


cero / Summer Soul【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

  

わが星「OUR PLANET [DVD]

わが星「OUR PLANET [DVD]

 

『わたしの星』観劇後に購入した『わが星』のDVDを観た。名作としてとにかく名前を聞くのに未見だったのだ。口ロロ「00:00:00」はずっと聞いている曲なのでとても耳馴染みが良い。口語とラップがシンクロしていく様や、回るという運動とループにぐんぐん巻き込まれていくような心地良さ。作品の中で言葉が完成されているので、なかなか感想を綴るのは難しいけれどこの先何度も見返したくなるだろうと思う。

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夕方ごろ、大きな音で雷がなって雨が降り出した。東京には雹が降ったらしい。「轟く」とはこういうことだと言わんばかりに轟く雷鳴。いかにも夏の終わりのような雨だ、と思ったところで、いつも夏ばかり始まりと終わりを意識していることに気付く。私が他の季節の変わり目に鈍感なのか、夏に伴うイメージに憧憬を抱きすぎているのか定かではないけれど、そんなことはないかしら。夏の終わりというタイトルやテーマって多くないかしら。夏はいつもいつも惜しまれている。惜しまれるために待たれ、去るために訪れるようだ。お盆休みの最終日は髪を切ってマニキュアを落とした。

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宮藤官九郎脚本『悪いオンナ 占っちゃうぞ』を観た。メンヘラ気質の美少女という点でも『親ゆび姫』とテイストが似ていて、演出や主題歌にIWGPあたりの懐かしさを感じる。これもめちゃめちゃ面白いわけではないのだけれど、高田聖子が魅力的で見ていられる。あと若かりし河原雅彦宮藤官九郎がめちゃ可愛い。クドカンとまちゃぴこですね。

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8月20日18時44分、胸のあたりがどんよりと重たく気分が沈む。周期的なもので少し経てば回復することはわかりつつもそれなりにきつい。こうなる度に、私の好きなもの(演劇、テレビ、ドラマ、音楽、ラジオ、本、お洋服)をひとつひとつ確認して心の中で言い聞かせるのだけど、結局私は何も好きじゃないのではないかという結論に至ってしまう。幾度となく救われた。でも、愛すべきポップカルチャーを、たかが私の慰みものにはしたくない。それでも、私が愛しているのはつまるところ私だけ、という醜い事実がどこまでも着いてくる。そして、私を愛するのは私だけ。ああ、でも、愛しているよ。来週は『ゴッドタン』ゴールデンスペシャルだ。

 


あだち麗三郎 - フラミンゴの翔ぶところ