ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

光合成

f:id:Vanity73:20230226170746j:imageケーキ屋さんには怒られてしまいそうだけど、時間の経ったシュークリームが好きだ。買ってきてすぐに半分食べて、残りは翌朝にとっておく。時間が経ってぽってりと固まったカスタードクリームと、すこし乾いたシュー、クリームがしみてじゅわっとした断面。できたてのサクサクしたシューも、フレッシュなカスタードももちろん美味しいのだけど、すこし野暮ったくなった味わいも愛おしい。

f:id:Vanity73:20230226170750j:imageそれでいまシュークリームにはまっていて、近所のケーキ屋さんで毎週のように買い求めている。生ケーキよりもお手頃で、シューの形や焼き加減にお店の個性がはっきりと出ているのも面白い。この街に越してきたときから感じてはいたが、行動範囲内に美味しいケーキ屋さんがありすぎる。いままで気になりつつ、カロリー摂取を気にして行っていなかったけれど、積極的に行くようになった。

f:id:Vanity73:20230226170753j:imageいちどにぜんぶ食べてしまうと罪悪感に苛まれるのもあって、半分残して次の日に持ち越す悪癖があるのだけど、シュークリーム以外のケーキも実は翌日でも美味しいと感じている。ショートケーキの少し固くなった生クリーム、口に入れた瞬間に感じる分離した脂肪分、白い生クリームに滲み出たいちごの赤い果汁、乾いたスポンジ、湿ったタルト生地。それを朝に本を読みながら少しずつつつく。お行儀が良くないので人には見せられないが、ひとりの楽しみ。

 

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私の体力や気力は太陽光で賄われているのではないかと思うほど、天候に調子が左右される。曇りの日が続くと目に見えて動きが鈍くなるので、私にはソーラーパネルが搭載されているのだと思うようにしている。エネルギーがなければ稼働しないのだから仕方ない。

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気温が低くとても寒い日、職場でブラインドを開けるために窓辺へ行くと、陽射しが当たってとても暖かかった。そのときふと、「ひだまり」ってとてもいい言葉だなと思った。私の中では幼稚園や老人ホームなどの名前に使われる印象が強く、ほのぼのとした色合いとフォントの野暮ったいイメージがつきまとうことばだったが、陽射しが溜まって暖を生む、なんと素晴らしい言葉と現象だろう。自分が死ぬときは、天気のいい日がいいなと思った。いつどこで死ぬのかわからないけれど、ぽかぽかとした陽気に包まれて死ねたなら、きっと思い残すこともないだろう。

 

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去年の夏頃からずっとパーマをかけていて、森山未來みたいに無造作に結ぶスタイルに憧れて伸ばしていたけれど、耳の下まできたところで飽きて、耳の上でばっつり切り揃えた。顔の周りがすっきりして顎や首のラインが目立つようになると、自分のことを「細い」とすこし思えて、依然として減らない体重も多少は許容できる。美容室に行くたびに髪型が変わるのは、自分の見た目に飽きてしまうからで、こういうところで生活に新鮮さを求めている。男性になりたいと思ったことはないけれど、松田龍平のようなルックスに憧れていて、髭を生やしてみたい。この髪型と眼鏡なら、髭があったほうが決まるなあと、アクセサリーのような感覚で欲しいと思う。

 

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こういうどうでもいい、誰かに話すまでもないことばかりが頭をぐるぐる回っていて、こういうときにこうして書けたり、誰かのひとりごとを読めるインターネットがあってよかったと思う。こういうことを話せる相手が欲しいと思っていたこともあったけれど、特定の誰かに話を聞いて欲しい、自分のことを知って欲しいという欲求は、自分にとって毒であることを悟り、いまはできるだけ長く、ひとりごとを話していたい。