ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

わたくしごと

f:id:Vanity73:20220917072905j:image陽の傾きや高さが関係しているのか、気象に詳しくないので原理はわからないが、この季節の、この時間にしか射さない光というものが確かにある。朝の7時に高速道路の入り組んだジャンクションの隙間から高架に当たる四角い光、15時過ぎに職場のデスクにかかるブラインドの影、どれも数日前には無かったはずのもので、こういうときに季節の移り変わりを感じる。特に夏から秋にかけては、白飛びするほどの陽射しから、徐々に穏やかな暖色へ変化するように感じられる。これはあくまでも自分の印象で、原理がわかれば見えている現象の解像度が上がるのだろうかと思いながら、特に調べることはせずに毎日が過ぎていく。

f:id:Vanity73:20220917074547j:image9月に入る少し前から、日の出の時間は4時半から5時にスライドして、18時にはもうすっかり暗くなっている。朝晩は風が澄んで、夏の寝具では明け方に肌寒さを感じる。まだ人の気配のない外へごみを出しに出て、少しずつ空が濃い灰色から紺色、水色あるいは灰色、ときたま赤色に変わっていくのを見ているときが、すべてのことから解放されたようで、生きている心地とはこのことかと思う。この朝の数分間が1日のすべてで、あとの仕事や生活はおまけだと、半ば本気で思えるくらい、私は呑気。誰のことも、何のことも思い出さず、ただそこにいる、というのがいちばんの贅沢であり、せめてもの反抗のように。

f:id:Vanity73:20220917074524j:image職場の近くの無人販売所に無花果が並び始めて、スーパーで買うと4個で500円くらいするものが、形は歪でも3個で100円なので沢山買えて、この2週間で計20個は食べている。無花果はジャムやドライフルーツも美味しいけれど、やはり生を食べると、あの掴みどころのない瑞々しさや舌触りが特別だと思う。時期も短いのでここぞとばかりに食べる。数年前は高級品として現れたシャインマスカットも、今では一房500円でスーパーに並ぶこともあり身近になった。こう書いていて、自分の中でスーパーで手を出せる果物の基準が500円であることに気が付いた。いま冷蔵庫には無花果、シャインマスカット、巨峰、デラウェア、りんご、梨がある。数日前は桃もあったが、もうこちらは時期を過ぎた。朝食は果物中心なので必需品であり、贅沢品でもあるので、色々な種類の果物でお腹をいっぱいにできるのは幸せな季節だ。年齢を重ねて食わず嫌いも減ってきたが、秋の代表ともいえる柿とはまだ和解できていない。あと5年くらいすると、わかるような気がしている。