ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

愛の作法

わたくしの二十世紀

2018年の1月は坂元裕二の新しいドラマ『anone』がはじまって、菊地成孔SPANK HAPPYの再結成を宣言し、東京に大雪が降った。私は好きな人と2回出かけて、映画と美術館へ一緒に行った。2月にも約束してあって、いつか遠出もしたいねと話している。用心深い私もさすがにこれはひょっとしたらひょっとする展開と思う反面で、このくらいは異性の友だちとしても普通という価値観なのかも知れないし、と予防線を張って切なくなったりしている。色々と話をしていると、年齢や性別に分け隔てなく人と関わることが好きでとても大切にしていることがわかる。そこがとても好きだし尊敬しているけれど、もしかしたら私に対する態度も恋愛でもなんでもなく特別なものではないのかも知れないなとふと思ってしまう。だとしても、私は好きなのである。あなたのことどれだけ好きだと思ってんの?と喧嘩腰になるくらいの気概で来たるバレンタインデーへ向けてチョコレートを物色をする毎日だ。

f:id:Vanity73:20180202203346j:image1月に観たものや行ったところについて少しずつ書き溜めてはいたけれど気付いたら2月になってしまって、毎度のごとく公開するまでもない文章が集積している。舞台はシディ・ラルビ・シェルカウイ演出『PLUTO』、エレ片『新コントの人』、福原充則演出『秘密の花園』、ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』、玉田企画『あの日々の話』を観た。こうして並べてみると幅の広い表現に触れたひと月だったなあ。どれも面白かった。ロロはなんだかもうきらきらのぴかぴかで最強だ。無敵だ。大好きだ。玉田企画も面白すぎて、玉田真也の天才ぶりにため息が出る。役者としても力があって、宮藤官九郎とか岩井秀人とかそういうレベルにあっという間に達してしまうだろうな。7月の公演にはロロの島田桃子さんが出るそうなのでとても楽しみだ。

『anone』は現在4話まで進んでいますが、ストーリーもぐんぐんと面白く、かつ叙情的で世間や社会では零れ落ちてしまいそうなものを丁寧に掬い上げていて、なんだかもう凄い。広瀬すずもずっと最高だ。3話での西海(川瀬陽太)が迷い込んだフェレットを帰しに行って芽キャベツを貰ってくるなんていうくだり、どうやったら書けるんだ。4話でのるい子(小林聡美)の生まれなかった娘のイマジナリーフレンド(と書いてしまうと大切なものが零れ落ちてしまう気がして躊躇われるほど、繊細で素晴らしかった)にはロロの三浦さんとの共鳴を感じた。野木亜紀子オリジナル脚本の『アンナチュラル』も楽しく観ている。うっかり2話を見逃してしまったのが痛い。3話の井浦新、こんな新が見たかったのだ!という感じで、役者の魅力を最大限に引き出していて嬉しくなる。


McRinna「I♡U∞」

luteのInstagramストーリーで24時間だけ見ることができる三浦直之脚本、松本壮史監督のミニドラマ『それでも告白するみどりちゃん』が面白い。みどりちゃん(りりか)がダンス、念力etc…あの手この手で谷口くん(中島広稀)に告白するという三浦さんのエッセンスが濃縮されたドラマ。AIのりんなの力を借りて告白する3話「濃厚!知恵しぼり大作戦」の

みどり:私の愛は、そんなググって出てくる言葉じゃダメなの

りんな:うん、わかった

検索しても見つからない愛を私が見つけ出してあげる

をはじめ、キラーワード満載。『デリバリーお姉さんNEO』が見返したくなるけれどGyaoでの無料配信はもう終わってしまっているのかー。私も好きな人のことが好きすぎてみどりちゃんの言ってることにぶんぶん首を縦に振ってる感じなので、誰かを好きになることや愛を伝えることを肯定してくれる三浦さんのことを心の中で味方のように思っている。

f:id:Vanity73:20180202195815j:image2月1日、神田の近江屋洋菓子店へ。白い苺やマスカットなど大ぶりの果物たちにも目を奪われつつ、はじめて訪れたのでここは定番の苺サンドショートを。ケーキもドリンクバーのフレッシュジュースや野菜スープも見た目通りの美味しさで落ち着く。少し高めのカウンター席、天井と同じコントラストのブルーと白の制服、薄くながれるABBAのダンシングクイーン…夢のような空間だ。空間が広いからかお喋りがこだましていても気にならないのが心地いい。

池袋へ移動してシネリーブルで大九明子監督『勝手にふるえてろ』を観賞。噂に違わぬ傑作。沢山の人が思うことだろうけど、御多分に洩れずヨシカ(松岡茉優)はあまりにも私だ。私はヨシカだ。私も視野見(しやみ:視界の端で好きな人を見ること)、できるもの。私ごときが…と卑下しながらも自分のことしか見えていない感じとか、自分がイチ(北村匠海)に何かをもたらした記憶にうっとりとすがってしまうところとか、わかりすぎて泣いてしまう。人と関わるの大変だよね、でも喋りたいよね、できないけど、でも、誰かに名前を呼んでほしいよね。あと写真でLINEを交換する手口、ちょっと似たようなことをやったことがあるので死ぬかと思った。わかる、という同意や共感ばかりが口をついて出てしまうけれど、それだけじゃないパワーがこの映画にはあって、なかなかうまく言葉にできない。そして松岡茉優の筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。『問題のあるレストラン』6話で二階堂ふみ高畑充希と公園のベンチに座りながら、ふたりを眺めて「生きててよかったな。生きような。」と呟くシーンが私の中で最高の松岡茉優だったのですが、あの良さが2時間ずっと続く感じ。

パビリオン山椒魚 オリジナル・サウンドトラック

Netflix冨永昌敬監督『パビリオン山椒魚』を観た。昔観たときは訳のわからない映画という印象だったけれど結構面白いぞと見進めると、最終的にやっぱり訳がわからなくて良かった。いかにも意味がありそうでまったく意味がないのが最高。わからないでいいということがわかるようになった。オダギリジョー香椎由宇のラブシーンで、レントゲン車がシャボン玉で満たされるのがとても美しくて好きだ。なぜいまパビリオン山椒魚を観たかというと、3月公開の冨永昌敬の最新作『素敵なダイナマイトスキャンダル』が無性に楽しみなのである。菊地成孔と小田朋美が手がける音楽と主題歌「山の音」(尾野真千子末井昭のデュエット)も、予告編で聞く限り最高の予感。次のSPANK HAPPY尾野真千子末井昭なのかも知れない。


映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』予告編

2月2日、久しぶりになんの予定もない休日で昨晩からはらはらと小雪が舞っていたのもあって、夕方に散髪に出かけた他は家でぐだぐだと過ごした。ラジオを聞きながら部屋を少し片付けて、もういらないものを整頓しようかと思ったのだけれどものが多すぎて途方に暮れた。本棚も整理しようとして、本をあちらからこちらへ移動するだけで終わってしまった。大きめの棚を買って本やCDを一箇所にまとめたいと前々から思ってはいるけれど実現しない気がする。そういえばこの前、好きな人と家や部屋の話になって、衣食住の話なんて数ヶ月前には想像も出来なかったことだからとても嬉しくなった。どんな話も嬉しいのだけれど、触れられる領域が広がっていくようで。昨年末から2週に1回のペースで出かけていて、恋が留まるところを知らないのですが、思い上がるにはまだ早いぞと自分を鎮め、来たるべきときが来たならば、どんな風にこれまでとこれからの気持ちを伝えようかと考えている。

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