ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

健やかな強迫

最近、なんとなく目にする星占いの結果がことごとく悪い。池袋で信号を待っているときに眺めていたパルコの大型ヴィジョンの星占いは最下位で、「みんなが応援してくれるとき。頑張って走り抜けて。」という文言に励まされたりしている。うだつのあがらない現状を、こういうものに託せることに救われる。新しい職場に行きはじめて1ヶ月が経った。最初のうちはナメられちゃいけないと積極的に仕事を教えてもらおうとしていたが、必要であれば向こうから声がかかることがわかり、人によってはまったく手応えのない返事が返ってくることもしばしばなので開き直ってサボっている。出来ることもわかることも少なく、忙しなく働く人たちの中でぽけーっと立っていることへの申し訳無さは次第に薄れていって、みなさん大変ですねえとのんびり過ごすことにした。唯一のメリットはやたらと休みが多いことなのだが、時間があるのだから何かしなければというプレッシャーで休みのたびに虚無感に包まれてしまう。読書にも集中できず、映像を観る気分にもなれず、本当に無為な時間を過ごしている。モラトリアム、という言葉を学生時代ぶりに思った。何もする気になれない。部屋は散らかったまま、睡眠時間が日に日に増えている。まあ、別にいいか。猫だっていちにち寝ているのだし。

f:id:Vanity73:20180713125829j:image集中力が散漫なときは短歌がいい。1ヶ月辛かったね、と自分に穂村弘の『水中翼船炎上中』を買ってあげた。こういう風に理由をつけないと2400円の本を買うのにも躊躇してしまう自分の貧しさ。実家暮らしで貯金もしているのに、なんだか貧しい。心が。そういうときに穂村さんのどこか虚しく、それでも何かを諦めきれないような言葉がとてもいい。

水中翼船炎上中

水中翼船炎上中

 

何もせず過ぎてしまったいちにちのおわりににぎっている膝の皿

<出発>

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

 

ずっと気になっていた木下龍也と岡野大嗣の『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』も読んだ。男子高校生ふたりの7月頭の7日間を詠んだ歌集なので、今の時期にぴったりだ。2,30代の歌人ふたりが高校生になりかわっているというのがもうすでに青春というか、10代だったころの痛がゆさを俯瞰しつつ、まだその頃の実感が残っているような手触りもある。

ねむってるあいだのぼくを借りていた天使がぼくを返し忘れる

(木下龍也)

 

SPANK HAPPY (official)さん(@spank_happy)がシェアした投稿 -

現在、私の生活を潤してくれているのは間違いなくSPANK HAPPY。ワンマンライブのチケットは取れなかったので菊地成孔のブロマガを購読してGREATHOLIDAYでのライブ映像を毎日見ている。声明文もインタビューもInstagramもこれでもかという充実ぶりで、毎日最高大好き。菊地さんが小田さんの才能に触発されるようにして生き生きと楽しそうだし、小田さんの可愛らしさも日に日に発揮されていてまんまとやられている。ODにパンを与えるBOSSの表情よ!白いシャツのペアルックは双子のようで、バンドTシャツのときは師弟のようで、なんて複雑かつシンプルな関係性を提示してくれるのだ。今年の夏はSPANK HAPPYがいればそれでいい、というくらい好きです。

f:id:Vanity73:20180713125759j:image中学生か高校生の頃からか、耳をいじる癖がある。耳全体を縦に折り畳んだり、耳たぶを内側に丸めてみたり、いちど触り始めるとなかなか止められない。授業中や眠れない夜に気付くと触っていることが多かった。ここ数年はしばらく止んでいたその癖が最近また出ている。仕事中や電車に乗っているときにふと耳を触っていて、そういえば昔よくやっていたことを思い出した。単純に心地よくてつい触ってしまうのだけれど、そういう癖はきっとストレスか何かだろうと踏んで検索してみると、案の定ストレスや不安の現れらしい。むしろストレス由来ではない手グセや悪夢は無いような気もするが。それから、寂しい、甘えたいという気持ちの現れでもあるようで、それはまあ、いつだってそうですよね、と思う。人と話しているときは触らないようにしているけれど、コミュニケーションにストレスを感じていると触ってしまうらしい。今の職場にうつってから、学生時代に感じていた居心地の悪さがよみがえっているようだ。体育の時間にボールを遠くへ外したときの、大縄跳びに入れないときの、ペアを組めといわれたときの、グループワークで的はずれな発言をしたときの。いつも何か間違えているような気がする。