ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

逃避生活紀行

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銀座のメゾンエルメスフォーラムへ『シャルロット・デュマ展 ベアゾール(結石)』を見に行く。馬の体内に出来た結石の実物はつるつるとした表面が神秘的で見入ってしまった。自然の中でたなびく馬のたてがみと呼応するようなkittaのインスタレーションも美しい。

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休みの日にまとめて作り置きを作って冷凍したものを、仕事の日に詰めてお弁当にしている。だんだんコツを掴んできて、ゆで卵があればスペースも埋まるしたんぱく質も摂れて安心。何も思い付かないときはとりあえずサラダチキン。先週は鮭をムニエル、マスタード焼き、ホイル蒸しの3種で調理してあったのだけど少し飽きたので、最後に残ったホイル蒸しを刻んでゆで卵とマヨネーズで和えてサンドイッチにしたら美味しかった。こういうアレンジが上手くいくと、ちゃんと楽しく生活をできている感じがして嬉しい。自分のために綺麗に盛り付けることで守られる何かがあるような気がしている。食事は繰り返す小さな祈り。

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原美術館へ『光-呼吸 時をすくう5人』を見に行く。佐藤雅晴「東京尾行」、自動演奏のピアノからドビュッシーの「月の光」が流れる中で、マンションのベランダで揺れる洗濯物や工事現場のフォークリフト、公園のブランコ、街中やお店に飾られた花瓶を眺めていると、街のすべてが人の営みなのだという実感が溢れてきて胸がいっぱいになってしまった。映像の中の一部が精巧なアニメーションで再現されることで、そこに「人の手によって動かされているもの」という感触が伴う。同じフロアに展示されていた城戸保の写真も、日常に中ではっきりとは認識されないようなシーンが切り取られていてとても好きだった。

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ふと思い立って東京タワーに登った。ビルの灯りや車のテールランプを眺めていると気が遠くなってきて、仕事のこととか色んな不安まで遠のいていく感じがした。この世のすべてが私に何も関係がない気がしてくる。平日の夕方なのでロビーもお土産屋さんも閑散としていてとても良い。綺麗になっても謎のメダルやスノードームがあるお店が残っていて100点満点だった。

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サントリーホール菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラールを見に行く。ぺぺのコンサートは『戦前と戦後』のときのEXシアター以来だ。普段はなんだか敷居が高いような気がして、大きいホールの方が行きやすい。ただひたすらにうっとりとした。あと、アンコールで立て板に水のように喋りまくる菊地成孔を見たらめちゃくちゃ元気出た。

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Gumeeのオンラインブックフェアで購入した猿田妃奈子さんのZINE『ストロベリーショートケーキ』と真珠の目をした猫のブローチが届いた。とてもとても可愛い。

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シアターコクーン松尾スズキ『フリムンシスターズ』を見に行く。マイノリティや贖罪などあらゆるテーマが詰め込まれてはいるけれど、正直どれも中途半端にとっ散らかったまま終わってしまったような印象だった。あとマイノリティの描き方も雑に感じられた。まあでも、劇中で高らかに謳われた「自由を差し出すな」と「また明日」ということに尽きる。手放しに面白かったとは言えなくても、やはり目の前で大人計画の役者たちが芝居をしている喜びは何物にも替え難い。特に皆川さんはもう動いてるだけで嬉しくなっちゃう。

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就活で町田を訪れたのでずっと行ってみたかった夜もすがら骨董店へ足を運んだらお休みだったのだけれど、鶴川団地が良い場所だった。陽気の中で、広場ではギターを弾いて歌っている人がいて、私は洋菓子屋さんで買ったほとんど林檎の入っていないアップルパイを齧っていて、パラレルワールドにでも迷い込んだのかと思った。

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清澄白河へ移動して、東京都現代美術館へ『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』を見に行く。ポスターも衣装も華やかだけれども、デコラティブというよりは肌や筋肉など人間の身体に沿った力強さがあって良かった。タイトルに血、汗、涙とあるように、内側から滲む美しさ。f:id:Vanity73:20201123201207j:image

次の日は自由が丘で就活だったので上野毛のL'atelier à ma façonへ。迷った末に、季節ものということで芋掘りというメニューを。掘り進めると燻した香りやアルコールの風味、ベリーソースがざくざくと出てきてとても楽しい。

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歩いて等々力渓谷へ。世田谷区とは無縁の人間なのでこんなに綺麗なところがあるなんて知らなかった。燦々と射す光の中を、落葉がひらひらと舞ってきて夢の中にいるようだった。転職活動で履歴書を書いたり面接を受けたりと必死に社会的な振る舞いをしているので、こんな風にふとした瞬間にここぞとばかりに休息と癒しを探してバランスをとっている。

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私にとっての癒しは音楽や演劇、芸術を摂取することと、美しくて美味しいものを食べること、街の景色から人の営みを感じることだということを再確認した。そのために私は何がなんでも最低限遊べるだけのお金を稼がなくてはいけないのだ。

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