ニュースクラップタウン

私事で恐縮です。

浮標

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この日は10時から1件目の面接を終えて、次まで時間があるので神田へ移動して珈琲専門店エースへ。手作りのメニュー看板が所狭しと並んでいてとても可愛い。色合いや文字にもこだわりとお店への愛着が感じられて居心地が良かった。
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名物ののりトーストは、バターでしんなりしたのりがなんとも美味しい。日本橋まで歩いて沖田修一監督『おらおらでひとりいぐも』を観た。桃子さん(田中裕子)の脳内にある日現れる自分の分身が、宮藤官九郎濱田岳青木崇高という時点で既に勝ちというか、画面が楽しくてしょうがない。映画全体に辛気臭さとマジカルが同居していてとてもよかった。桃子さんは好きな人と結婚して子供を2人産み育てて、老後はひとり暮らし、どんな生き方をしても後悔はつきまとうなんて憂鬱だ…と最初は思ったけれど、思い返してみると後悔や寂しさを肯定して、「女性の幸せ」や「理想の老後」と規定されるものから解放する映画だったのだと気が付いた。沖田監督の『子どもはわかってあげない』も楽しみだ。主演のふたりが、田島列島が描くのと同じ輪郭をしていて、その時点で感動してしまう。f:id:Vanity73:20201126125220j:image

受付の人があまりに愛想が悪くて面食らった2件目の面接を終えて上野に移動し、そこから本郷まで歩く。iPhoneをアップデートしてからキャパシティオーバーなのか明らかにバッテリーの減りが早く、急に一桁台になってしまったので慌ててコンビニで電池式のモバイルバッテリーを買った。auの何がしかのポイントを使って充電式のものを注文したばかりだったので躊躇われたが、次の面接の場所までマップなしで行くのは無理なので仕方がない。翌日にモバイルバッテリー が届いた。初代iPhoneSEを爆発するまで後生大事に使うつもりでいるのだが、12miniがSEに近いサイズ感と聞いて少し心が揺れている。

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喫茶ルオーへ。貸し切り状態で贅沢に静かな時間を過ごす。磨りガラスや椅子のクッションの少しくすんだ緑色が落ち着く。ここから更に西日暮里方面へ歩いて3件目の面接へ。この辺りを歩くのは初めてで、程よく寂しい感じがしてよかった。3件目の面接はこれまでと毛色の違う小さな会社で、面接担当も今までに会ったことのないビジネスマンタイプの人だった。仕事は明らかに大変そうで増員とのことだけど、少し面白そうだと思ってしまった。応募時、転職サイトから20時ごろにエントリーしたらその日の22時に面接の返事が来たのでどう考えてもやめた方がいい。1日の終わりで疲れていたし、歩いてきた町の雰囲気に切なくなっていたせいだと思う。出かける日は断食チャンスとして軽食のみで歩き回って体重を落とすのが好きだけれど、判断力が鈍るので就活のときはちゃんと食べた方がいいかもしれない。自分にはそういう基本的なことが欠けていると思う。

自炊。何にしようか

自炊。何にしようか

 

高山なおみさんの『自炊。何にしようか』を買った。レシピ本やライフスタイル系の枠にはまらない、格好良い暮らしの本だ。写真や紙の手触りも美しい。海が見える暮らしや朝昼晩の3食の流れに沿っていちにちが進んでいく様子がとても羨ましい。この本からお弁当にピーマンのわたつききんぴらとにんじんのきんぴら、大豆のトマト煮込みを作った。工程も味付けもシンプルで美味しい。

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別の日には午前中に対面面接を1件、帰宅してお昼から夕方までWEB面接を3件受けた。志望度が低いところばかりでそれは面接を受けても印象は変わらず、自分がどうするべきなのか、どうしたいのか見失っている。この方向性で行こうと決めたつもりでいたけれど、労働条件などを聞くと尻込みしてしまう。しかし、書類も通らなければ話にならない。面接で話を聞いても良いなと思えるところには通らなくて、心が折れそうになる。それから今週は流石に面接やその他の予定を詰めすぎて、完全に「働きたくない」以外考えられなくなっている。この日は昼過ぎから曇り空で急に冷え込んで、気持ちも塞ぎ込んでしまって良くなかった。思い返してみると、今日の面接官は全員苦手なタイプの男性だった。面接の合間にサラダチキンを茹でたり味付け玉子を仕込んだりして正気を保つ。

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』を読んだ。就活をしていて、この人はいったいどんな仕事をしているんだろう?と思っていた肩書きは、やっぱり実質何もしていないんじゃんとわかってすっきりした。私の今の職業はブルシットジョブに分類されるものではないけれど、組織の構造の問題上自分が味わってきた無為な時間や、人が働くことで得る充足感、エッセンシャルワークほど待遇が著しく劣る点についても整理されていて面白かった。

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あまりフィクションに集中できる気分でもなく、時間が空いたときはAmazonPrimeで『ロバート秋山の市民プール万歳』を流し見している。ロバート秋山は華があって、それでいて市民プールや町の食堂に異物として馴染んでいるのがなんとも良い。他にはTVで『出川哲郎の充電させてもらえませんか』や『バナナマンのせっかくグルメ』をぼーっと眺めていると妙に癒される。社会に積極的に参画したくないので、日本各地の本当になんでもない風景と人を見ることだけで社会とつながっていたい。あと、日村さんが美味しそうにご飯を食べているのを見ると元気が出る。

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仕事の日は5時半に起きてお弁当を作る。日に日に遅くなる日の出に、季節が冬へ進んでいるのを感じる。起きても外が暗いとなかなか目が覚めない。休みの間に仕込んだおかずを詰めるので、連勤のときは毎日同じようなお弁当になるけれど、切り方を変えてみたり、同じトマトソースでもスパイスで煮込んだものをサラダチキンにかけてみたり、それなりに楽しく美味しくやっている。

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夕方にWEB面接が1件入っている以外は何も予定がない休日、天気も晴れ晴れとしていて気持ちが良い。『空気階段の踊り場』を聞きながらジョギングをして軽く筋トレをするのが休日の習慣で、身体を動かしているうちに気分も晴れてくる。千円カットへ行って刈り上げ部分と毛先を揃えてもらう。ここ1年ほど耳より上のショートヘアだったのだが、そろそろ飽きてきたのであごのあたりまで伸びたらパーマをかける。考えるべき先のことなんて、せいぜい明日のご飯と次の髪型くらいなものでいい。そういう暮らしを手に入れたい。

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